食事に時間がかかる|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

長すぎる食事は疲れる

よく噛んでゆっくり食べることは推奨されます。しかし1食に45分から1時間かかる状態は、別の問題です。

  • 疲れて最後まで食べられない。後半のおかずが丸ごと残る
  • 冷める。味も香りも落ち、さらに食が進まなくなる
  • 集中が切れる。途中から誤嚥のリスクが上がる
  • 介護する側が疲れる。次の食事の準備が間に合わない

目安は30分です。これを大きく超えるなら、原因を探ってください。

原因を4つに分けて探す

分類確かめること手立て
体力・覚醒途中で眠くなる。姿勢が崩れる食事の時間帯を変える。前に休息を入れる。薬の影響を主治医に相談
口の機能噛めない。飲み込みに時間がかかる。口が乾く食事形態を落とす。入れ歯を調整。嚥下体操
環境テレビ、人の出入り、椅子が合わない静かにする。姿勢を整える
食事内容量が多い。硬い。品数が多くて選べない量を減らして分食にする。一品ずつ出す

意外に多いのが「品数が多くて選べない」ケースです。認知症のある方では、目の前に5皿並ぶと、どれから手をつけるか決められずに止まってしまうことがあります。一品ずつ出すと、すっと食べ始めます。

薬の影響を疑う

次のような薬は、眠気・口の渇き・飲み込みの悪化を招くことがあります。

  • 睡眠薬、抗不安薬
  • 抗精神病薬(飲み込みの動きを鈍くすることがある)
  • 抗ヒスタミン薬(口が渇く)
  • 一部の降圧薬、利尿薬(口が渇く)
  • 抗コリン作用のある薬(唾液が減る)

薬が増えたタイミングで食事に時間がかかるようになったなら、お薬手帳を持って主治医か薬剤師に相談してください。自己判断で減らしたり止めたりしないでください。

温かさを保つ

時間がかかる方ほど、後半は冷めたものを食べることになります。次で緩和できます。

  • 保温食器、二重構造の皿を使う
  • 先に食べる分だけ盛り、残りは温かい場所に置く
  • 途中で温め直す(電子レンジで20〜30秒)
  • 汁物は最後に出す

見直す基準

次のいずれかがあれば、食事形態や食事の内容を見直す時期です。

  • 30分を超える日が続く
  • 最後まで食べきれない日が週の半分以上
  • 体重が減っている
  • むせる回数が増えた
  • 食後に疲れて動けない

形態を1段階やわらかくするだけで、時間が15分縮むことがあります。「まだ普通食が食べられる」ことにこだわらないでください。食べきれるほうが、結果として栄養は入ります。

配食のふれ愛 太子店では、同じ献立を複数の形態でご用意しています。試してから決めていただけます。

なぜ長くなるのか、原因を分ける

時間がかかることを問題として扱う前に、なぜ長くなっているのかを分けてください。原因によって、やるべきことが正反対になります。

1つめは、噛む力や飲み込む力が落ちている場合です。一口を処理するのに時間がかかり、その積み重ねで長くなります。この場合は、食事の形を見直す必要があります。急がせても解決しません。

2つめは、手が動かしにくい場合です。すくえない、口まで運べない、途中で落とす。この場合は、道具と配置を替えれば短くなります。作業療法士に相談すれば、その方に合った形が見つかります。

3つめは、集中が続かない場合です。途中で手が止まる、話し始める、周りを見ている。この場合は、環境を整えることが効きます。テレビを消す、視界に入るものを減らす、声かけの仕方を変える。

4つめは、食べたくない場合です。食欲がない、その献立が好きでない、体調が悪い。この場合は、時間の問題ではありません。無理に食べさせようとすれば、食事そのものが嫌なものになります。

30分から45分が一つの目安

どれくらいなら適切かという明確な基準はありませんが、実務上の目安はあります。

おおむね30分から45分です。これを大きく超えて1時間以上かかっている場合は、原因を確かめたほうがよい状態です。逆に、10分で終わっているなら、速すぎる可能性があります。急いで食べると、噛まずに飲み込み、詰まらせる危険が上がります。

長くなることの何が問題かを整理します。まず、疲れることです。食事は思っている以上に体力を使います。長時間かけると、後半は疲れて集中が落ち、かえって危険になります。誤嚥は、食事の後半に起きやすいことが知られています。

次に、姿勢が崩れることです。座り続けるうちに体が傾き、その姿勢では飲み込みが不安定になります。途中で座り直させることで、後半の安全が保たれます。

そして、料理が冷めることです。冷めた料理は味が落ち、食欲が落ちます。後半のおかずをあとから温めて出す、保温性のある食器を使う、といった工夫が効きます。

長くなったときの切り上げ方

時間が長引いたとき、最後まで食べさせるべきか、切り上げるべきか。ここで迷う方が多くいます。

疲れが見えたら、切り上げてください。目が閉じかける、口が動かなくなる、姿勢が崩れる、むせが増える。これらは、限界のしるしです。この状態で続けると、誤嚥の危険が上がります。量を入れることより、安全が優先です。

切り上げるときは、残した分を別の形で補ってください。そのまま終わりにすると、1日の量が足りません。2時間ほど空けてから、栄養補助のゼリーや牛乳を出す。分けて食べる形にすれば、合計は確保できます。

そして、食べる順番を工夫してください。後半に疲れることが分かっているなら、大事なおかずを先に出せばよいのです。肉、魚、卵、豆腐を最初に。汁ものや漬物は後回しにする。途中で終わっても、必要なものは入っています。

途中で休憩を入れる方法もあります。10分食べて5分休む、という形で、疲れる前に区切る。休憩の間に姿勢を直し、口の中を確かめる。結果として、合計の時間は同じでも、安全に多く食べられます。

