年末年始は食事の内容やリズムが大きく変わる時期です。おもちの窒息事故や塩分過多など、高齢者が気をつけるべきポイントをまとめました。
年末年始は、忘年会・新年会、おせち料理、お雑煮など、普段と異なる食事の機会が増えます。楽しい行事が多い反面、高齢者にとっては以下のようなリスクが潜んでいます。
消費者庁・消防庁のデータによると、もちによる窒息事故は毎年1月に集中しており、死亡事故の約9割が65歳以上の高齢者です。加齢による嚥下機能の低下、唾液分泌の減少、噛む力の衰えが原因で、もちが喉に詰まるリスクが非常に高くなります。
おもちを食べる際の安全対策は以下のとおりです。
おせち料理は保存食として発達したため、全般的に塩分が多いのが特徴です。かまぼこ、数の子、昆布巻き、煮しめなど、多くの品目に塩や醤油がたっぷり使われています。
| おせち料理 | 1人前の食塩量(目安) |
|---|---|
| かまぼこ(2切れ) | 約0.5g |
| 数の子(30g) | 約1.2g |
| 昆布巻き(1本) | 約0.8g |
| 煮しめ(1人前) | 約2.0g |
| お雑煮(1杯) | 約1.5〜2.0g |
おせち料理をすべて食べると、1食で食塩5g以上になることも珍しくありません。高血圧の方は特に注意が必要です。
年末年始はお酒の量が増えがちです。高齢者は肝臓のアルコール処理能力が低下しているため、若い頃と同じ量を飲むと体への負担が大きくなります。また、お酒は食欲を増進させ、つまみの塩分や糖質の摂りすぎにつながります。適量は日本酒なら1合(180ml)、ビールなら中瓶1本(500ml)程度です。
おせち料理は糖質と塩分が多い一方で、生野菜やたんぱく質が不足しがちです。以下の工夫で栄養バランスを改善できます。
黒豆、栗きんとん、伊達巻といったおせちの甘い品目には、想像以上の糖質が含まれています。栗きんとん2個で約30gの糖質(ごはん半膳分)があります。カロリーコントロールが必要な方は、少量を味わう程度にとどめましょう。
年末年始に実家へ帰省される方にとって、離れて暮らす高齢のご家族の食事状態をチェックする良い機会です。以下のポイントを観察してみてください。
気になる点があれば、日常的に栄養のある食事を確保する手段として、配食サービスの利用を検討してみてください。週に数回でも栄養バランスの整った食事が届くことで、高齢者の栄養状態は大きく改善します。
年末年始で最も注意したいのは、食事のリズムが乱れることです。夜更かしで朝食を抜く、昼過ぎまでだらだら食べ続けるといった習慣は、血糖値の乱高下や消化不良の原因になります。
配食のふれ愛は正月を除き年中無休で営業しています。年末年始の食事準備が大変な方、一人暮らしの高齢者の食事が心配な方は、ぜひご利用ください。
当日だけの問題ではありません。
作る量が多すぎると、残り物が続きます。同じものを何日も食べることになります。味の濃いものが続けば、体に負担がかかります。
そして、作り置きの期間が長くなります。寒い時期でも、常温では傷みます。冷蔵庫に入れてください。
人数分より、少なめに作ってください。足りなければ足せます。余らせるより、そのほうが安全です。
買い物も、期間を分けてください。まとめ買いすると、使い切るために食べ続けることになります。店が開く日を確かめておけば、慌てずに済みます。
ごちそうを続けないでください。
三日も続くと、体が疲れます。胃腸の調子が崩れます。特に高齢の方では、戻すのに時間がかかります。
一日のうち一食は、普段どおりにしてください。ご飯、味噌汁、野菜。これだけで、体の負担が軽くなります。
そして、野菜が不足しがちな時期です。お祝いの料理には、野菜が少なくなります。意識して足してください。
汁物を、具だくさんにしてください。野菜と水分の両方が取れます。手間も増えません。
人が集まると、本人のペースが崩れます。
次々と勧められると、断りにくくなります。普段の倍を食べてしまうことがあります。周囲が気をつけてください。
