通帳をなくす、同じものを何度も買う。ここから先の備えがある
お金の管理ができなくなると、食事に直接影響します。
これらが起き始めたら、金銭管理の支援を検討する時期です。
| 日常生活自立支援事業 | 成年後見制度 | |
|---|---|---|
| 誰が行うか | 社会福祉協議会 | 家庭裁判所が選任した後見人等 |
| 対象 | 判断力に不安があるが、契約の意味は理解できる方 | 判断力が不十分〜欠けている方 |
| できること | 福祉サービスの利用援助、日常の金銭管理、通帳等の預かり | 財産管理全般、契約の締結・取消、身上保護 |
| 不動産の売却 | できない | できる(居住用は家裁の許可が必要) |
| 悪質契約の取消 | できない | できる |
| 手続き | 社協に申し込み、契約 | 家庭裁判所へ申立て |
| 期間 | 1〜2か月 | 2〜4か月 |
| 費用 | 1回1,000〜1,500円程度(自治体による。生活保護世帯は無料の場合あり) | 申立費用+後見人への報酬が毎月発生 |
判断力の低下が軽い段階では、こちらのほうが使いやすい制度です。
窓口は市区町村の社会福祉協議会です。地域包括支援センターからも紹介してもらえます。
注意点として、成年後見は原則として本人が亡くなるまで続きます。「一時的に使ってやめる」ことは基本的にできません。また、専門職が後見人になると月2〜6万円程度の報酬が発生し続けます。始める前に、本当に必要かを検討してください。
まだ元気なうちに準備しておける制度があります。
最後の項目は制度ではありませんが、実務上いちばん役に立ちます。「どの銀行に口座があるか分からない」状態から始めると、何をするにも時間がかかります。
高齢者を狙った訪問販売・電話勧誘は、健康食品や布団、リフォームなどで多く報告されています。
「健康食品を大量に買っている」は、判断力の低下と孤立のサインです。叱るのではなく、支援につなげてください。サプリメントとの付き合い方もご覧ください。
金銭の問題が、食事の問題として表れることがあります。
年金は入っているのに、食べるものがない。この状態が起きることがあります。お金の場所が分からない、引き出し方が分からない、通帳をなくした。理由はさまざまです。
そして、必要のないものに使ってしまう場合もあります。高額な健康食品の定期購入、不要な住宅の修繕、繰り返される訪問販売。気づいたときには、生活費が残っていないことがあります。
家族が気づく手がかりがあります。冷蔵庫が空、同じものばかり食べている、光熱費が止まっている、督促の郵便が届いている。本人は隠すことがあります。
金銭の管理に不安が出てきたら、早めに手を打ってください。判断力がある段階のほうが、選べる方法が多くあります。問題が起きてからでは、手が限られます。
元気なうちに準備しておくと、あとの選択肢が広がります。
まず、財産の状況を整理しておくことです。どこの銀行に口座があるか、年金はどこに入るか、保険はどうなっているか。本人だけが知っている状態は、危険です。
そして、信頼できる家族と共有しておいてください。すべてを見せる必要はありませんが、いざというときに分かる状態にしておくことが重要です。本人が倒れたあと、家族が何も分からずに困る例が多くあります。
将来に備えて、あらかじめ支援者を決めておく契約もあります。判断力がある段階で、自分で相手を選べる方法です。公証人が関わる手続きになります。
迷ったら、地域包括支援センターか、権利擁護に関わる相談窓口で聞いてください。費用をかけずに相談できます。どの方法が適しているかを整理してもらえます。
判断力に不安はあるが、まだ大きな決定ができる段階の方に向いた仕組みがあります。
社会福祉協議会が行っている支援です。日常の支払いの手続き、通帳の預かり、福祉サービスの利用手続きの手伝い。生活に密着した内容です。
費用がかかりますが、比較的低額に設定されていることが多くあります。金額と内容は、地域によって差があります。社会福祉協議会に確かめてください。
本人との契約にもとづくため、本人が内容を理解できることが前提になります。理解が難しい段階になると、この仕組みは使えません。だからこそ、早めの検討に意味があります。
そして、この仕組みで足りるかどうかは、状態によります。財産の処分や、大きな契約は扱えません。その場合は、別の制度が必要になります。
判断力が大きく低下した場合に使われる仕組みです。
家庭裁判所が関わる手続きで、本人を支援する人が選ばれます。財産の管理、契約の締結、不利益な契約の取り消し。広い範囲を扱えます。
