入れ歯の手入れと、合わなくなったとき|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

毎日の手入れ

入れ歯(義歯)にも細菌のかたまり(デンチャープラーク)が付きます。これが誤嚥性肺炎やカンジダ症の原因になります。

やること方法
毎食後に外して洗う流水下で義歯用ブラシ。歯みがき剤は使わない(研磨剤で傷がつき細菌の住処になる)
洗面器に水を張る落としたときに割れるのを防ぐ
1日1回、洗浄剤に浸けるブラシで落ちない細菌とにおいに効く
外したら口の中も洗う入れ歯の下の歯ぐきにも汚れが残ります
寝るときは外す歯ぐきを休ませる。誤って飲み込む事故も防ぐ
保管は水の中乾燥させると変形します

熱湯につけない。変形します。洗浄剤の指示にある水温を守ってください。金属のバネがある部分入れ歯は、洗浄剤の種類によっては変色するため、義歯の種類に合ったものを選びます。

「合わない」を放置しない

加齢や体重の変化、歯を抜いたあとの骨の変化で、入れ歯は必ず合わなくなります。合わないまま使い続けると次のことが起きます。

  • 噛めないので、やわらかいものしか食べなくなる。たんぱく質と野菜が落ち、低栄養へ
  • 痛みから片側だけで噛む。あごの関節と筋肉に偏りが出る
  • 歯ぐきに傷ができる。潰瘍や炎症、まれに悪性化のもとになる
  • 外れやすくなる。食事中に外れる、誤って飲み込む
  • 発音が変わる。会話が減り、外出が減る

入れ歯安定剤は応急処置です。常用すると、合っていない状態がそのまま固定されます。使い始めたら、それは歯科を受診する合図だと考えてください。

受診の目安

次のいずれかがあれば歯科へ。通院が難しければ訪問歯科診療を頼めます。

  • 食事中に外れる、浮く
  • 特定の場所が痛い、口内炎ができる
  • 硬いものが噛めなくなった
  • 入れ歯安定剤なしでは使えない
  • 1年以上調整していない
  • 体重が減った(合わなくなっている可能性)

症状がなくても、年1回は点検を受けてください。合っているかどうかは本人の感覚だけでは分かりません。

入れ歯がないとき、あるとき

入れ歯を作り直している間や、外している時間帯の食事は、形態を落とす必要があります。

状態向く食事形態
入れ歯が合っている普通食、または一口大
入れ歯が合わない・調整中やわらかい食事(軟菜食)、きざみ
入れ歯なし・歯が少ないムース食、ペースト状

ここで注意したいのは、きざみ食は噛めない方の解決にならないということです。細かく刻んだものは口の中でまとまらず、かえって誤嚥しやすくなります。きざみ食・一口大とはで詳しく扱っています。

配食のふれ愛 太子店では、同じ献立を小町食・きざみ・ムース食など複数の形態でご用意しています。入れ歯の調整期間だけ形態を変える、といった使い方もできます。

毎日の手入れをどう組み立てるか

入れ歯の手入れは、外して洗うだけでは足りません。入れ歯そのものと、外したあとの口の中と、保管の3つがそろって、はじめて手入れになります。

入れ歯を洗うときは、専用のブラシと水を使います。歯みがき粉は使わないでください。研磨剤が入っているため、入れ歯の表面に細かい傷がつき、そこに汚れと細菌がたまります。水で洗い流しながら、ブラシで こすります。金具の部分、内側のくぼみ、歯と歯のあいだに汚れが残りやすいので、そこを意識してください。

洗うときは、洗面器に水を張るか、タオルを敷いた上で行ってください。落として割る事故が非常に多く、そのほとんどが洗面台の上で起きています。硬い陶器の上に落とせば、簡単に割れます。

1日1回は、入れ歯用の洗浄剤に浸けてください。ブラシだけでは落ちない細菌やカビが、洗浄剤で減ります。浸けたあとは、必ず水でよくすすいでから口に入れてください。洗浄剤が残ったまま装着すると、粘膜が荒れることがあります。

外したあとの口の中を忘れない

入れ歯だけをきれいにして、口の中を放置している方が多くいます。しかし、汚れているのは入れ歯だけではありません。

入れ歯が乗っていた歯ぐき、上あご、舌、頬の内側。ここには唾液の成分と食べかすが付着しています。入れ歯でふさがれていた部分は、唾液による自浄が働かないため、かえって汚れがたまります。

やわらかい歯ブラシか、スポンジブラシで、やさしく こすってください。強くやると粘膜が傷つきます。舌の表面に白い苔のようなものが付いているときは、舌ブラシで手前に向かって数回なでます。奥から手前へ、力を入れずに。往復させると、えずいてしまいます。

残っている歯がある方は、その歯も必ず磨いてください。部分入れ歯の金具がかかっている歯は、汚れがたまりやすく、虫歯になりやすい場所です。この歯を失うと、いまの入れ歯が使えなくなります。

口が乾いている方は、保湿剤を使ってから始めてください。乾いた粘膜をこすると出血します。口の中の手入れの手順は、口腔ケアの手順にまとめています。

夜に外すかどうか

寝るときに入れ歯を外すかどうかは、迷う方が多いところです。原則としては、外して寝ることが勧められます。

理由は2つあります。1つは、歯ぐきを休ませるためです。1日中入れ歯が乗っている状態が続くと、粘膜に負担がかかり、炎症を起こします。もう1つは、清潔を保つためです。入れ歯を入れたまま寝ると、その下で細菌が増えます。

ただし、外すと危険な場合もあります。残っている歯が動いてしまう方、外すと飲み込みにくくなる方、夜間に誤って飲み込む心配がある方。外すかどうかは、歯科医の指示に従ってください。一律に決まるものではありません。

