塩分とは一般的に塩といわれており、正確には「塩化ナトリウム」のことです。
人間の体液にはかならず0.9%の塩分が含まれており、生命維持には欠かすことができません。
また、食塩は食品の中で唯一「動物性食品」にも「植物性食品」のどちらにも属していない食品であり、未だに人工的に合成することができない食品でもあります。
ナトリウムと塩分の違い
ナトリウムと塩分は厳密に言えば異なるものです。
塩分は95%以上がナトリウムと塩素が結合した塩化ナトリウムでできており、ごく微量ですがカリウムやカルシウム、マグネシウムなども含む物質です。
その一方で、ナトリウムは塩化ナトリウムを構成するイオンのひとつであり、塩分そのものではありません。
食塩相当量とは
お弁当などの栄養表示をみると「食塩相当量」という記載を目にすることがあります。
この食塩相当量とは、食品に含まれるナトリウムの量から食塩の含有量を計算したもので、「ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)」です。
以前の成分表示はナトリウムのみが記載されていましたが、ナトリウムと塩分は異なる物質であり「ナトリウム量=食塩相当量」ではないという問題点がありました。
そのため塩分の過剰摂取を防ぐ目的で平成27年4月の『食品表示法』で食塩相当量の記載が義務付けられるようになりました。
塩分の働きとは
塩分は体内で塩素とナトリウムに別れて、それぞれ重要な役割を果たしています。
塩素は必須ミネラルのひとつで、胃酸のもとになって消化の手助けをしたり、細胞外液の主成分として体液の酸度や浸透圧を正常に保つ働くをしています。
また、ナトリウムも必須ミネラルのひとつとして神経の情報伝達や、細胞の浸透圧などを正常に保つ働きをしています。
ナトリウムの働きや塩分の多い食品は「ナトリウムとは」で詳しくご紹介していますので、ご覧ください。
塩分のとりすぎを防ぐためには
和食は味噌やしょうゆなどの塩分を多く含む調味料を使用するため、日本人は全体的に塩分過多になりやすい傾向があります。
厚生労働省によると成人1日あたりの食塩摂取量の目安は、2020年には男性7.5g未満、女性6.5g未満とされていますが、ほとんどの人が1日10g以上摂取していると言われています。
塩分のとりすぎは脳卒中や腎臓病などのリスクを高めてしまうため、ニンニクや生姜などの香りを加えたり、塩ではなくポン酢を使用するなど調理を工夫することが大切です。
そのほかにもだしの旨味やコマ油などでコクをだしたり、とろみを付けることで薄味でも満足感が得られます。
なお、市販のインスタント出しには塩分が含まれているため、だしは食品から取る自然だしを使用するのが効果的です。
インスタント食品や加工食品を減らすことで、意識して塩分をコントロールしてゆきましょう。