毎日の食事で熱中症を予防する、実践的な栄養管理ガイド
総務省消防庁の統計によると、熱中症による救急搬送者の約半数が65歳以上の高齢者で、その多くが住居内で発生しています。高齢者が熱中症にかかりやすい背景には、加齢による身体機能の変化があります。
暑さ指数(WBGT: Wet Bulb Globe Temperature)は、気温・湿度・輻射熱を総合した熱中症リスクの指標です。環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます。
| WBGT | 注意レベル | 高齢者への対応 |
|---|---|---|
| 31以上 | 危険 | 外出を控え、室内でもエアコン必須。こまめな水分補給 |
| 28〜31 | 厳重警戒 | 外出時は日陰を選ぶ。1時間ごとに水分補給 |
| 25〜28 | 警戒 | 積極的に水分を摂る。活動後は休息を |
| 21〜25 | 注意 | のどが渇いていなくても定期的に水分補給 |
熱中症予防の基本は水分補給ですが、水だけを大量に飲むのは逆効果になる場合があります。汗とともに失われる電解質(ナトリウム・カリウムなど)も一緒に補給することが重要です。
熱中症予防では、ナトリウム(塩分)の補給が注目されがちですが、カリウムも同様に重要です。カリウムは細胞内液の主要な電解質で、筋肉の収縮や心臓の機能に深く関わっています。汗と一緒にカリウムも失われるため、夏場は意識的に摂取する必要があります。
| 食品 | カリウム量(100gあたり) | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| トマト | 210mg | 冷やしトマト、トマトジュース |
| きゅうり | 200mg | 酢の物、浅漬け |
| すいか | 120mg | 水分補給も兼ねたデザートに |
| 枝豆 | 590mg | おやつやおかずの一品に |
| バナナ | 360mg | 朝食や間食に手軽に摂取 |
| じゃがいも | 410mg | 味噌汁の具やサラダに |
※腎臓病の方はカリウムの摂取制限がある場合があります。主治医にご確認ください。
通常の食事をしていれば塩分が極端に不足することは稀ですが、大量に汗をかいた場合は追加の塩分補給が必要です。味噌汁1杯(塩分約1.5g)は水分とナトリウムを同時に補給できる優れた食品です。梅干し1個(塩分約2g)も手軽な塩分補給源です。
熱中症予防は水分・電解質補給だけでなく、体の抵抗力を維持する総合的な栄養管理が大切です。
配食のふれ愛では、夏場の献立に水分・電解質・ビタミン補給を意識した食材を多く取り入れています。温かいお弁当に付く味噌汁は、水分とナトリウムの同時補給に最適です。
屋外での作業中に起きるものだと思われがちですが、実際は違います。
高齢の方の場合、家の中で起きる例が多く報告されています。寝ている間や、座って過ごしている間にも起こります。動いていないから安全、ではありません。
暑さを感じ取る力が落ちていることが、背景にあります。本人は暑いと思っていません。周囲が気づく以外に、防ぐ方法がない場面があります。
そして、のどの渇きも感じにくくなります。渇いてから飲むという習慣では、間に合いません。時間を決めて飲む形に変えてください。
温度計を、生活する部屋の目に入る場所に置いてください。数字を見て動く形にするしかありません。大きな表示のものが適しています。
「飲んでください」と言うだけでは、増えません。
手の届く場所に置いてください。台所まで取りに行く形では、回数が減ります。座る場所のそばに常に置いてください。
時間を決めてください。起きたとき、食事のとき、入浴の前後、寝る前。この5つを守るだけで、量が変わります。
そして、どれだけ飲んだかが分かる形にしてください。一日分を容器に用意し、そこから飲む。残りを見れば足りているかが分かります。
飲み物が続かない方には、汁物やゼリーの形もあります。食事から取る分も、水分です。食事量が落ちると、水分も落ちる点に注意してください。
頭ごなしに勧めても、聞き入れられません。理由があります。
電気代を気にしている場合があります。もったいないという気持ちが強く働きます。家族が費用を持つと伝えると、使うようになることがあります。
体が冷えるのが苦手な方もいます。設定を高めにする、風が直接当たらない向きにする。使い方を調整すれば、受け入れられることがあります。
操作が分からなくなっている場合もあります。リモコンのボタンが多く、迷います。使うボタンだけを残して、あとは覆う方法があります。
そして、機器が壊れていることがあります。本人が言い出さないまま、何年も使っていない例があります。帰省したときに、実際に動かして確かめてください。
倒れる前に、体からの合図が出ることがあります。
めまい、立ちくらみ、こむら返り、頭痛、吐き気。これらが暑い日に出たときは、暑さによるものを疑ってください。年のせいにしないでください。
そして、汗が出なくなることがあります。暑いのに汗をかいていない状態は、危険な段階です。体を冷やし、すぐに助けを呼んでください。
