筋肉・免疫・体力維持の要となるたんぱく質。加齢とともに不足しがちな理由と、毎日の食事で必要量を確保するための具体的な方法をお伝えします。
「年をとったら、あっさりしたものがよい」と言われます。太子町・河南町・羽曳野市・富田林市・大阪狭山市・香芝市でお食事をお届けしていても、肉や魚を控えめにされている方によくお会いします。ところがたんぱく質だけは、若い頃より多く要るというのが今の考え方です。
理由は、同じ量を食べても筋肉になりにくくなるからです。加齢とともに、たんぱく質を筋肉に変える働きが鈍くなります。若い頃と同じ量では追いつかず、少しずつ筋肉が減っていきます。減ったことに気づくのは、立ち上がりにくくなってから、転んでからです。
この記事では、高齢者に必要なたんぱく質の量から、不足したときに起きること、3食への配り方、そして増やしてはいけない場合まで順にお伝えします。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、65歳以上の高齢者に推奨されるたんぱく質の摂取量は、男性で1日60g、女性で1日50gです。体重1kgあたり約1.0〜1.2gが目安となります。
しかし、実際の調査では70歳以上の高齢者の約3割が推奨量を下回っているとされています。特に一人暮らしの高齢者や、食欲が低下している方は不足しやすい傾向があります。低栄養のリスクを避けるためにも、日々の食事でのたんぱく質量を意識することが重要です。
| 年齢 | 男性(推奨量) | 女性(推奨量) | 体重あたりの目安 |
|---|---|---|---|
| 50〜64歳 | 65g/日 | 50g/日 | 約0.9〜1.0g/kg |
| 65〜74歳 | 60g/日 | 50g/日 | 約1.0〜1.2g/kg |
| 75歳以上 | 60g/日 | 50g/日 | 約1.0〜1.2g/kg |
注目すべきは、高齢者の推奨量が若い世代と比べてほぼ同じか、それ以上に設定されている点です。これは加齢に伴う筋たんぱく質の合成効率の低下を補うためです。国立健康・栄養研究所の研究でも、高齢者は同じ量のたんぱく質を摂取しても若年者に比べて筋肉の合成反応が弱い「アナボリックレジスタンス」が確認されており、むしろ若い世代より多く摂る必要があるとされています。
たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、そのうち9種類は体内で合成できない必須アミノ酸です。必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」が100に近い食品ほど良質なたんぱく質源とされています。
| 食品 | アミノ酸スコア | 特徴 |
|---|---|---|
| 卵 | 100 | 最も理想的なアミノ酸バランス |
| 鶏肉・牛肉・豚肉 | 100 | ロイシンが豊富で筋肉合成に有効 |
| 魚介類 | 100 | EPA・DHAも同時に摂取できる |
| 牛乳・乳製品 | 100 | カルシウムも豊富 |
| 大豆・豆腐 | 100 | 植物性で脂質が少ない |
| 白米 | 65 | リジンが不足(大豆と組み合わせると改善) |
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランスよく組み合わせることが理想的です。「動物性と植物性のたんぱく質はどちらが良い?」の記事でも詳しく解説しています。
高齢者のたんぱく質不足は、単なる栄養不足にとどまらず、深刻な健康問題につながります。特に問題となるのがサルコペニアとフレイルです。
サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉量と筋力が著しく低下した状態を指します。65歳以上の約15%がサルコペニアに該当するとされ、たんぱく質の慢性的な不足は最大の原因の一つです。
サルコペニアが進行すると、歩行速度の低下、転倒・骨折のリスク増加、さらには寝たきりにつながる可能性があります。「フレイルとは?」のコラムで、予防法を詳しく解説しています。
| 影響を受ける部位 | 具体的な症状 | メカニズム |
|---|---|---|
| 筋肉 | 筋力低下、歩行困難、転倒リスク増 | 筋たんぱく質の合成が分解を下回る |
