冬の低体温を防ぐ食事|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

高齢者の低体温リスクとは

人間の体温は通常36〜37℃に維持されていますが、高齢者は加齢に伴い体温調節機能が低下するため、冬場に体温が35℃台にまで下がる低体温症に陥るリスクが高まります。厚生労働省の統計では、冬場の低体温による救急搬送は65歳以上が全体の約7割を占めています。

低体温の原因は複合的です。筋肉量の減少による産熱(さんねつ)能力の低下、末梢血管の収縮力の衰え、そして栄養不足が重なると、体を温める力が大幅に弱まります。特に一人暮らしの高齢者は、食事が簡素になりがちなため、エネルギーとたんぱく質が慢性的に不足し、冷えやすい体質になることがあります。

低体温が招く健康被害

  • 免疫力の低下:体温が1℃下がると免疫力は約30%低下するとされ、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります
  • 血行不良:手足の冷え、肩こり、関節痛の悪化につながります
  • 心臓・脳血管への負担:急激な冷えは血圧を急上昇させ、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます
  • 消化機能の低下:胃腸の動きが鈍くなり、栄養吸収が悪化します

体を温める食材と栄養素

東洋医学では食べ物を「体を温めるもの(温性)」と「体を冷やすもの(涼性)」に分類します。科学的にも、特定の栄養素や食材成分が体温上昇に寄与することがわかっています。

しょうが — ジンゲロールとショウガオール

しょうがに含まれるジンゲロールは生の状態で末梢血管を拡張させ、加熱するとショウガオールに変化して体の深部から温める効果を発揮します。味噌汁やスープにすりおろしたしょうがを加えるだけで、食事の温め効果が大幅にアップします。1回にすりおろし小さじ1程度(約5g)が目安です。

根菜類 — ごぼう・れんこん・にんじん・大根

土の中で育つ根菜類は、東洋医学で「体を温める食材」に分類されます。特ににんじんに豊富なβ-カロテンは粘膜を保護して風邪予防にも役立ち、ごぼうの食物繊維は腸内環境を整えて基礎代謝の維持に貢献します。豚汁やけんちん汁にたっぷり入れることで、温かさと栄養を同時に摂取できます。

唐辛子・シナモン・ねぎ類

唐辛子に含まれるカプサイシンは、交感神経を刺激してエネルギー代謝を活性化し、体温を上昇させます。ただし刺激が強いため、高齢者は少量ずつ取り入れましょう。シナモン(桂皮)は漢方薬にも使われ、末梢血流を改善する働きがあります。長ねぎや玉ねぎに含まれるアリシンも血行促進に効果的です。

たんぱく質と鉄分

食事をすると体が温かくなる現象を食事誘発性熱産生(DIT)と呼びます。三大栄養素の中でたんぱく質はDITが最も高く、摂取エネルギーの約30%が熱として放出されます。肉・魚・卵・大豆製品を毎食しっかり摂ることが、冬場の体温維持に直結します。

また、鉄分は血液中のヘモグロビンの材料であり、不足すると全身への酸素供給が低下して冷えの原因になります。レバー、赤身の肉、ほうれん草、小松菜などを意識的に摂りましょう。ビタミンB群はエネルギー代謝を助ける補酵素として、食べたものを効率よく熱に変換するために不可欠です。

温かい食事の重要性と冬場の食事の工夫

冬場は食事そのものの温度も大切です。冷たい食べ物や飲み物は胃腸を冷やし、消化吸収の効率を下げてしまいます。一方、温かい汁物は体の芯から温まり、脱水予防にもなります。

冬におすすめの食事パターン

食事おすすめメニュー温め効果のポイント
朝食しょうが入り味噌汁、温かいお粥、ゆで卵起床後の体温上昇を促進
昼食けんちん汁、根菜の煮物、焼き魚たんぱく質+根菜でDIT促進
夕食鶏の水炊き、温野菜サラダ、雑炊就寝前に深部体温を安定させる
間食ホットミルク、甘酒、焼きいも温かい飲み物で水分と栄養を同時補給

冬場の水分補給も忘れずに

冬は汗をかかないため喉が渇きにくく、水分摂取量が減りがちです。しかし暖房による空気の乾燥で、気づかないうちに体内の水分が失われています。温かいお茶やスープで、こまめな水分補給を心がけましょう。