受け答えがおかしい、まっすぐ歩けない。この場合は、迷わず救急に連絡してください。本人の判断力が落ちている段階です。
迷ったときの相談先を、あらかじめ控えておいてください。かかりつけ、地域の相談窓口、救急の相談番号。冷蔵庫に貼っておいてください。
飲み物だけに頼らない形が、続きます。
汁物を毎食つけてください。水分と塩分の両方が入ります。冷たいものが続くときは、温かい汁物が体を整えます。
水分の多い野菜や果物を使ってください。きゅうり、トマト、なす、すいか、梨。季節のものが、そのまま役に立ちます。
そして、体をつくる材料を欠かさないでください。暑い時期に麺類だけが続くと、体力が落ちます。卵、豆腐、魚、肉を、少量でも毎食入れてください。
塩分を控えるよう指示を受けている方は、その指示が優先されます。暑い時期にどうすればよいかを、受診のときに確かめてください。自己判断で増やさないでください。
寝ている間に起きることがあります。
就寝中も冷房を使う判断が必要な時期があります。切ってから寝ると、明け方までに室温が上がります。タイマーで切る設定が、危険になる場合があります。
寝る前と起きたときに、水分を取ってください。寝ている間にも汗をかいています。夜間にトイレへ行くのを嫌って控える方がいますが、量を減らしすぎないでください。
そして、寝室に温度計を置いてください。居間だけ確かめても、寝室が暑ければ意味がありません。部屋ごとに温度が違います。
一人暮らしの場合、朝の連絡を習慣にしてください。夜の間に起きた変化に、早く気づけます。
暑くなってから慌てると、間に合いません。
春のうちに、冷房が動くか確かめてください。修理や買い替えには時間がかかります。猛暑になってから業者を呼んでも、すぐには来ません。
温度計を置き、目安の数字を紙に書いて横に貼ってください。この数字を超えたら冷房を入れる、という形にしてください。数字だけでは動きません。
そして、飲み物の置き場所と、一日の量を決めてください。習慣になるまでに時間がかかります。暑くなる前から始めてください。
食事の準備が負担になる時期です。届けてもらう形を、この時期だけ使う方法もあります。火を使わずに済み、栄養の偏りも防げます。
飲んでいる薬によって、注意の度合いが変わることがあります。
体の水分の量に関わる薬を飲んでいる方がいます。この場合、暑い時期の水分の取り方について、医師の指示があるはずです。自己判断で増やしたり減らしたりしないでください。
そして、汗のかき方や体温の調節に影響する薬もあります。どの薬がそうかは、薬剤師に確かめてください。お薬手帳を持って相談すれば、まとめて見てもらえます。
暑い時期に入る前に、一度確かめておいてください。倒れてからでは遅い確認です。受診のついでで構いません。
複数の医療機関にかかっている場合は、特に確かめてください。それぞれの医師が、ほかの処方を把握していないことがあります。薬局で一元的に見てもらう方法があります。
気づく人がいない状況が、最も危険です。
毎日、誰かと連絡を取る形を作ってください。家族の電話、配達の手渡し、通所の利用。この時期だけ回数を増やす方法もあります。
そして、応答がないときにどうするかを決めておいてください。誰が確かめに行くか、鍵はどうするか。決めていないと、その場で止まります。
近所の方に、暑い時期は気にかけてほしいと伝えておいてください。灯りがつかない、雨戸が閉まったまま。外から分かる変化があります。
自治体が、この時期に見守りを強化している場合があります。地域包括支援センターで確かめてください。使えるものは、先に確かめておいてください。
前ぶれに気づいたあと、その場で何をするかで結果が変わります。 迷っている時間がいちばん惜しいので、順番を決めておいてください。
| 順 | すること |
|---|---|
| 1 | 涼しい場所へ移す。冷房の効いた室内、無理なら日陰へ |
| 2 | 服をゆるめる。ベルト・襟元・下着のゴムを外して熱を逃がす |
| 3 | 体を冷やす。首の両側・わきの下・脚のつけ根に保冷剤や濡れタオルを当てる。ここは太い血管が通っていて効きが早い |
| 4 | 水分と塩分を取る。経口補水液がよい。無ければ水に少量の塩と砂糖。自分で飲めるときだけ |
| 5 | そばを離れない。良くなるかどうかを見る。一人にしない |
次のどれかがあれば、その場で119番です。 ためらう理由はありません。
意識がはっきりしない方に、無理に飲ませてはいけません。 気管に入って肺炎を起こします(誤嚥性肺炎を防ぐ)。 救急車を待つあいだも、冷やすことは続けてください。
高齢の方は、翌日や翌々日になって具合が悪くなることがあります。 その日おさまっても、次の日の食事量と尿の回数を見てください (高齢者の脱水を防ぐ)。 一人暮らしの方には、暑い時期だけでも配達をお使いいただくと、 毎日顔を見る機会ができます (配達時の安否確認)。
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