高齢者の熱中症と食事の関係|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

高齢者の熱中症リスクが高い理由

総務省消防庁の統計によると、熱中症による救急搬送者の約半数が65歳以上の高齢者で、その多くが住居内で発生しています。高齢者が熱中症にかかりやすい背景には、加齢による身体機能の変化があります。

高齢者特有の4つのリスク要因

  • 暑さを感じにくい:皮膚の温度センサーが鈍化し、室温が上がっても暑さを自覚しにくくなります。エアコンを使わず、室内で熱中症になるケースが非常に多く見られます
  • のどの渇きを感じにくい:口渇中枢の感度が低下し、体が水分を必要としていても「のどが渇いた」と感じにくくなります。結果として脱水が進行しやすくなります
  • 発汗機能の低下:汗腺の機能が低下し、汗をかきにくくなっています。汗による体温調節が十分に行えないため、体に熱がこもりやすくなります
  • 体内水分量の減少:成人の体内水分量は体重の約60%ですが、高齢者では約50%に低下します。もともとの水分の貯蓄が少ないため、少しの脱水でも体への影響が大きくなります

暑さ指数(WBGT)と注意レベル

暑さ指数(WBGT: Wet Bulb Globe Temperature)は、気温・湿度・輻射熱を総合した熱中症リスクの指標です。環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます。

WBGT注意レベル高齢者への対応
31以上危険外出を控え、室内でもエアコン必須。こまめな水分補給
28〜31厳重警戒外出時は日陰を選ぶ。1時間ごとに水分補給
25〜28警戒積極的に水分を摂る。活動後は休息を
21〜25注意のどが渇いていなくても定期的に水分補給

熱中症予防のための水分・電解質補給

熱中症予防の基本は水分補給ですが、水だけを大量に飲むのは逆効果になる場合があります。汗とともに失われる電解質(ナトリウムカリウムなど)も一緒に補給することが重要です。

効果的な水分補給のポイント

  • 1回200mL程度をこまめに:一度に大量に飲むと胃に負担がかかり、吸収効率も下がります。コップ1杯程度を1〜2時間おきに
  • 起床時・入浴前後・就寝前は必ず:特に就寝中は500〜1,000mLの水分が失われます。寝る前と起きた直後の水分補給は必須です
  • 電解質入りの飲料を活用:大量に汗をかいたときは、スポーツドリンクや経口補水液で電解質を補給。ただし糖分の多いスポーツドリンクは糖尿病の方には注意が必要です
  • 食事からの水分摂取も重要:1日の必要水分量の約40%は食事から摂取されています。味噌汁・スープ・煮物など汁気のある料理が効果的です

カリウムとナトリウムのバランス

熱中症予防では、ナトリウム(塩分)の補給が注目されがちですが、カリウムも同様に重要です。カリウムは細胞内液の主要な電解質で、筋肉の収縮や心臓の機能に深く関わっています。汗と一緒にカリウムも失われるため、夏場は意識的に摂取する必要があります。

カリウムを多く含む夏の食材

食品カリウム量(100gあたり)おすすめの食べ方
トマト210mg冷やしトマト、トマトジュース
きゅうり200mg酢の物、浅漬け
すいか120mg水分補給も兼ねたデザートに
枝豆590mgおやつやおかずの一品に
バナナ360mg朝食や間食に手軽に摂取
じゃがいも410mg味噌汁の具やサラダに

※腎臓病の方はカリウムの摂取制限がある場合があります。主治医にご確認ください。

ナトリウムの補給

通常の食事をしていれば塩分が極端に不足することは稀ですが、大量に汗をかいた場合は追加の塩分補給が必要です。味噌汁1杯(塩分約1.5g)は水分とナトリウムを同時に補給できる優れた食品です。梅干し1個(塩分約2g)も手軽な塩分補給源です。

夏の栄養管理で熱中症に備える

熱中症予防は水分・電解質補給だけでなく、体の抵抗力を維持する総合的な栄養管理が大切です。

  • たんぱく質をしっかり摂る:体力の維持、熱放散に関わるアルブミン(血液中のたんぱく質)の維持に必要。肉・魚・卵・豆腐を毎食取り入れましょう
  • ビタミンB1で疲労回復:豚肉・うなぎ・枝豆などでエネルギー代謝を助け、夏バテを予防
  • ビタミンCで抗酸化:暑さによる酸化ストレスから体を守ります。ピーマン・トマト・キウイなどに豊富
  • 3食きちんと食べる:食事を抜くと水分・栄養素の不足が加速します。食欲がない時でも、少量でも食べる習慣を

