COPD(慢性閉塞性肺疾患)と食事|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

なぜやせるのか

COPD(慢性閉塞性肺疾患、いわゆる肺気腫や慢性気管支炎)では、呼吸そのものに大きな力が要ります。安静時のエネルギー消費が健康な人の1.2〜1.5倍になると言われます。

それでいて、次の理由で食事量は落ちます。

  • 食べると横隔膜が押され、息苦しくなる
  • 噛んでいる間、息が続かない
  • 痰がからむ、口が乾く
  • 疲れて食事の準備ができない

消費が増えて摂取が減る。だからCOPDの方はやせていきます。そして、やせると呼吸筋も落ちて、さらに息苦しくなります。この循環を止めることが食事の目的です。

体重を保つことが治療になる

COPDでは、やせている人ほど予後が悪いことが知られています。他の生活習慣病と方向が逆です。目標は「減らす」ではなく「保つ・増やす」です。

  • BMIで21以上を目安にする
  • 体重を週1回測る。減っていたら手を打つ
  • やせているのに減塩や脂質制限を優先しない(他の病気がある場合は主治医の指示に従う)

食べ方の工夫

  1. 1日5〜6回に分ける。一度にお腹を膨らませない。分食
  2. 食前に痰を出し、呼吸を整える。楽になってから食べ始める
  3. ゆっくり、途中で休む。ひと口ごとに呼吸を整える
  4. 少量で高エネルギーのものを選ぶ。油脂を活かす
  5. 疲れている日は、噛まなくてよいものに。ポタージュ、茶碗蒸し、ゼリー
  6. 酸素療法中は、食事中も外さない。指示された流量を守る

お腹が張るものを避ける

お腹にガスがたまると横隔膜が押し上げられ、息苦しさが増します。

控えめに向くもの
炭酸飲料、ビール水、麦茶、栄養補助飲料
さつまいも、豆類(大量に)、ごぼう豆腐、白身魚、卵、鶏肉
キャベツ、ブロッコリー(大量に)加熱してやわらかくした野菜
一度に大量の食事少量を回数多く

ただし、これらを禁止する必要はありません。量を控えるという意味です。食べられるものを減らすほうが害になります。

呼吸筋を保つたんぱく質

呼吸に使う筋肉も筋肉です。たんぱく質が不足すれば落ちます。体重1kgあたり1.2〜1.5gが目安とされます(腎機能に問題がない場合)。

  • 卵、豆腐、ヨーグルト、チーズ — 噛む力が要らない
  • 白身魚、鶏ささみ — やわらかく調理する
  • 牛乳、豆乳、栄養補助飲料 — 飲むだけで入る
  • 粉ミルク・スキムミルクをスープに混ぜる

あわせて高齢者とたんぱく質、低栄養とその対策をご覧ください。

準備の負担を減らす

COPDの方にとって、台所に立って調理をすること自体が大きな労作です。「作れないから食べない」は非常によく起きます。

配食のふれ愛 太子店では、温めるだけ、あるいはそのまま召し上がれる形でお届けしています。調理の負担をなくすだけで、摂取量が戻る方がいます。

少量で高エネルギーにする具体策

息をするだけでエネルギーを使う状態では、必要な量が普通より多くなります。ところが、おなかが張ると息苦しくなるため、たくさん食べられません。少ない量で多くのエネルギーを入れる工夫が要ります。

いちばん効くのが油です。1gで9kcalあり、少量で効率よくエネルギーが入ります。料理に油を足す方法を挙げます。ごはんにごま油やオリーブ油を少し混ぜる。汁ものにバターを落とす。おひたしにマヨネーズを添える。パンにバターを厚めに塗る。油を足すことに抵抗を感じる方が多いのですが、体重が落ちている方にとっては必要な手立てです。

次に、糖と脂を含む食品を間食に使います。カステラ、あんぱん、プリン、アイスクリーム、ようかん、チーズ、ナッツ。間食は栄養を入れる機会なので、控えるのではなく積極的に使ってください。

栄養補助食品も有効です。1本200kcal前後で、たんぱく質やビタミンも入っています。飲むタイプなら息が上がらずに取れるので、食事が進まないときの補いになります。

汁ものや飲みものでおなかを満たさないことも大事です。水分は必要ですが、食事の直前に大量に飲むと、食べられる量が減ります。水分は食間に取り、食事のときは控えめにするという配分にしてください。

息苦しさを避ける食べ方

食事のたびに息が上がると、食べること自体が嫌になります。息苦しさを減らす食べ方があります。

まず、1回の量を減らして回数を増やします。1日3食を、5〜6回に分けます。胃がふくらむと横隔膜が押し上げられ、息苦しくなります。1回の量が少なければ、この負担が減ります。

次に、姿勢です。前かがみになると胸が圧迫されます。背もたれに寄りかかり、上体を起こして食べてください。テーブルが低いと自然に前かがみになるので、高さも確かめます。

食べる前に休むことも効きます。動いたあとすぐに食事をすると、息が整わないまま食べることになります。食事の10分前に座って呼吸を整えてから食べ始めてください。

ガスがたまりやすい食品も避けます。さつまいも、豆類、炭酸飲料、キャベツ、たまねぎを大量に取ると、おなかが張って息苦しくなります。まったく食べないのではなく、量を控えるという調整で足ります。

そして、食事の前後に酸素を使っている方は、指示どおりに使ってください。食事は思っている以上に体力を使う動作です。食べるときこそ酸素が要る、という感覚を持ってください。