| 免疫系 | 感染症にかかりやすくなる | 免疫グロブリンや白血球の原料不足 |
| 皮膚・髪・爪 | 傷の治りが遅い、髪が細くなる | コラーゲン・ケラチン合成の低下 |
| 血液 | 貧血、むくみ | アルブミン低下による膠質浸透圧の低下 |
| 骨 | 骨粗しょう症の進行 | 骨のコラーゲン基質の形成不全 |
| 精神面 | 意欲低下、うつ傾向 | 神経伝達物質(セロトニン等)の原料不足 |
フレイル(虚弱)は、サルコペニアをはじめとする身体機能の低下に加え、認知機能や社会的活動の減少を含む包括的な概念です。たんぱく質不足は以下の悪循環(フレイルサイクル)を引き起こします。
このフレイルサイクルを断ち切るには、早い段階でたんぱく質の摂取量を見直すことが最も効果的です。「フレイルを予防する食事と生活習慣」もあわせてご覧ください。
良質なたんぱく質は、動物性食品と植物性食品の両方からバランスよく摂ることが大切です。「たんぱく質を手軽に摂れる食品は?」のFAQでも簡単にまとめています。
| 食材 | 分類 | 1食の目安量 | たんぱく質量 | 特筆すべき栄養素 |
|---|---|---|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし) | 動物性 | 100g | 約23g | 低脂質、イミダペプチド |
| 豚ロース | 動物性 | 80g | 約16g | ビタミンB1が豊富 |
| 牛もも肉 | 動物性 | 80g | 約16g | 鉄分・亜鉛が豊富 |
| ブリ(焼き) | 動物性 | 1切れ(80g) | 約17g | EPA・DHA、ビタミンD |
| 鮭(焼き) | 動物性 | 1切れ(80g) | 約18g | ビタミンD、アスタキサンチン |
| 卵 | 動物性 | 1個(60g) | 約7g | 完全栄養食品 |
| 木綿豆腐 | 植物性 | 1/3丁(100g) | 約7g | カルシウム、イソフラボン |
| 納豆 | 植物性 | 1パック(40g) | 約7g | ビタミンK2、ナットウキナーゼ |
| 牛乳 | 動物性 | コップ1杯(200ml) | 約7g | カルシウム |
| ヨーグルト | 動物性 | 1個(100g) | 約4g | 乳酸菌、腸内環境改善 |
たんぱく質は体内に大量に貯めておくことができません。1食にまとめて摂るよりも、朝・昼・夕の3食に均等に分けて摂ることで、筋肉の合成効率が高まることが研究で示されています。
理想的には、毎食20g前後のたんぱく質を摂ることを目指しましょう。特に高齢者では、1回の食事で20g以上のたんぱく質を摂ると筋たんぱく質の合成が最大限に刺激されるとの報告があります。
特に重要なのが朝食です。睡眠中は筋肉の分解が進むため、起床後速やかにたんぱく質を補給することが筋肉量の維持につながります。朝食で卵と牛乳を摂るだけで約14gのたんぱく質を確保できます。
筋肉の合成を直接的に刺激するアミノ酸として注目されているのがロイシン(必須アミノ酸の一種)です。1食あたり2〜3gのロイシンを摂取することで、筋たんぱく質の合成が効率的に活性化されます。
| 食品 | 目安量 | ロイシン含有量 |
|---|---|---|
| 鶏むね肉 | 100g | 約1.8g |
| 牛肉 | 100g | 約1.6g |
| 鮭 | 80g | 約1.3g |
| 卵 | 1個 | 約0.6g |
| 牛乳 | 200ml | 約0.7g |
| 大豆(ゆで) | 50g | 約0.6g |
たんぱく質源の食材は、鶏肉・豚肉・牛肉・魚・卵・大豆製品をローテーションで使い分けています。「牛とじ煮」や「ブリの西京焼き」は、どちらも1品で15g以上のたんぱく質を含む主菜です。
せっかくたんぱく質豊富な食材を用意しても、硬くて食べにくければ十分な量を摂取できません。高齢者にとって食べやすい調理法を選ぶことも大切です。
たんぱく質の摂取量を増やすために、日常の食事に少しずつプラスする方法が効果的です。大きく食事を変える必要はありません。
| ちょい足しアイデア | たんぱく質の増加量 | ポイント |
|---|---|---|
| ごはんにちりめんじゃこをのせる | +約3g | カルシウムも同時に摂取 |