配食のふれ愛では、夏場の献立に水分・電解質・ビタミン補給を意識した食材を多く取り入れています。温かいお弁当に付く味噌汁は、水分とナトリウムの同時補給に最適です。

室内で起きることが多い

屋外での作業中に起きるものだと思われがちですが、実際は違います。

高齢の方の場合、家の中で起きる例が多く報告されています。寝ている間や、座って過ごしている間にも起こります。動いていないから安全、ではありません。

暑さを感じ取る力が落ちていることが、背景にあります。本人は暑いと思っていません。周囲が気づく以外に、防ぐ方法がない場面があります。

そして、のどの渇きも感じにくくなります。渇いてから飲むという習慣では、間に合いません。時間を決めて飲む形に変えてください。

温度計を、生活する部屋の目に入る場所に置いてください。数字を見て動く形にするしかありません。大きな表示のものが適しています。

水分をどう増やすか

「飲んでください」と言うだけでは、増えません。

手の届く場所に置いてください。台所まで取りに行く形では、回数が減ります。座る場所のそばに常に置いてください。

時間を決めてください。起きたとき、食事のとき、入浴の前後、寝る前。この5つを守るだけで、量が変わります。

そして、どれだけ飲んだかが分かる形にしてください。一日分を容器に用意し、そこから飲む。残りを見れば足りているかが分かります。

飲み物が続かない方には、汁物やゼリーの形もあります。食事から取る分も、水分です。食事量が落ちると、水分も落ちる点に注意してください。

冷房を使ってもらうために

頭ごなしに勧めても、聞き入れられません。理由があります。

電気代を気にしている場合があります。もったいないという気持ちが強く働きます。家族が費用を持つと伝えると、使うようになることがあります。

体が冷えるのが苦手な方もいます。設定を高めにする、風が直接当たらない向きにする。使い方を調整すれば、受け入れられることがあります。

操作が分からなくなっている場合もあります。リモコンのボタンが多く、迷います。使うボタンだけを残して、あとは覆う方法があります。

そして、機器が壊れていることがあります。本人が言い出さないまま、何年も使っていない例があります。帰省したときに、実際に動かして確かめてください。

前ぶれの見分け方

倒れる前に、体からの合図が出ることがあります。

めまい、立ちくらみ、こむら返り、頭痛、吐き気。これらが暑い日に出たときは、暑さによるものを疑ってください。年のせいにしないでください。

そして、汗が出なくなることがあります。暑いのに汗をかいていない状態は、危険な段階です。体を冷やし、すぐに助けを呼んでください。

受け答えがおかしい、まっすぐ歩けない。この場合は、迷わず救急に連絡してください。本人の判断力が落ちている段階です。

迷ったときの相談先を、あらかじめ控えておいてください。かかりつけ、地域の相談窓口、救急の相談番号。冷蔵庫に貼っておいてください。

食事から水分と塩分を取る

飲み物だけに頼らない形が、続きます。

汁物を毎食つけてください。水分と塩分の両方が入ります。冷たいものが続くときは、温かい汁物が体を整えます。

水分の多い野菜や果物を使ってください。きゅうり、トマト、なす、すいか、梨。季節のものが、そのまま役に立ちます。

そして、体をつくる材料を欠かさないでください。暑い時期に麺類だけが続くと、体力が落ちます。卵、豆腐、魚、肉を、少量でも毎食入れてください。

塩分を控えるよう指示を受けている方は、その指示が優先されます。暑い時期にどうすればよいかを、受診のときに確かめてください。自己判断で増やさないでください。

夜の時間帯にも注意が要る

寝ている間に起きることがあります。

就寝中も冷房を使う判断が必要な時期があります。切ってから寝ると、明け方までに室温が上がります。タイマーで切る設定が、危険になる場合があります。

寝る前と起きたときに、水分を取ってください。寝ている間にも汗をかいています。夜間にトイレへ行くのを嫌って控える方がいますが、量を減らしすぎないでください。

そして、寝室に温度計を置いてください。居間だけ確かめても、寝室が暑ければ意味がありません。部屋ごとに温度が違います。

一人暮らしの場合、朝の連絡を習慣にしてください。夜の間に起きた変化に、早く気づけます。

暑くなる前に決めておく

暑くなってから慌てると、間に合いません。

