ひざの痛みと体重|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

ひざにかかる力

平地を歩くとき、ひざには体重の約3倍の力がかかります。階段を下りるときは5〜7倍です。

つまり、体重が1kg減れば、歩行時にひざにかかる力は約3kg減ることになります。5kg減らせば15kgぶんです。変形性膝関節症の治療で減量が勧められるのは、この計算があるからです。

体重を5%落とすと痛みと機能が改善するという報告があり、10%落とすとさらに効果が大きくなるとされています。

高齢者の減量は、やり方が違う

ここが最も重要な点です。食べる量を単純に減らすと、脂肪より先に筋肉が落ちます。ひざを支えているのは太ももの筋肉なので、筋肉が落ちれば痛みはむしろ悪化します。

いわゆる「サルコペニア肥満」— 筋肉が少なく脂肪が多い状態 — がいちばん悪い組み合わせです。

やってはいけない正しいやり方
食事量を全体的に減らす糖質・脂質を減らし、たんぱく質は維持か増やす
主食を抜く主食を1割減らす程度に
肉・魚を減らすむしろ毎食入れる
急に減らす(月5kg以上)月1〜2kgまで
運動なしで食事だけ必ず運動を組み合わせる

減らすところ、残すところ

減らす:

  • 間食の菓子、菓子パン、清涼飲料
  • 揚げ物の回数(週1〜2回に)
  • アルコール
  • 主食の量を1割(茶碗にごはんを盛る量を少し減らす)
  • 調味料の油(ドレッシング、マヨネーズ)

残す・増やす:

  • たんぱく質:毎食、手のひら1枚分の肉・魚・卵・大豆製品
  • 野菜:かさが増え、満足感が出ます
  • 乳製品:カルシウムとたんぱく質
  • ビタミンD:筋肉の維持にも関わります

ひざを支える運動

痛いからと動かさないと、筋肉が落ちてさらに痛くなります。ひざに負担をかけずにできる運動があります。

  • 椅子に座って脚を伸ばす。片脚をまっすぐ伸ばして5秒保つ。左右10回ずつ
  • あお向けで脚を上げる。片脚を伸ばしたまま10cmほど上げて5秒
  • ひざの間にクッションを挟んで押す。内側の筋肉に効きます
  • 水中歩行。浮力でひざの負担が減ります
  • 平地歩行。痛みが出ない範囲で

正座、深いしゃがみ込み、階段の下り、ジャンプは避けてください。実際にどの運動が適するかは、整形外科や理学療法士に相談すると確実です。

効果があるとは限らないもの

グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントについては、変形性膝関節症への効果を明確に示す質の高い証拠は乏しいというのが現在の評価です。国内外の診療ガイドラインでも積極的には推奨されていません。

費用をかけるなら、減量・運動・適切な靴・杖や膝装具のほうが確実です。杖や装具は介護保険や医療保険の対象になる場合があります。ケアマネジャーに相談してください。

転倒を防ぐことが最終目的

ひざの痛みは、外出を減らし、筋力を落とし、転倒と骨折につながります。骨折は要介護状態への最短経路です。

痛みの管理、体重、筋力、そして骨。この4つをそろえて考えてください。

高齢の方の減量は若い方と別物

ひざの負担を減らすために体重を落とす、という話はよく知られています。しかし、高齢の方の減量は、若い方と同じやり方をしてはいけません。落ちるものの中身が違うためです。

若い方が食事を減らすと、脂肪が中心に落ちます。高齢の方が同じことをすると、筋肉から落ちます。ひざを支えているのは筋肉なので、筋肉が落ちればひざはかえって痛くなります。体重は減ったのに歩けなくなった、という結果になりかねません。

そのため、高齢の方の減量では、たんぱく質を減らさないことが絶対の条件になります。減らすのは、菓子、甘い飲みもの、揚げもの、酒、そして主食の食べすぎです。肉、魚、卵、豆腐、乳製品は減らしません。むしろ、意識して取る必要があります。

