透析中の食事|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

なぜ方針が変わるのか

透析導入前(保存期)の食事は、残っている腎機能を守るためにたんぱく質を制限します。ところが透析が始まると、目的が変わります。

  • 老廃物は透析で除去できる
  • 透析のたびにアミノ酸が失われる
  • 栄養状態が悪いと予後が悪くなる

そのため、たんぱく質はむしろしっかり摂る方針に変わります。体重1kgあたり0.9〜1.2gが目安です。高齢者の慢性腎臓病(CKD)と食事療法と混同しないでください。

5つの管理項目

項目目安要点
エネルギー体重1kgあたり30〜35kcal不足するとたんぱく質が燃やされる
たんぱく質体重1kgあたり0.9〜1.2gしっかり摂る。ただしリンに注意
塩分1日6g未満のどが渇き、水分が増える原因になる
水分透析間の体重増加で管理中1日で体重の3%、中2日で5%以内が目安
カリウム・リン検査値による高すぎると危険。個別の指示に従う

数値はあくまで一般的な目安です。透析の条件、残存腎機能、体格によって指示は変わります。担当の管理栄養士の指示が優先します。

カリウムを減らす調理

カリウムが高いと不整脈や心停止を招くため、最も注意が要ります。カリウムは水に溶けるので、調理で減らせます。

  • ゆでこぼす。ゆで汁は捨てる。葉物で3〜5割減ります
  • 水にさらす。細かく切ってから、たっぷりの水に
  • 生野菜・果物を控える。とくにバナナ、メロン、キウイ、干し果物
  • いも類は切ってからゆでる。丸ごとゆでても抜けません
  • 汁物は具だけ食べる。汁にカリウムと塩分が出ています
  • 「減塩しお」に注意。ナトリウムの代わりにカリウムが入っています。透析の方は使わないでください

最後の項目は見落とされがちで、危険です。減塩調味料の成分表示を必ず確かめてください。

リンを減らす

リンが高い状態が続くと、血管の石灰化や骨の異常につながります。

リンが多い比較的少ない
加工食品全般(ハム、ソーセージ、練り物、インスタント麺)生の肉・魚
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)—
小魚、レバー、卵黄卵白
ナッツ、大豆製品(多め)—
コーラなど(リン酸塩)水、麦茶

とくに加工食品に添加されるリン酸塩は吸収率が高く(9割以上)、注意が要ります。同じリン量でも、天然の食品より体に入りやすいのです。「リン酸塩」「かんすい」「pH調整剤」の表示を見る習慣をつけてください。

リン吸着薬が処方されている場合は、食事の直前か食事中に飲むことが重要です。食後に飲んでも効きません。

水分の管理

透析と透析の間の体重増加が、水分の摂りすぎの指標になります。増えすぎると、心臓に負担がかかり、透析中の血圧低下も起きます。

  • 塩分を減らすことが、水分管理の本体です。塩分が多いと必ずのどが渇きます
  • 氷をなめる、うがいをする、レモンや氷を含む
  • コップを小さいものにする
  • 飲んだ量を記録する
  • 汁物、麺のつゆ、果物、ゼリーも水分に数える

減塩の実際は高齢者の高血圧と食事をご覧ください。

やせを防ぐ

制限が多いため、結果として食事量が落ち、低栄養になる方が少なくありません。透析患者では、栄養状態が予後に直結します。

「食べてはいけないもの」を数えるより、「食べられるものを、しっかり食べる」方向で組み立ててください。迷ったら透析施設の管理栄養士に相談を。栄養指導は保険で受けられます。

たんぱく質を「増やす」ことに切り替える

透析を始める前の段階では、たんぱく質を控えるよう指導されてきた方が多くいます。ところが透析が始まると、方針が逆になります。透析のたびにアミノ酸が抜けていくため、しっかり取らないと体が痩せていきます。

目安は、体重1kgあたり0.9〜1.2gです。体重50kgなら45〜60gになります。これは健康な方と同じか、やや多めの量です。保存期の指導を続けていると、この量に届きません。

実際の献立に置き換えると、毎食に主菜を1品欠かさないことになります。朝に卵か納豆か豆腐、昼に魚か肉を1品、夜に魚か肉を1品。「朝はパンと茶だけ」という食べ方をしていると、まず足りません。