春のうちに、冷房が動くか確かめてください。修理や買い替えには時間がかかります。猛暑になってから業者を呼んでも、すぐには来ません。

温度計を置き、目安の数字を紙に書いて横に貼ってください。この数字を超えたら冷房を入れる、という形にしてください。数字だけでは動きません。

そして、飲み物の置き場所と、一日の量を決めてください。習慣になるまでに時間がかかります。暑くなる前から始めてください。

食事の準備が負担になる時期です。届けてもらう形を、この時期だけ使う方法もあります。火を使わずに済み、栄養の偏りも防げます。

薬を飲んでいる方が気をつけること

飲んでいる薬によって、注意の度合いが変わることがあります。

体の水分の量に関わる薬を飲んでいる方がいます。この場合、暑い時期の水分の取り方について、医師の指示があるはずです。自己判断で増やしたり減らしたりしないでください。

そして、汗のかき方や体温の調節に影響する薬もあります。どの薬がそうかは、薬剤師に確かめてください。お薬手帳を持って相談すれば、まとめて見てもらえます。

暑い時期に入る前に、一度確かめておいてください。倒れてからでは遅い確認です。受診のついでで構いません。

複数の医療機関にかかっている場合は、特に確かめてください。それぞれの医師が、ほかの処方を把握していないことがあります。薬局で一元的に見てもらう方法があります。

一人暮らしの方の備え

気づく人がいない状況が、最も危険です。

毎日、誰かと連絡を取る形を作ってください。家族の電話、配達の手渡し、通所の利用。この時期だけ回数を増やす方法もあります。

そして、応答がないときにどうするかを決めておいてください。誰が確かめに行くか、鍵はどうするか。決めていないと、その場で止まります。

近所の方に、暑い時期は気にかけてほしいと伝えておいてください。灯りがつかない、雨戸が閉まったまま。外から分かる変化があります。

自治体が、この時期に見守りを強化している場合があります。地域包括支援センターで確かめてください。使えるものは、先に確かめておいてください。

熱中症かな、と思ったときの手当て

前ぶれに気づいたあと、その場で何をするかで結果が変わります。 迷っている時間がいちばん惜しいので、順番を決めておいてください。

すること
1涼しい場所へ移す。冷房の効いた室内、無理なら日陰へ
2服をゆるめる。ベルト・襟元・下着のゴムを外して熱を逃がす
3体を冷やす。首の両側・わきの下・脚のつけ根に保冷剤や濡れタオルを当てる。ここは太い血管が通っていて効きが早い
4水分と塩分を取る。経口補水液がよい。無ければ水に少量の塩と砂糖。自分で飲めるときだけ
5そばを離れない。良くなるかどうかを見る。一人にしない

次のどれかがあれば、その場で119番です。 ためらう理由はありません。

  • 呼びかけへの返事がおかしい。名前や場所が言えない。反応が鈍い
  • 自分で水を飲めない。飲ませようとしてもむせる
  • まっすぐ歩けない。立てない
  • けいれんしている
  • 体が熱いのに汗が出ていない

意識がはっきりしない方に、無理に飲ませてはいけません。 気管に入って肺炎を起こします(誤嚥性肺炎を防ぐ)。 救急車を待つあいだも、冷やすことは続けてください。

高齢の方は、翌日や翌々日になって具合が悪くなることがあります。 その日おさまっても、次の日の食事量と尿の回数を見てください高齢者の脱水を防ぐ)。 一人暮らしの方には、暑い時期だけでも配達をお使いいただくと、 毎日顔を見る機会ができます (配達時の安否確認)。

暑い夏の栄養管理は配食のふれ愛にお任せください

猛暑の中、毎日の食事を準備するのは大変です。当店は夏場の栄養バランスに配慮した献立で、水分・電解質・ビタミンをバランスよく補給できるお弁当をお届けします。配達時の安否確認も行っておりますので、一人暮らしの高齢者の方も安心です。

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関連用語

脱水

体内の水分が不足した状態。高齢者はのどの渇きを感じにくく、知らぬ間に進行します。

カリウム

細胞内液の主要な電解質。筋肉の収縮や心臓の正常な機能に不可欠です。

ナトリウム

体液量の調節に関わるミネラル。汗とともに失われるため、夏場は適度な補給が必要です。

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