作る負担を減らして食事の回数を保つ

1日5〜6回の食事を毎日用意するのは、本人にとっても家族にとっても負担です。息が上がる状態で台所に立つのは、それ自体が体力を奪います。作る負担を減らすことが、そのまま栄養につながります。

常備しておきたいのは、そのまま食べられて栄養のあるものです。チーズ、ヨーグルト、豆乳、バナナ、カステラ、ビスケット、栄養補助食品、缶詰。手を伸ばせば届く場所に置いておくことが大事です。取りに行くのに息が上がるようでは、食べる回数が減ります。

調理をするなら、まとめて作って小分けにします。作る回数を減らせば、そのぶん体力が残ります。冷凍しておいて温めるだけにすれば、1回あたりの負担がほぼゼロになります。

配食サービスを使うのも現実的です。1日1食でも任せられれば、そのぶんの買いものと調理と後片づけが消えます。息切れがある方にとって、買いものに出ることそのものが大きな負担なので、届けてもらえること自体に価値があります。安否の確認を兼ねている事業者もあります。

そして、体重を毎週量ってください。この病気では、体重を保つことが治療の一部です。落ちているなら、食事の回数か1回の量か、どちらかが足りていません。落ち続けるようなら、主治医と栄養士に相談する時期です。

呼吸に使う筋肉を保つ

この病気で体重が落ちるとき、失われるのは脂肪だけではありません。筋肉も一緒に落ちます。そして、呼吸に使う筋肉が落ちると、息を吐き出す力そのものが弱くなります。体重を保つことが治療の一部だと言われるのは、この筋肉を守るためです。

筋肉を保つには、エネルギーとたんぱく質の両方が要ります。エネルギーが足りていない状態でたんぱく質だけ増やしても、そのたんぱく質はエネルギーとして燃やされてしまい、筋肉になりません。まず十分に食べたうえで、たんぱく質を確保するという順番です。体重50kgの方なら1日60g前後を目安にしてください。この病気では、健康な方より多めが勧められます。

取り方は、3食に分けます。朝に卵か納豆か豆腐、昼と夜に肉か魚を1品ずつ、そして間食に乳製品か栄養補助食品。この形なら、1回の量が少なくても合計で届きます。1食にまとめて食べようとすると、おなかが張って息苦しくなります。

そして、食べるだけでは筋肉は増えません。体を動かすことと組み合わせる必要があります。息切れがあると動くのが怖くなりますが、動かないと筋肉はさらに落ちます。どこまで動いてよいかは、必ず主治医に確かめてください。呼吸リハビリテーションを受けられる医療機関もあります。運動と栄養を組み合わせることで、はじめて筋肉が戻ります。

感染をきっかけに一気に落ちる

この病気で最も気をつけたいのが、風邪や肺炎をきっかけとした悪化です。数日寝込むだけで、食べる量が落ち、筋肉が減り、そこから戻らなくなることがあります。1回の感染が、その後の生活の質を段階的に下げてしまうという形が実際に起きます。

予防が第一です。手洗い、うがい、人混みを避けること、そして予防接種です。インフルエンザと肺炎球菌の予防接種については、主治医に相談してください。自治体が費用の一部を補助している場合があります。

口の中を清潔に保つことも、肺炎の予防になります。歯みがき、入れ歯の手入れ、舌の清掃。口の中の細菌が肺に入ることで起きる肺炎があるため、口腔ケアは呼吸器の病気を持つ方にとって重要です。歯科での定期的な確認も、感染の予防につながります。

そして、寝込んだあとの戻し方です。熱が下がっても、体力はすぐには戻りません。落ちた筋肉を戻すには、食べる量を回復期にこそ増やす必要があります。食欲が戻らないうちに元の生活に戻ろうとすると、体重が落ちたまま固定されます。回復期の1〜2か月は、意識して量を増やしてください。この時期に栄養補助食品を使うのは、有効な使い方です。

在宅酸素と食事を両立させる

在宅酸素療法を受けている方の場合、食事の場面にも工夫が要ります。管が邪魔になる、食べながら息が上がる、食卓まで移動するのに疲れる。こうした問題が、食べる量に直結します。

まず、食卓の位置を見直してください。移動の距離が長いと、着いた時点で息が上がり、食欲が落ちます。座る場所と、酸素の機械の位置と、台所の距離。この3つを短くするだけで、食事が楽になります。延長の管を使えば、移動せずに済む配置ができる場合があります。

食事中に酸素を外さないでください。食べることは体力を使う動作なので、そのあいだこそ酸素が必要です。管が邪魔で外してしまう方がいますが、そうすると息が上がって食べられなくなります。食事のときに管がどうなるかを、訪問看護師や業者に相談すれば、使いやすい形を提案してもらえます。

そして、酸素を使いながら火を使うことの危険についても、忘れないでください。調理の場面では、酸素の器具を火から離す必要があります。安全のために、調理そのものを減らす方向で考えるのも一つの選択です。配食サービス、宅配の惣菜、レトルト、冷凍食品。火を使う回数が減ることは、栄養の面だけでなく安全の面でも意味があります。使い方の比べ方は配食サービスの確認12項目にまとめています。

制限のある食事を、毎日ひとりで組み立てない

配食のふれ愛 太子店では、カロリー調整食・たんぱく調整食をはじめ、栄養バランスに配慮した食事を管理栄養士の献立でお届けしています。主治医から受けている指示をお伝えいただければ、どのコースが合うかを一緒に確かめます。まずは無料試食からお試しください。

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関連用語

たんぱく質

筋肉・臓器・免疫をつくる栄養素。高齢者は不足しやすくなります。

BMI

体重と身長から出す体格の指標。高齢者は21.5〜24.9が目安とされます。

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

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