そして、話しながら食べると、むせやすくなります。飲み込むときは、話を止めてください。これは家族が声をかけられる部分です。
席の並びも大事です。本人が落ち着いて食べられる場所にしてください。にぎやかな中心では、集中できません。
量を取り分けるときは、少なめにしてください。おかわりする形なら、食べ残しになりません。もったいないという気持ちが、無理な完食につながります。
この時期に、事故が起きやすくなります。
粘りのあるものは、特に注意が要ります。小さく切っても、口の中でまとまります。食べ方の指示を医師から受けている方は、その指示に従ってください。
そして、乾いたものも危険です。ナッツ、豆、乾き物。おつまみとして出されやすいものです。
肉のかたまりや、繊維の強いものも噛み切りにくくなります。加熱を長くする、細かく切る。準備の段階で対応してください。
そばに人がいる状態で食べてください。一人のときに詰まると、助けが来ません。これが最も大きな備えです。
量そのものより、周りの条件が問題になります。
薬を飲んでいる方は、医師に確かめてください。組み合わせてはいけないものがあります。自己判断で飲まないでください。
そして、飲むと転びやすくなります。寒い時期に、廊下やトイレで転ぶ事故が起きます。足元を明るくしてください。
飲むと、水分が失われる方向に働きます。合わせて水も飲んでください。冬でも、体は乾きます。
空腹のまま飲まないでください。何か食べてからにしてください。体への負担が変わります。
この時期特有の落とし穴です。
部屋を暖めると、空気が乾きます。気づかないうちに、体から水分が失われます。暑い時期だけの問題ではありません。
そして、冬は喉が渇きにくくなります。飲む量が自然に減ります。時間を決めて飲む形にしてください。
トイレが近くなるのを嫌って、控える方がいます。これが最も多い理由です。控えると、別の問題が起きます。
温かい飲み物なら、続けやすくなります。白湯、番茶、スープ。体も温まります。
食べる内容だけの話ではありません。
人が集まると、起きる時間も寝る時間も変わります。食事の時間もずれます。体のリズムが崩れます。
そして、薬を飲む時間もずれます。これが最も心配な点です。飲み忘れ、二重に飲む。どちらも起こります。
薬の管理は、家族が確かめてください。一日ごとに分けられる容器を使う方法があります。見れば分かる形にしてください。
食事の時間だけは、普段に近づけてください。ここを守ると、ほかの乱れも小さくなります。難しいことではありません。
備えておくべきことがあります。
薬が足りるかを、前もって確かめてください。休みに入る前に受診してください。切らすと、体調が崩れます。
そして、休日に診てもらえる場所を調べておいてください。市町村の窓口や消防のサイトに案内があります。調べるのは、事が起きる前です。
連絡先を、紙に書いて貼っておいてください。あわてているときに、探せません。電話のそばが良い場所です。
持病のある方は、かかりつけの医師に確かめてください。休み中の対応を、前もって聞いておいてください。安心して過ごせます。
にぎやかな時期ほど、孤立が深まります。
周囲が忙しくなり、訪ねる人が減ります。買い物にも行きにくい時期です。備えが要ります。
そして、料理を作る気力が落ちます。一人分のごちそうは、作りにくいものです。結果として、簡単なもので済ませることになります。
常温で置ける食品を、いくつか用意しておいてください。缶詰、レトルト、乾物。店が休みでも、食べられます。
電話やたずねる約束を、前もって決めておいてください。「三日に一度は連絡する」と決めるだけで違います。異変にも早く気づけます。
期間を区切ることが、最も大事です。
ずるずると続けないでください。日を決めて、普段の食事に戻してください。戻れないまま、習慣になります。
そして、体重を測ってください。休みの前後で比べると、変化が分かります。増えていても減っていても、手がかりになります。