ここで難しいのが、たんぱく質を多く含む食品には、リンも多く含まれるという点です。この兼ね合いが、透析中の食事をややこしくしています。たんぱく質を減らしてリンを下げるのは間違いで、正しくはリンの吸着薬を指示どおりに飲みながら、たんぱく質を確保するという形です。食事だけで両立させようとすると、必ずどちらかが崩れます。方針は必ず主治医と栄養士に確かめてください。

カリウムを減らす調理の実際

カリウムは水に溶けるため、調理のしかたで減らせます。この工夫を知っているかどうかで、食べられる野菜の幅が変わります。

基本は、切って、水にさらして、ゆでこぼすことです。野菜は小さく切るほど表面積が増え、カリウムが出やすくなります。丸ごとゆでるのと、薄切りにしてゆでるのでは、減る量が大きく違います。ゆで汁は必ず捨ててください。ゆで汁を使った煮物では、減らした意味がなくなります。

いも類は、皮をむいて薄切りにし、水にさらしてからゆでます。葉物は、ゆでてから水にさらし、しっかり絞ります。根菜も薄切りにしてゆでこぼします。生野菜のサラダは、この工程が入らないため、量に気をつける必要があります。

カリウムが多い食品を挙げます。いも類、豆類、生の果物、ドライフルーツ、青汁、野菜ジュース、干し柿、バナナ、アボカド、海藻、そして減塩の調味料。減塩しょうゆや減塩の塩には、塩の代わりにカリウムが使われていることがあります。塩分を減らそうとして、カリウムを増やしてしまうことがあるので、原材料を確かめてください。

果物は缶詰を使うと、シロップにカリウムが溶け出しているため、実だけを食べれば量を抑えられます。ただし、シロップは飲まないでください。量については、血液検査の結果を見ながら主治医と決めてください。

リンを減らすときに見るところ

リンは、たんぱく質を含む食品に広く含まれます。しかし、同じリンでも吸収されやすさが違います。ここを知っておくと、減らすところが絞れます。

吸収されやすいのは、加工食品に添加物として使われているリンです。ハム、ソーセージ、練り製品、インスタント麺、加工チーズ、清涼飲料水、缶コーヒー、菓子パン。これらのリンは、ほぼ全部が吸収されます。減らすなら、まずここです。

一方、肉、魚、卵、大豆製品に含まれるリンは、吸収される割合が低くなります。つまり、加工食品を減らして、素材から作った料理に切り替えることが、たんぱく質を保ちながらリンを減らす方法になります。

乳製品もリンが多い食品です。牛乳、ヨーグルト、チーズ。カルシウムのために取りたくなりますが、量については指示に従ってください。小魚も、骨ごと食べるとリンが多くなります。

そして、リンの吸着薬を飲んでいる方は、飲み方が結果を左右します。食事と一緒に、あるいは食事の直前直後に飲むよう指示されているのは、食べたもののリンを捕まえるためです。食後しばらくしてから飲んでも効きません。飲み忘れが続くと、数値が下がりません。食卓に置いておく、外食のときは持ち歩くといった工夫をしてください。

水分と塩分をどう見積もるか

透析のあいだに体重がどれだけ増えるかは、水分と塩分の取り方で決まります。増えすぎると、透析のときに一度に引く量が増え、体に負担がかかります。

水分の管理で見落とされやすいのが、飲みもの以外から入る水分です。汁もの、おかゆ、麺類のつゆ、果物、ゼリー、豆腐、野菜の煮物。汁ものを1杯やめるだけで、150〜200mLが減ります。麺類を食べるときにつゆを飲み干すと、そこだけで300mL以上入ります。

そして、塩分を減らすことが水分の管理につながります。塩分を取ればのどが渇き、飲む量が増えるためです。「水を我慢する」より「塩を減らす」ほうが、実行しやすく、続きます。のどの渇きを我慢し続けるのは、精神的にこたえます。

のどの渇きを紛らわす工夫もあります。氷を口に含む、うがいをする、レモンや酸味のあるものを少し口に入れる、飴をなめる、口の中を潤すジェルを使う。口の乾きが強い方は、歯科や訪問看護師に相談すると、口腔ケアの方法を教えてもらえます。

体重は毎日、同じ条件で量ってください。透析と透析のあいだの増え方が分かると、何をしたときに増えるかが見えてきます。記録を持って栄養士に相談すれば、具体的な調整ができます。