速さも違います。1か月に0.5〜1kg程度の、ゆっくりした落とし方にしてください。急に落とすと、筋肉と骨が一緒に減ります。そして、落とすかどうか自体を主治医に確かめてください。すでにやせている方、体重が落ち始めている方に減量は不要で、むしろ害になります。

ひざを支える筋肉をどう保つか

減量と並んで大事なのが、ひざを支える筋肉を保つことです。とくに、太ももの前側の筋肉が弱ると、ひざへの負担が直接的に増えます。

ここで必要なのが、たんぱく質と運動の組み合わせです。食べるだけでも、動くだけでも、筋肉は増えません。体重50kgの方なら1日60g前後のたんぱく質を取り、そのうえで運動をします。

運動といっても、ひざが痛い状態で歩き回るのは逆効果です。痛みを増やさずにできる方法があります。椅子に座って足をまっすぐ伸ばす、あおむけで足を上げる、水中を歩く。ひざに体重をかけずに筋肉を使える形を選んでください。

回数と強さは、理学療法士や医師に相談して決めるのが確実です。自己流で強くやりすぎると、痛みが増して続けられなくなります。整形外科でリハビリを受けられる場合もありますし、自治体の介護予防の教室が使えることもあります。

そして、続けることが条件です。筋肉は、やめれば数週間で落ちます。短期間強くやるより、軽い運動を毎日続けるほうが、結果が出ます。

食事で減らすところを具体的に決める

「食べる量を減らす」という漠然とした目標では、続きません。減らすところを具体的に決めてください。

まず、飲みものです。甘い飲みもの、缶コーヒー、清涼飲料水、果汁飲料、酒。1日500mLの甘い飲みものをやめるだけで、1日約200kcal減ります。これだけで、半年で数kgに相当します。飲みものは、食事の満足感にほとんど関わらないため、減らしても つらくありません。

次に、菓子と間食です。ただし、間食を全部やめると、たんぱく質を取る機会が減ることがあります。菓子をやめて、ヨーグルトやチーズに替えるという形にしてください。減らすのではなく、置き換えです。

そして、揚げものと脂の多い肉です。調理法を、揚げる・炒めるから、煮る・蒸す・網焼きに替えます。肉は、バラ肉やひき肉からもも肉やヒレ肉に替えます。同じ量を食べても、エネルギーがかなり減ります。

主食については、極端に減らさないでください。ごはんを減らしすぎると、エネルギーが足りず、たんぱく質が筋肉ではなくエネルギーとして使われます。茶碗に軽く1杯を目安に、抜かずに続けてください。

効果があるとは限らないもの

ひざの痛みに効くとうたう商品は数多くあります。しかし、効果がはっきりしないものも多く、費用と期待だけが積み上がることがあります。

飲むタイプの健康食品については、効果を裏づける根拠がはっきりしないものが多くあります。試すこと自体を止めはしませんが、それに頼って体重管理と運動をおろそかにすると、本来やるべきことが進みません。優先順位を間違えないでください。

また、甲殻類から作られた成分を含む製品があります。えびやかにのアレルギーがある方は、原材料を確かめてください。健康のために飲んだものでアレルギーが出た、という例があります。

飲んでいる薬との組み合わせにも注意が要ります。血を固まりにくくする薬を飲んでいる方は、一部の健康食品が影響することがあります。始める前に、医師か薬剤師に確かめてください。

確実に効くと分かっているのは、体重を落とすこと、筋肉を保つこと、そして必要に応じて医療的な治療を受けることです。地味ですが、ここに時間とお金をかけるほうが結果につながります。

痛みで食事の準備ができなくなる

ひざが痛むと、立って調理をすることが負担になります。買いものに出るのもつらくなります。その結果、食事が簡単なもので済まされるようになり、栄養が偏ります。

実際に起きるのは、パンと茶だけの朝食、インスタント麺の昼食、買い置きの惣菜の夕食、といった形です。たんぱく質が足りなくなり、筋肉がさらに落ち、ひざの負担が増える。この循環が、痛みから始まって栄養に及びます。