介助する側が急がせないために

時間の問題は、多くの場合、介助する側の都合から生まれます。ここを正面から扱っておきます。

施設でも家庭でも、次の予定があります。その焦りは、必ず本人に伝わります。スプーンを口の前で待たせる、飲み込む前に次を運ぶ、「早く」と言う。これらはすべて、誤嚥につながります。

飲み込んだことを確かめてから、次を運んでください。のどが動くのを見る、あるいは口の中が空になったのを見る。これを守るだけで、事故が減ります。口の中に残ったまま次を入れると、量が積み上がって処理できなくなります。

そして、時間の枠を先に確保してください。「30分しかない」と思いながら介助すると、必ず急がせます。本人の力に合わせた時間を、あらかじめ予定に組み込んでおくことが、現実的な対策です。

介助する人が一人で複数を見ている状況では、これは簡単ではありません。時間がかかる方の食事の時間をずらす、自分で食べられる方と分ける、といった配置の工夫が必要になります。個人の努力ではなく、仕組みで解決する問題です。

短すぎることも問題になる

ここまで長い場合を扱ってきましたが、逆も問題です。速すぎる食べ方は、はっきりと危険です。

10分程度で食事を終える方は、噛まずに飲み込んでいる可能性があります。詰まらせる事故の多くは、大きな一口を、噛まずに、急いで飲み込んだときに起きています。速いことを「よく食べる」と肯定的に見てしまいがちですが、危険なしるしです。

速さを落とす工夫があります。小さいスプーンに替える、一口ごとに箸を置いてもらう、汁ものを合間に挟む、一品ずつ出す。物理的に速く食べられない形にするのが確実です。

認知の機能が落ちている方では、満腹が分からず、次々に口に運んでしまうことがあります。この場合は、声かけだけでは止まりません。目の前に出す量を制限する、器を小さくする、という環境の工夫が要ります。

そして、なぜ急ぐのかを考えてください。周りが急いでいる、落ち着かない場所である、次の予定を気にしている。本人が急ぐ理由が環境の側にあることは、よくあります。詰まらせたときの対応は窒息時の対応にまとめています。

記録して、変化に気づく

食事にかかる時間は、その方の状態を映す指標です。記録しておくと、変化に早く気づけます。

難しい記録は要りません。始めた時刻と終わった時刻、そして残した量。これだけで十分です。1週間分あれば、傾向が見えます。

見るべきは、絶対の長さではなく、変化です。いままで30分だった方が、1時間かかるようになった。これは明らかな変化で、原因を確かめる必要があります。飲み込みの力が落ちている、体調が悪い、薬の影響が出ている、口の中に痛みがある。いずれも早く見つけるほど対処できます。

逆に、急に短くなった場合も注意が要ります。食べる量そのものが減っている可能性があります。残した量と合わせて見てください。

記録があると、専門職に相談するときに具体的に伝えられます。「最近時間がかかります」より、「先月は30分でしたが、今週は毎日1時間を超えています」のほうが、はるかに役立つ情報です。ケアマネジャー、医師、歯科医師、言語聴覚士に相談するときに、この記録を持っていってください。

時間帯によって力が違う

同じ人でも、時間帯によって食べる力は変わります。この差を知っておくと、無理のない組み方ができます。

多くの方で、朝から昼にかけてが最も力が出ます。目が覚めていて、体力があり、集中も続きます。逆に、夕方から夜にかけては疲れが出て、食べる速さが落ち、むせやすくなります。

この傾向があるなら、夕食を軽くして、朝食と昼食をしっかりにするという組み方ができます。「夕食が主役」という常識にとらわれる必要はありません。食べられる時間に、食べられるものを出すほうが、1日の合計は増えます。

薬の時間も影響します。薬によっては、飲んだあとに眠気やだるさが出るものがあります。その時間帯に食事が重なっていないかを確かめてください。時間をずらせる薬かどうかは、医師か薬剤師に相談できます。

そして、日によっても変わります。体調のよい日と悪い日で、同じ量、同じ時間を求めないでください。悪い日は無理をせず、よい日にしっかり食べてもらう。1日ごとではなく、1週間で見る視点が要ります。

一緒に食べることの効果

時間の話をするとき、見落とされがちなのが、誰と食べているかという点です。ここが食べる量と時間の両方に効きます。

一人で食べる食事は、量が減ることが知られています。食欲が湧かない、途中でやめてしまう、そもそも用意しない。高齢の方で一人暮らしの場合、この影響は大きく出ます。

誰かと一緒に食べると、食べる時間が自然に延び、量が増えます。会話があることで、ゆっくり食べることにもつながります。ただし、話しながら食べるとむせやすい方もいるため、飲み込んでから話す、という配慮が要ります。

家族が同じ食卓につけない場合でも、方法があります。デイサービスでの食事、地域の会食の場、同じ時間に電話をつなぐ。形はさまざまですが、一人で黙って食べる状態を減らすことに意味があります。

そして、介助する側も座ってください。立ったまま上から介助されると、あごが上がって危険であるうえに、急かされている感じが伝わります。横に座り、同じ高さで、できれば自分も何か食べながら。この形にすると、時間の流れが変わります。

食事形態を、その日の状態に合わせて選べます

配食のふれ愛 太子店では、普通食のほかに、やわらかく仕上げた小町食・きざみ・一口大・ムース食をご用意しています。同じ献立を形だけ変えてお届けできるため、ご家族と同じものを召し上がれます。どの形が合うか分からないときは、まず無料試食でお試しください。

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関連用語

介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて形や硬さを調整した食事の総称です。

嚥下障害

飲み込みがうまくいかない状態。むせや口の中の残留が目印になります。

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

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