| 味噌汁に豆腐や卵を入れる | +約5〜7g | 毎食の汁物で手軽に |
| おやつにヨーグルトやチーズを選ぶ | +約4〜6g | 乳酸菌で腸内環境も改善 |
| サラダにツナやゆで卵をトッピング | +約7g | 野菜と一緒に摂取 |
| おひたしにかつお節をたっぷり | +約3g | うま味も加わり美味しさアップ |
| 牛乳をコップ半分飲む | +約3.5g | 起床時や間食時に |
食が細い方は、少量で高たんぱくな食品を意識的に選ぶことが重要です。たとえば、卵1個で約7gのたんぱく質が摂れます。食欲がないときでも、温泉卵やプリンなら食べやすいでしょう。「食欲がないときの工夫は?」も参考にしてください。
たんぱく質を効率よく活用するには、一緒に摂る栄養素も重要です。
お届けの際に「最近食が細くなった」とおっしゃるお客様には、小町(少量タイプ)のご案内もさせていただいています。少ない量でもたんぱく質はしっかり確保できるメニューですのでご安心ください。
「1食20gのたんぱく質」と言われても、具体的にどんなメニューで達成できるのでしょうか。当店で実際にお出しした、ある一週間(月曜から日曜)のお弁当を例に、たんぱく質の積み上がり方をご紹介します。献立は毎月変わりますが、組み立ての考え方は変えていません。
| 食事 | 主菜 | 副菜 | たんぱく質の特徴 |
|---|---|---|---|
| 昼食 | 牛とじ煮 | 青菜の彩り和え、豆腐しんじょの炊き合せ、大根のエビあんかけ、野菜の塩炒め | 牛肉(動物性)+豆腐しんじょ(植物性)+エビ(動物性)の3種のたんぱく質源 |
| 夕食 | 塩だれメンチ | カリフラワー甘酢和え、ビビンバソテー、じゃが芋の鳴門煮、れんこんの生姜炒め | ひき肉メンチ(動物性)で高たんぱく。ビビンバソテーにも肉が入り計20g超 |
| 曜日 | 食事 | 主菜 | たんぱく質源 |
|---|---|---|---|
| 月 | 昼 | 牛とじ煮 | 牛肉 |
| 火 | 昼 | 牛肉とブロッコリーのクリーム煮 | 牛肉+乳製品 |
| 水 | 昼 | 水炊き風鶏鍋 | 鶏肉 |
| 水 | 夕 | ブリの西京焼き | ブリ(青魚) |
| 木 | 昼 | 豚ちり鍋風 | 豚肉 |
| 金 | 昼 | 赤魚の生姜煮 | 赤魚(白身魚) |
| 金 | 夕 | 豆腐ハンバーグの甘酢あんかけ | 豆腐+肉 |
| 土 | 昼 | 豚肉とチンゲン菜のピリ辛炒め | 豚肉 |
| 土 | 夕 | 炭火焼チキン(醤油ソース) | 鶏肉 |
| 日 | 昼 | 牛肉のトマト煮 | 牛肉 |
1週間を通して、牛肉・豚肉・鶏肉・魚・大豆製品がまんべんなくローテーションされていることがおわかりいただけると思います。毎日異なる食材からたんぱく質を摂取することで、各食材に含まれるビタミンやミネラルも偏りなく摂ることができます。
主菜だけでなく、副菜にもたんぱく質源が含まれている点にご注目ください。
このように、主菜で15g前後、副菜で5〜8gのたんぱく質を積み上げることで、1食あたり20g以上のたんぱく質を無理なく達成しています。
健康な腎臓をお持ちの高齢者であれば、推奨量のたんぱく質を摂取しても腎臓に問題はありません。ただし、慢性腎臓病(CKD)の診断を受けている方はたんぱく質の制限が必要な場合があります。詳しくは「高齢者の慢性腎臓病(CKD)と食事療法」をご参照ください。
魚は確かにEPA・DHAが豊富で健康に良いですが、肉にはロイシン(筋肉合成に重要なアミノ酸)やビタミンB12、鉄分が豊富です。どちらか一方に偏るのではなく、肉と魚を交互に食べることが理想的です。
サプリメントは食事で不足する分を補う手段としては有効ですが、通常の食事からたんぱく質を摂ることには、他の栄養素(ビタミン・ミネラル・食物繊維)も同時に摂取できるという利点があります。まずは食事からの摂取を基本とし、どうしても不足する場合に補助的に使いましょう。
たんぱく質が足りなくなるのは、量を意識していないときより、食欲が落ちる出来事が重なったときです。南河内でお届けしていて、崩れやすい時期はだいたい決まっています。
| 時期 | 崩れるきっかけ | 受け皿になるもの |
|---|---|---|
| 春(寒暖差と花粉) | 鼻づまりで味が分からず、食が進まない | 温かい汁物に卵や豆腐を落とす。味がわからないとき |