不動産を売る必要が出たとき、相続の手続きが必要になったとき、施設の入所契約が必要なとき。こうした場面で、この仕組みがないと手続きが進まないことがあります。
ただし、いったん始まると、原則として続きます。本人の判断力が回復しない限り、途中でやめることは難しい仕組みです。この点を理解したうえで検討してください。
費用もかかります。申立てにかかる費用と、支援する人への報酬が発生します。負担が難しい場合、助成の制度がある自治体もあります。
家族がなれるとは限らない、という点は知っておいてください。
家庭裁判所が、事情を見て決めます。家族が選ばれることもあれば、弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職が選ばれることもあります。希望が通らない場合があります。
家族の間で意見が分かれている場合、専門職が選ばれる傾向があると言われています。財産の額が大きい場合も同様です。
専門職が選ばれると、報酬が発生します。本人の財産から支払われます。金額は家庭裁判所が決めます。
この点を知らずに申し立てて、想定と違う結果になったと感じる方がいます。事前に、弁護士や司法書士、地域包括支援センターに相談してください。仕組みを理解してから進めるべきものです。
高齢の方は、こうした被害の対象になりやすい立場にあります。
健康食品の定期購入、不要な住宅の修繕、投資の勧誘、点検を装った訪問。手口はさまざまですが、共通しているのは、判断の時間を与えないことです。「いまだけ」「あなただけ」と急がせます。
対策として、その場で決めないという習慣が有効です。「家族に相談してから」と言って、いったん切る。この一言を、あらかじめ決めておいてください。
そして、契約してしまった場合でも、期間内なら解除できることがあります。消費生活センターに相談してください。早く相談するほど、手が多くあります。
家族は、届いている荷物と郵便に目を向けてください。定期購入になっていて、止め方が分からないままの場合があります。責めずに、一緒に整理してください。
どこに聞けばよいかを整理しておきます。
地域包括支援センターは、この分野も扱います。権利を守ることが、業務の一つとして定められています。まず、ここに電話してください。
社会福祉協議会は、日常の支払いを支援する仕組みの窓口です。市町村ごとにあります。役所で連絡先を聞けます。
消費生活センターは、契約の被害を扱います。全国共通の電話番号があり、そこから最寄りの窓口につながります。疑わしい段階でも相談できます。
そして、法律に関わることは、弁護士や司法書士に相談できます。費用の負担が難しい場合、無料で相談できる仕組みがあります。地域包括支援センターが案内してくれます。
この記事の内容は、最終的に食事の問題につながります。
お金が管理できていれば、食事は確保できます。配食を頼む、宅配を使う、支払いを続ける。いずれも、お金の管理が前提です。
逆に、管理ができなくなると、食事が真っ先に削られます。本人は「食べている」と言いますが、実態が伴わないことがあります。冷蔵庫と体重を確かめてください。
配食を使っている場合、支払いが滞っていないかも確かめてください。止まってしまえば、食事がなくなります。口座振替にしておく、家族が支払うといった方法があります。
そして、食事の変化は、金銭の問題を知らせる合図でもあります。急に安いものばかりになった、食べる回数が減った。理由を確かめてください。生活全体の問題が隠れていることがあります。
金銭の話は、家族の間でも切り出しにくいものです。しかし、避けると後で困ります。
本人が元気なうちに、一度は話しておいてください。財産の内容ではなく、いざというときにどうするかという話です。「万一のときに困らないように」という切り出し方なら、受け入れられやすくなります。
兄弟姉妹がいる場合は、全員が把握できる状態にしてください。一人だけが管理していると、あとで疑いが生じます。使途を記録し、共有しておくことが、家族関係を守ります。
そして、介護に関わる費用は本人の財産から出すのが原則です。家族が立て替えた分は、記録を残してください。あいまいにすると、相続のときに争いのもとになります。
話し合いが難しい場合は、第三者に入ってもらってください。地域包括支援センター、社会福祉協議会、専門職。家族だけで進めるより、こじれにくくなります。
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