やせを防ぐことが最優先になる場面

透析を受けている方の食事は、制限の話が中心になりがちです。しかし、制限を守った結果として食べる量が落ち、体重が減っていくなら、それは失敗です。

透析を受けている方にとって、栄養状態は生活の質と直結します。筋肉が落ちれば動けなくなり、免疫が落ちれば感染しやすくなります。数値を守ることと、体を保つことは、どちらも必要で、片方だけでは意味がありません。

体重が減ってきたとき、食事が制限だらけになっていないかを見直してください。カリウムを気にして野菜と果物を一切食べない、リンを気にして たんぱく質を減らす、水分を気にして食事量まで減らす。こうした行きすぎが積み重なると、食べられるものがほとんどなくなります。

迷ったときは、栄養士に相談してください。透析を受けている医療機関には管理栄養士がいることが多く、定期的に相談できます。1週間ぶんの実際の食事内容と、体重の記録を持っていってください。「気をつけています」だけでは、どこを直せばよいかが決まりません。

作る負担が重いときは、透析食に対応した配食や、宅配の冷凍食品を使う方法もあります。栄養成分が示されているものであれば、管理がしやすくなります。事業者の比べ方は配食サービスの確認12項目にまとめています。

外食と行事のときの考え方

制限の多い食事だからといって、外で食べる機会をすべて諦める必要はありません。頻度と、その日の組み立てで調整できます。

外食の日は、その前後の食事で調整します。塩分の多い食事をした日は、翌日を薄味にする。水分が多くなった日は、次の食事の汁ものをやめる。1食ごとに完璧を目指すより、数日単位で釣り合いを取るほうが現実的です。

選び方のこつもあります。麺類はつゆを残す。汁ものは頼まない。漬物は残す。たれやソースは、かけずに付けて食べる。これだけで塩分がかなり変わります。加工食品が中心のメニューより、焼き魚や焼き肉など素材そのものの料理を選ぶと、リンも抑えられます。

行事の席では、周囲に伝えておくと楽になります。「透析を受けているので、食べられないものがあります」と言っておけば、勧められて困ることがなくなります。黙って残すと心配されますが、理由が分かっていれば気にされません。

そして、たまの外食で数値が動いたとしても、そこで自分を責めないでください。続けられる形でなければ、管理そのものが続きません。厳しくしすぎて食事が苦痛になるより、たまの楽しみを残しながら日常を整えるほうが、長い目で見て良い結果になります。調整のしかたは、主治医と栄養士に相談して決めてください。

制限のある食事を、毎日ひとりで組み立てない

配食のふれ愛 太子店では、カロリー調整食・たんぱく調整食をはじめ、栄養バランスに配慮した食事を管理栄養士の献立でお届けしています。主治医から受けている指示をお伝えいただければ、どのコースが合うかを一緒に確かめます。まずは無料試食からお試しください。

メニュー詳細を見る 無料試食を申し込む

関連用語

腎臓病

腎機能が低下した状態。たんぱく質・塩分・カリウムの調整が必要になります。

カリウム

ナトリウムの排出を助けるミネラル。腎機能が低い方は制限が必要です。

たんぱく質

筋肉・臓器・免疫をつくる栄養素。高齢者は不足しやすくなります。

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

関連コラム

高齢者の慢性腎臓病(CKD)と食事療法

慢性腎臓病(CKD)のステージ分類(G1〜G5)と、ステージ別のたんぱく質・カリウム・リン制限、透析期の食事管理を管理栄養士が解説します。

高齢者の高血圧と食事

高齢者の高血圧の特徴と食事での管理法。DASH食、減塩のコツ、カリウム摂取、血圧を上げない献立の工夫を管理栄養士が解説。南河内地域の高齢者に向けた実践的な減塩メニューを紹介します。

カリウムとナトリウムの比

塩分を減らすのが難しいときに、カリウムを増やすという方法があります。ナトカリ比の考え方と、腎機能が低い方の注意点を解説します。

介護のことをもっと詳しく

介護保険や事業所探し、福祉用具の選び方は、同じ株式会社京谷商会が運営する情報サイトにまとめています。

かかりつけ医を決めておく

介護の窓口(kaigoinfo.com)の記事。持病がある方ほど、窓口を1つにしておく意味があります。

訪問診療と往診の違い

介護の窓口の記事。通院が難しくなったときの医療の形を説明しています。

薬が多すぎると感じたら

介護の窓口の記事。飲み合わせと減薬の相談先を整理しています。