3日寝込むと、若い人でも筋肉は落ちる。高齢者はもっと落ちる
発熱や感染症で数日動けずにいると、体には次のことが起きます。
そして重要なのは、落ちた筋肉は、放っておいても自然には戻らないということです。とくに高齢者では、一度の入院や発熱をきっかけに要介護状態へ進むことがあります。
回復期は、平常時より多くの栄養が要ります。
体重50kgなら1500〜1750kcal、たんぱく質60〜75gです。食欲が落ちているときにこの量を摂るのは簡単ではありません。だから工夫が要ります。
| 時期 | 食べるもの |
|---|---|
| 発熱中 | 水分優先。経口補水液、スープ、ゼリー、アイス、果物。食べられなくてよい |
| 熱が下がった直後 | おかゆ、うどん、茶碗蒸し、豆腐、白身魚。消化のよいもの |
| 2〜3日後 | 卵、鶏肉、魚を加える。ここでたんぱく質を意識する |
| 1週間後 | 普段の食事に戻す。量が戻らないなら分食で補う |
おかゆだけを長く続けないでください。おかゆは水分が多く、同じ茶碗1杯でもごはんの半分程度のエネルギーしかありません。たんぱく質もほとんど入りません。3日を超えるなら、卵や豆腐、魚を必ず足してください。
たんぱく質を摂っても、体を動かさなければ筋肉にはなりません。食事と運動をそろえて初めて戻ります。
「病み上がりだから安静に」を長く続けないでください。安静そのものが筋肉を減らします。
これらがあれば、フレイルやサルコペニアが進んでいる可能性があります。かかりつけ医とケアマネジャーに相談してください。介護保険をまだ使っていない方は、地域包括支援センターが窓口になります。
回復期は、本人も家族も余力がない時期です。ここで栄養が入らないことが、その後を決めます。
配食のふれ愛 太子店では、1食から、必要な期間だけご利用いただけます。「退院してから2週間だけ」「熱が下がるまで」といった使い方もできます。管理栄養士が組んだ献立なので、たんぱく質と野菜が確実に入ります。
熱が下がって症状が消えても、体は元に戻っていません。数日寝ていただけで、思っている以上のものが失われています。ここを理解しておかないと、回復期の食事の重要さが分かりません。
まず、筋肉です。安静にしている状態が続くと、1日あたり数百グラムから1キロ近い筋肉が失われるといわれています。高齢の方では、この落ち方が速く、戻り方が遅くなります。1週間寝込めば、そのぶんを戻すのに数週間から数か月かかります。
次に、体内の水分と電解質です。発熱、発汗、食事量の低下によって、体は乾いた状態になっています。脱水は、だるさ、ふらつき、便秘、意識のぼんやりとして残ります。
そして、食欲そのものです。熱が下がっても、しばらくは食べられません。この時期に「まだ食べられないから」と量を戻さないでいると、落ちた体重がそのまま固定されます。高齢の方が寝込みをきっかけに動けなくなっていく道筋は、ほとんどがここから始まります。回復期こそ、意識して食べる時期です。
回復期には、普段より多くのたんぱく質とエネルギーが必要です。失った筋肉を作り直す材料が要るためです。ところが、食欲は落ちたままなので、放っておくと必要量に遠く届きません。
目安として、体重1kgあたり1.2〜1.5gのたんぱく質が勧められます。体重50kgなら60〜75gです。これは普段より多い量なので、意識しないと届きません。毎食に主菜を欠かさず、さらに間食でも たんぱく質を取ることになります。
具体的には、朝に卵と納豆と牛乳、昼に魚と豆腐、夜に肉と副菜、間食にヨーグルトとチーズ。この形で、ようやく60gを超えます。1食に集中させるのではなく、3食プラス間食2回に分けて積み上げてください。
食欲が戻らないうちは、少量で栄養の入るものを使います。栄養補助食品、プリン、アイスクリーム、卵豆腐、茶わん蒸し、豆乳、チーズ。この時期に「バランスの取れた食事」にこだわると、量そのものが入りません。まずエネルギーとたんぱく質を入れることを優先してください。
寝込んでいるあいだ、ほとんど食べていなかった場合、いきなり通常の食事に戻すと胃腸が受け付けません。順を追って戻してください。
最初は、水分と、消化のよい糖質からです。おかゆ、うどん、パン粥、いも。温かくして、味は薄めにします。この段階で大事なのは水分で、脱水が残っているあいだは体力も戻りません。飲みものだけでなく、汁もの、ゼリー、果物からも水分は取れます。