手を打つ方向は2つです。1つは、調理の負担を減らすこと。座って調理ができるよう椅子を置く、まとめて作って冷凍する、下ごしらえ済みの食材を使う、電子レンジで完結する調理に切り替える。台所に立つ時間を短くする工夫が、そのまま食事の質につながります。

もう1つは、外の力を借りることです。買いものの宅配、惣菜の宅配、配食サービス、訪問介護での調理。買いものに出られないことが原因なら、届けてもらうことで解決します。介護保険を使っているなら、ケアマネジャーに相談してください。

そして、痛みそのものへの治療も並行してください。痛みを我慢し続けると、動かなくなり、筋肉が落ち、さらに痛くなります。整形外科で相談すれば、薬、注射、リハビリ、装具といった選択肢があります。

転ばない体を作ることが最終の目的

ひざの痛みへの対応は、痛みを取ることだけが目的ではありません。最終的に目指すのは、転ばずに歩き続けられる体です。

ひざが痛むと、歩き方が変わります。かばう歩き方になり、片側に負担が寄り、バランスが崩れます。その状態で段差につまずけば、転倒します。高齢の方の転倒は、骨折から寝たきりにつながることがあります。

そのため、痛みへの対応と同時に、転倒を防ぐ対策も進めてください。家の中の段差をなくす、手すりを付ける、滑りやすい床を直す、明るくする、履きものを見直す。これらは介護保険の住宅改修や福祉用具の対象になることがあります。ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してください。

そして、栄養の面では、骨を保つことも忘れないでください。カルシウム、ビタミンD、そしてたんぱく質。転んだときに折れるかどうかは、骨の状態で決まります。乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜、さけ、きのこ。日光に当たることも役に立ちます。

体重を落とすこと、筋肉を保つこと、骨を保つこと、家を安全にすること。この4つが揃って、はじめて歩き続けられる状態が保たれます。体重の数字だけを追いかけると、ほかが抜けます。

痛みで動かないことが次の痛みを作る

痛いから動かない。動かないから筋肉が落ちる。筋肉が落ちるから、さらに痛くなる。この流れを断つことが、最も重要です。

痛みが強いときに無理をする必要はありません。しかし、痛みが落ち着いている時期に動かないままでいると、確実に悪くなります。「痛くなったら休む、落ち着いたら動かす」という切り替えが要ります。

そして、動かし方には順序があります。体重をかけない姿勢で行う運動から始めるのが基本です。座った姿勢や横になった姿勢で行える方法があります。理学療法士に教わってください。自己流で始めると、痛みが増すことがあります。

痛みで外に出なくなると、他の問題も出てきます。買い物に行けない、人に会わない、食事の用意ができない。結果として、食べる量が落ち、体力がさらに落ちます。痛みの問題が、生活全体に広がっていきます。

だからこそ、痛みの管理を医師に相談してください。我慢することが良いことだと考えないでください。痛みが抑えられれば、動けるようになり、その先の悪循環を止められます。

制限のある食事を、毎日ひとりで組み立てない

配食のふれ愛 太子店では、カロリー調整食・たんぱく調整食をはじめ、栄養バランスに配慮した食事を管理栄養士の献立でお届けしています。主治医から受けている指示をお伝えいただければ、どのコースが合うかを一緒に確かめます。まずは無料試食からお試しください。

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関連用語

たんぱく質

筋肉・臓器・免疫をつくる栄養素。高齢者は不足しやすくなります。

サルコペニア

加齢に伴う筋肉量と筋力の低下。転倒と要介護の危険を高めます。

ビタミンD

カルシウムの吸収を助けるビタミン。日光浴と食事の両方から得られます。

BMI

体重と身長から出す体格の指標。高齢者は21.5〜24.9が目安とされます。

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