冬場の栄養管理のポイント

冬は体温維持のために基礎代謝が上がり、エネルギー消費量が増えます。そのため、夏場と同じ食事量では栄養が不足しがちです。特に以下の点に注意しましょう。

  • エネルギー量を少し増やす:主食(ごはん・パン)を減らしすぎず、適切なカロリーを確保する
  • ビタミンCを積極的に:みかんやキウイフルーツ、白菜、ブロッコリーなどの冬野菜でビタミンCを補給し、免疫力を維持
  • 入浴前後の食事に注意:食後すぐの入浴は消化に悪影響。食事と入浴は30分以上間隔をあける
  • 朝食を抜かない:朝食で体のスイッチを入れ、1日の体温リズムを整える

食欲が落ちる場合は、少量でもエネルギー密度の高い食事を選ぶことが大切です。配食サービスを活用すれば、栄養バランスの整った温かい食事を毎日確実に摂ることができます。

部屋の温度を測る

感覚だけでは分かりません。

年齢が上がると、寒さを感じにくくなります。本人は「寒くない」と言います。実際には、部屋が冷えていることがあります。

そして、温度計を置いてください。数字で見えると、判断できます。目につく場所に置いてください。

どれくらいの温度に保てばよいかは、住まいや体の状態によって変わります。寒く感じない、というだけでは足りません。気になるときは医師に相談してください。

暖房費を惜しんで我慢する方がいます。体調を崩すほうが、結果として高くつきます。使ってください。

部屋ごとの差をなくす

危険は移動のときに起きます。

居間だけ暖かく、廊下やトイレが冷えている。この差が、体に負担をかけます。高齢の方には、大きな危険になります。

そして、脱衣所と風呂場が最も危ない場所です。服を脱いだ状態で、冷えたところに立ちます。暖めてから入ってください。

トイレにも小さな暖房を置く方法があります。夜中に行くときが、特に危険です。足元も明るくしてください。

入浴のときは、家族に声をかけてから入ってください。一人のときに倒れると、発見が遅れます。長湯を避けてください。

朝の一杯から始める

体を温める最初の一手です。

起きてすぐの体は、最も冷えています。そこに温かいものを入れると、動き出します。白湯でも構いません。

そして、朝食を抜かないでください。食べることそのものが、体を温めます。抜くと、午前中ずっと冷えたままになります。

温かい汁物を、朝に一杯。これだけで違います。前の晩に作っておけば、温めるだけです。

飲み込みにくい方は、とろみのある形にしてください。スープやポタージュなら、むせにくくなります。温度にも気をつけてください。

体をつくる材料が熱を生む

温める食材だけの話ではありません。

筋肉が少ないと、熱を作れません。やせている方ほど、冷えます。ここが根本の部分です。

そして、体をつくる材料を、毎食入れてください。肉、魚、卵、大豆、乳製品。一日一食だけでは足りません。

食べるだけでは、筋肉になりません。体を動かすことと組み合わせてください。寒くても、家の中で動いてください。

体重が減っている方は、まず量を確保してください。温める工夫より、そちらが先です。順番を間違えないでください。

外出が減ることの影響

この季節に、生活が縮みます。

寒いから出ない、日が短いから出ない。そのぶん、体を動かす量が減ります。筋肉が落ちます。

そして、人と会う機会も減ります。気持ちが沈み、食欲も落ちます。悪い方に回ります。

家の中でできることを決めてください。立ち座り、足踏み、家事。座りっぱなしにしないでください。

暖かい時間帯に外に出る方法もあります。昼前後の、日の当たる時間。短い時間で構いません。

着るものと寝具

食事と並ぶ、大事な部分です。

厚手のものを一枚より、薄手を重ねるほうが暖まります。空気の層ができます。脱ぎ着でも調整できます。

そして、首、手首、足首を覆ってください。ここが冷えると、全身が冷えます。効率よく温まります。

ただし、動きにくくならないよう注意してください。裾の長いものは、つまずきます。転倒の原因になります。

寝るときは、布団を暖めておいてください。冷たい布団に入ると、体が緊張します。眠りにも関わります。

湯たんぽと暖房器具の注意

やけどの危険があります。

感覚が鈍くなっていると、熱さに気づけません。低い温度でも、長く当たると火傷します。直接肌に触れないようにしてください。

そして、寝る前に布団から出してください。一晩中当たり続けると、危険です。糖尿の持病がある方は、特に注意が要ります。

電気を使う器具は、点検してから使ってください。古いものは、火災の原因になります。季節の初めに確かめてください。

燃焼する器具を使うときは、換気してください。締め切ったまま使わないでください。時間を決めて窓を開けてください。

水分が減ることの危険