外した入れ歯は、水か洗浄液に浸けて保管します。乾燥させると変形します。そのまま置いておくと、形が変わって合わなくなります。ふた付きの専用の容器を使い、置き場所を決めておいてください。ティッシュに包んで置くと、間違えて捨てられる事故が起きます。

「合わない」を放置すると起きること

入れ歯が合わなくなっても、そのまま使い続けている方が多くいます。慣れれば大丈夫だろう、歯科に行くのが面倒だ、費用がかかる。理由はさまざまですが、放置すると連鎖的に問題が広がります。

まず、噛めなくなります。噛めないと、やわらかいものばかり食べるようになり、たんぱく質と食物繊維が減ります。入れ歯が合わないことが、栄養の問題に変わります。肉が食べられない、野菜が食べられない、といった訴えの背景に入れ歯の問題があることは珍しくありません。

次に、痛みが出ます。当たるところに傷ができ、痛みで食事量が落ちます。傷が長く続くと、粘膜が変化することもあります。痛いところをかばって片側だけで噛むようになると、あごにも影響します。

そして、外して過ごすようになります。入れ歯を使わない期間が長くなると、歯ぐきの形が変わり、その入れ歯はもう合わなくなります。作り直しになれば、費用も時間もかかります。早めに調整を受けるほうが、結果として安く済みます。

調整は、多くの場合その場で済みます。当たっているところを削る、床を足す、といった処置で解決することが多く、作り直しになるとは限りません。まず相談してください。

受診の目安と、訪問での歯科診療

次のような状態があれば、受診の対象です。放置しないでください。

食事のときに痛い。外れやすい。話しにくくなった。特定の場所が いつも当たる。口内炎が繰り返しできる。かたいものが噛めなくなった。入れ歯にひびが入っている。金具が緩んでいる、または折れた。これらは、いずれも調整や修理で改善する可能性があります。

また、体重が減っているとき、飲み込みにくくなったとき、口臭が強くなったときも、口の中を確かめてもらう価値があります。原因が口の中にあることは、想像以上に多くあります。

通院が難しい方には、訪問での歯科診療があります。自宅や施設に歯科医と歯科衛生士が来て、診察、調整、修理、清掃を行います。介護保険や医療保険が使えます。どこに頼めばよいか分からない場合は、ケアマネジャー、地域包括支援センター、または地域の歯科医師会に問い合わせてください。

入れ歯を新しく作る場合、慣れるまでに時間がかかります。最初から完璧に合うことはなく、何度か調整に通うのが普通です。1回で合わないからと諦めず、調整に通ってください。途中でやめてしまうと、作った入れ歯が使われずに終わります。

入れ歯がない期間の食事

入れ歯を作り直しているあいだ、修理に出しているあいだ、あるいは痛くて使えないあいだ。この期間の食事をどうするかは、意外と相談されません。しかし、この時期に食べる量が落ちる方が多くいます。

基本は、歯ぐきで押しつぶせる形にすることです。豆腐、卵料理、煮魚、ひき肉料理、やわらかく煮た野菜、おかゆ、うどん、いも類、バナナ、ヨーグルト。市販の介護食を使うのも、この期間には合理的です。「区分3」「舌でつぶせる」といった表示のものが手に入ります。

気をつけたいのは、たんぱく質が減ることです。肉が噛めないからと主菜を抜くと、筋肉が落ちます。ひき肉、魚のほぐし身、豆腐、卵、茶わん蒸し、白身魚の煮つけ。噛まなくても食べられるたんぱく質は十分にあります。

そして、この期間を短くすることが最も大事です。「入れ歯ができるまでの2〜3か月」が、体重が落ちるきっかけになることがあります。高齢の方にとって、2〜3か月の低栄養は取り返しに時間がかかります。

作る手間が負担になるなら、やわらかい献立に対応した配食を一時的に使う方法もあります。期間限定で使える事業者もあるので、確かめてみてください。比べ方は配食サービスの確認12項目にまとめています。

合わなくなった義歯を使い続けない

義歯は、作ったときの口の形に合わせて作られています。口の形は変わっていくため、いつか必ず合わなくなります。合わない義歯を使い続けることの害は、想像より大きいものです。

合っていないしるしがあります。外れやすい、痛い、噛むとずれる、食べものが下に入る、話しにくい、口内炎が繰り返しできる。これらがあれば、調整の時期です。

合わない義歯を使うと、噛む力が出せず、食べられるものが減ります。やわらかいものばかりになり、栄養が偏り、体力が落ちていきます。食事の量が減った原因が義歯だったという例は、珍しくありません。

また、痛みを避けて片側だけで噛むようになると、顎の関節や首に負担がかかります。そして、外していることが増え、そのまま使わなくなります。使わない期間が長いと、さらに合わなくなるという悪循環になります。

調整は、歯科で短時間でできることが多くあります。作り直しではなく、当たっている部分を削る、裏側に材料を足す、といった調整で済む場合がほとんどです。通院が難しければ、訪問の歯科を使ってください。ケアマネジャーに聞けば、地域で対応している歯科を教えてもらえます。

食事形態を、その日の状態に合わせて選べます

配食のふれ愛 太子店では、普通食のほかに、やわらかく仕上げた小町食・きざみ・一口大・ムース食をご用意しています。同じ献立を形だけ変えてお届けできるため、ご家族と同じものを召し上がれます。どの形が合うか分からないときは、まず無料試食でお試しください。

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食べ物や唾液が気管に入って起きる肺炎。高齢者の肺炎の多くを占めます。

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて形や硬さを調整した食事の総称です。

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