| 夏(暑さ) | そうめん・冷やし中華で通してしまう | 麺に必ずツナ・卵・薬味を乗せる。高齢者の夏バテ対策 |
| 秋(食欲は戻る) | 主食と果物に偏り、主菜が薄いまま | 取り戻す好機。魚と肉を増やす |
| 冬(外に出ない) | 活動量が落ち、買い物の回数が減る | 鍋と煮込みで一度に摂る。冬の低体温を防ぐ食事 |
| 入院・体調不良のあと | 数日で目に見えて筋肉が落ちる | 制限より先に量を戻す。退院後の食事管理 |
当店では、暑い時期は冷たい豆腐や卵とじ、寒い時期は水炊き風の鶏鍋や豚ちり鍋風というように、たんぱく質の量は変えずに、入れ物のほうを季節に合わせて組んでいます。食が細ってきたと感じたら、まず体重を測ってください。数字が落ちていれば、季節の話ではありません(低栄養とその対策)。
1日60g摂れていても、朝10g・昼15g・夕35gという配り方だと、 朝と昼のぶんは筋肉づくりに使われにくいことが分かっています。 筋肉の合成には1食あたりの下限があり、そこに届かない食事では スイッチが入らないからです。
| 食事 | 目標 | よくある実際 | 足すもの |
|---|---|---|---|
| 朝 | 20g | ごはんと味噌汁と漬物で5g前後 | 卵1個(7g)、納豆1パック(7g)、牛乳1杯(7g) |
| 昼 | 20g | 麺類だけで10g前後 | ツナ・卵・かまぼこ・豆腐を1品 |
| 夕 | 20g | 主菜があるので足りていることが多い | そのままでよい |
足りないのはほとんどの場合、朝と昼です。 夕食をもう1品増やすより、朝に卵か納豆を1つ足すほうが結果が出ます。 朝はもともと食が細い方が多いので、牛乳やヨーグルトのように 「噛まずに入るもの」から始めるのが現実的です。
当店は、1食の中で動物性と植物性を組み合わせることを決めごとにしています。 主菜に肉か魚を置き、副菜のどれかに豆腐・厚揚げ・かまぼこ・卵を入れる形です。 主菜だけで20gを狙うと肉の量が増えて食べきれなくなるためで、 2〜3品に分けて積み上げるほうが、高齢の方は残さずに食べられます。
| 組み立て | 例 | たんぱく質 |
|---|---|---|
| 主菜(肉・魚) | 鮭の塩焼き 1切れ、鶏の照り焼き | 13〜18g |
| 副菜に1品 | 豆腐しんじょ、卵とじ、かまぼこ、厚揚げの煮物 | +3〜7g |
| 汁物 | 豆腐とわかめの味噌汁 | +2〜3g |
| 合計 | 20〜25g |
季節に関係なくこの形は変えていません。夏は冷たい豆腐や卵とじ、 冬は温かい煮物と鍋仕立てというように、入れ物のほうを季節に合わせています。 噛む力が落ちてきた方には、同じたんぱく質量のまま形をやわらかくします (嚥下食とは?)。
ここまでは「足りない」前提の話です。反対に、 たんぱく質を増やすと悪くなる方がいます。
迷ったら、体重を週1回測って記録してください。 半年で2〜3kg、あるいは6か月で体重の5%が落ちていれば低栄養の入り口で、 そのときは制限より先に量を戻す話になります (低栄養とその対策、食事の記録の付け方)。
配食のふれ愛では、管理栄養士が監修した献立で、毎食のたんぱく質量を適切に管理しています。普通食で1食あたり約20gのたんぱく質を確保し、肉・魚・卵・大豆をバランスよく組み合わせた飽きのこないメニューをお届けします。
少量タイプの小町でも、たんぱく質は確保しつつカロリーと量を抑えた設計です。おかず大盛りやたんぱく質調整食など、お一人おひとりの状態に合わせた食事形態もご用意しています。
太子町・河南町・羽曳野市・富田林市・大阪狭山市・香芝市への配達時には、毎回の安否確認も行っています。食事の状態やお体の様子を見守りながら、必要に応じてメニューの変更もご提案いたします。
骨の健康維持に欠かせないカルシウムの摂り方と、骨粗しょう症予防のための食事法を解説します。
低栄養の原因とリスク、毎日の食事で実践できる予防ポイントをご紹介します。
フレイルの定義・3つの要素・フレイルサイクルをわかりやすく解説し、たんぱく質とエネルギー摂取による食事予防法を管理栄養士が紹介します。
南河内地域では一人暮らしの高齢者の方が増えています。当店では毎食のたんぱく質量を管理し、お一人でも栄養バランスを崩さない食事をお届けしています。まずは無料試食でお試しください。