この季節に、見落とされます。

寒いと、喉の渇きを感じません。飲む量が自然に減ります。本人に自覚がありません。

そして、暖房で空気が乾きます。息をするだけで、水分が出ていきます。気づかないうちに減ります。

温かい飲み物なら、続けられます。白湯、番茶、スープ。体も温まり、一石二鳥です。

トイレを嫌って控える方がいます。控えると、別の問題が起きます。夜中に行きやすい環境を整えてください。

一人暮らしの方の備え

この季節に、危険が重なります。

買い物に行けない日が増えます。雪や凍結のある地域では、特にそうです。備えを用意してください。

そして、常温で置ける食品を、いくつか置いてください。缶詰、レトルト、乾物。店に行けなくても、食べられます。

体調を崩したときに、誰が気づくかを決めておいてください。連絡の約束をつくってください。一日一度でも構いません。

届けてもらう形なら、安否の確認も兼ねられます。毎日誰かが来る形になります。検討してみてください。

体調の変化に早く気づく

最後に、判断の目安です。

いつもと様子が違う、応答が鈍い、ぼんやりしている。これらが見えたら、様子を見ないでください。すぐに連絡してください。

そして、体が冷え切っている、震えが止まらない。これも危険なしるしです。暖めながら、受診してください。

持病のある方は、この季節に悪化しやすくなります。受診の間隔を空けないでください。薬も切らさないでください。

迷ったときは、連絡してください。何もなければ、それで構いません。遅れるほうが困ります。

暖房費を我慢しない

最後に、現実的な話をひとつ添えます。

この季節に体調を崩す方の中には、暖房を控えていた方がいます。光熱費を心配して、我慢してしまうのです。気持ちは分かりますが、割に合いません。

体調を崩して受診すれば、その費用がかかります。入院すればさらに大きくなります。暖房を使うほうが、結果として安く済みます。

そして、市町村によっては、冬季の負担を軽くする仕組みがある場合があります。窓口で確かめてください。知らずに我慢している方が少なくありません。

離れて暮らす家族は、電話で室温を聞いてください。「寒くない」という答えは、当てになりません。温度計の数字を聞いてください。

冬に減るのは体温だけではありません

冬は、体温と一緒に水分・食事量・動く量の3つが同時に減ります。 しかも本人の自覚が最も薄い季節です。夏は「暑いから気をつけよう」と思えますが、 冬は「寒いから飲まない・出ない」が自然な行動として起きてしまいます。

減るもの冬に起きること手当て
水分汗をかかず、夜のトイレを嫌って自分から控える飲む時間を昼までに寄せる(脱水を防ぐ
動く量外に出ない日が続き、筋肉が落ちる室内でできる運動に切り替える(フレイル予防
お通じ水分と運動が減って便秘になる便秘を防ぐ食事
血圧の安定血管が縮んで血圧が上がる。入浴時の温度差が危ない高齢者の高血圧と食事脳卒中予防の食事
食事の中身買い物に行けず、同じものが続く買い物に行けなくなったら

年末年始は、この上に行事の食事と医療機関の休みが重なります。 お餅の窒息と塩分は、この時期いちばん多いご相談です年末年始の食事)。

冬を越えたら、春がいちばん食の進む季節です (春の旬の食材)。 冬のあいだに落ちたぶんは、そこで取り返せます。 当店は温かい状態でお届けし、その場でお顔を見ています。 冬のあいだだけのご利用でも構いません (配達時の安否確認)。

冬の食事管理は配食のふれ愛にお任せください

配食のふれ愛では、季節に応じた献立を管理栄養士が監修し、冬場は根菜類やしょうがを取り入れた体が温まるメニューをお届けしています。できたてのお弁当を温かい状態でお届けするので、冬の寒さが厳しい日も安心です。配達時にはご利用者様の様子を見守り、体調の変化にも気を配ります。

メニュー詳細を見る 無料試食を申し込む

関連用語

脱水

体内の水分が不足した状態。冬場は暖房や乾燥で気づかないうちに進行しやすく、血液の粘度上昇を招きます。

鉄分

ヘモグロビンの材料となるミネラル。不足すると貧血や冷え性の原因となり、全身の酸素供給が低下します。

ビタミンB群

エネルギー代謝に関わる8種のビタミンの総称。糖質・脂質・たんぱく質を効率よく熱に変換するために不可欠です。

関連コラム

年末年始の食事の注意点 — 高齢者の食べすぎ・偏りを防ぐ

年末年始特有の食事リスクと、おもちの窒息予防や塩分管理のポイントを解説します。

秋の旬食材で免疫力アップ

さんま・きのこ・さつまいもなど秋の味覚を活かした健康づくりの食事法を紹介します。

熱が出たあとの食事

発熱・感染症・入院のあとに落ちた体力と筋肉を戻すための食事を解説します。回復期に必要な栄養量と、戻すまでの期間の目安を整理します。