体調に変化があれば、受診してください。むくむ、だるい、便の調子が変わった。年明けは、こうした訴えが増える時期です。
作るのが負担なら、届けてもらう形も使えます。休みの明けから頼めば、そのまま普段の食事に戻せます。無理をしないでください。
ここまで注意点を並べてきましたが、前提を一つ添えます。
この時期の食事は、体を養うためだけのものではありません。年に一度、家族と同じ卓を囲む機会でもあります。その価値は、栄養の計算では測れません。
制限ばかりを口にすると、本人が食卓を避けるようになります。結果として、食べる量も、人と話す機会も減ります。守ろうとして、失うものが出ます。
危ないところだけを押さえて、あとは楽しんでください。詰まらせない、転ばない、薬を守る。この三つが押さえられていれば十分です。
年末年始に高齢の方が救急搬送される原因で、最も多いのがお餅による窒息です。 元日から3日に集中します。 しかも医療機関が休みで、救急がいちばん動きにくい時期と重なります。
「うちの親は大丈夫」と思われるかもしれませんが、 詰まらせた方のほとんどは、その前年まで普通に食べていた方です。 飲み込む力は、去年と同じではありません。
| やること | 中身 |
|---|---|
| 小さく切る | 1辺2cm以下。焼く前に切る(焼いてからでは切りにくい) |
| 汁物に入れる | 雑煮のように汁と一緒に。ただし汁で流し込ませない |
| 先に喉を湿らせる | お茶や汁を一口飲んでから食べ始める |
| 一人にしない | 必ず誰かが同じ部屋にいる時間に出す |
| 座って食べる | 寝転がって・歩きながら・テレビを見ながらを避ける |
| 薬を確かめる | 眠くなる薬・口が乾く薬を飲んだ直後は避ける |
詰まらせたときは、迷わず119番です。 通報してから、背中を強く叩きます(背部叩打法)。 手を口に入れて掻き出そうとすると、かえって奥へ押し込みます。 掃除機で吸うのはすすめられません。 すでにむせやすい方、飲み込みに時間がかかる方は、 今年からお餅をやめるという選択もしっかりした判断です (食事形態の選び方、 誤嚥性肺炎を防ぐ)。
おせちは日持ちさせるために作られた料理なので、 もともと塩と砂糖が多く入っています。 薄味に感じるものほど塩分が多いことがあり、味では分かりません。
| 料理 | 1食ぶんの目安 | 食塩相当量の目安 |
|---|---|---|
| 雑煮(汁を全部飲む) | 1杯 | 約1.5〜2.0g |
| 数の子(塩蔵を戻したもの) | 2切れ | 約1.0g |
| かまぼこ | 3切れ | 約0.7g |
| 伊達巻 | 2切れ | 約0.6g |
| 昆布巻き | 1個 | 約0.6g |
| 田作り | 小鉢1杯 | 約0.5g |
| 栗きんとん・黒豆 | 小鉢1杯 | 塩分は少ないが糖分が多い |
これを少しずつ食べるだけで、1食で3gを超えます。 1日6g未満を目標にしている方なら、朝の一膳で半分使ってしまう計算です。 血圧の薬を飲んでいる方、心臓や腎臓に病気のある方は、 松の内が明けたころに血圧と体重が上がっていることがよくあります。
止める必要はありません。汁を残す。数の子は1切れにする。 あとの2食は普段どおりに戻す。この3つだけで大きく変わります (高齢者の高血圧と食事、 心臓にやさしい食事)。 当店は年末年始もお休みをいただく期間がありますので、 年内のうちにその期間の食事をどうするか決めておいてください。 配達日程は毎年12月にお知らせしています。
食べ物を飲み込む機能が低下した状態。おもちなど粘り気のある食品は特に窒息リスクが高く、注意が必要です。
食塩の主成分。おせち料理は保存食のため塩分が多く、1食で5g以上になることもあります。
エネルギー摂取量を適切に管理すること。年末年始の食べすぎを防ぐために、1食の目安量を意識しましょう。
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