次に、脂の少ないたんぱく質を加えます。豆腐、白身魚、卵、鶏のささみ。調理はゆでる、蒸す、煮るにします。ここまでで、体を作る材料が入り始めます。
そして、通常の食事に戻していきます。油を使った料理、繊維の多い野菜、乳製品を加えます。戻す速さは、おなかの具合を見ながら決めてください。下痢が続くなら、一段階戻します。
戻すあいだも、食べる回数は多めに保ってください。1回の量が少ない時期は、回数で合計を確保するしかありません。3食にこだわらず、1日5〜6回に分けて食べる形が、この時期には合っています。
食べるだけでは筋肉は戻りません。落ちた筋肉を作り直すには、体を動かす刺激が必要です。栄養と運動は、どちらか一方では効きません。
寝込んだあとは、いきなり元の生活に戻さず、段階を踏んでください。まず、ベッドの上で座る時間を増やす。次に、ベッドから離れて椅子に座る。立ち上がる。室内を歩く。外に出る。1段階ずつ、日をかけて上げていきます。
とくに大事なのが、座っている時間を増やすことです。寝たままの姿勢が続くと、飲み込む力も落ち、食べる量も入りません。食事のときに座ることは、それ自体が回復のための運動になります。
そして、動くタイミングと食べるタイミングを組み合わせてください。体を動かしたあとにたんぱく質を取ると、筋肉が作られやすくなることが知られています。散歩から帰ったあとに牛乳を飲む、体操のあとに間食を取る。この程度の組み合わせで構いません。
ただし、心臓や肺の病気がある方、めまいやふらつきがある方は、どこまで動いてよいかを主治医に確かめてください。回復を焦って転倒すると、そこからさらに動けなくなります。順番を守ることが、結果として早い回復につながります。
回復が順調でない場合、早めに気づいて手を打つ必要があります。放置すると、そのまま動けない状態が固定されます。
目印を挙げます。熱が下がって2週間たっても食欲が戻らない。体重が戻らない、あるいは落ち続けている。立ち上がるのがつらい、歩く速さが明らかに遅くなった。日中も横になっている時間が長い。これらが当てはまるなら、自然に戻るのを待つ段階ではありません。
また、感染そのものが治りきっていない可能性もあります。微熱が続く、痰が続く、だるさが取れない、食後に息切れがする。高齢の方では、肺炎などがはっきりした症状を出さずに続くことがあります。受診して確かめてください。
そして、飲み込みの機能が落ちていないかも確かめてください。寝込んでいるあいだに落ちることがあります。むせる、食事に時間がかかる、食後に痰が増える、声がかすれる。これらがあれば、評価を受けてください。気づかずに元の食事を続けると、誤嚥から次の肺炎につながります。
相談先は、かかりつけ医とケアマネジャーです。介護保険を使っているなら、一時的にサービスを増やすこともできます。回復期だけ支援を厚くして、戻ったら減らすという使い方ができます。
回復期に十分な食事が必要だと分かっていても、本人も家族も疲れている時期です。ここで無理に手作りにこだわると、結局食べる量が確保できません。
使えるものを挙げます。レトルトのおかゆと雑炊、缶詰、冷凍食品、パックのごはん、栄養補助食品、宅配の惣菜、そして配食サービス。この時期は、手間をかけないことが最優先です。栄養があって、すぐ食べられるものを並べてください。
配食サービスは、回復期のような一時的な使い方もできます。1日1食だけ、1〜2週間だけ、といった使い方に対応している事業者があります。買いものに行けない、作る気力がない、という時期を乗り切るための手段として有効です。届けてもらうことで、外出せずに済むという利点もあります。
選ぶときは、量が調整できるか、やわらかい献立があるか、栄養成分が示されているかを確かめてください。食欲が戻っていない時期は、量の多い献立だと残してしまいます。少量でも栄養が入るように作られたものがあれば、そのほうが向いています。比べ方は配食サービスの確認12項目にまとめています。
そして、家族が作れないことを負い目に感じないでください。この時期に必要なのは、手作りかどうかではなく、必要な量が入ることです。作る側が倒れれば、支える人がいなくなります。
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