高齢者が食事を食べない|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

高齢者の食欲不振はなぜ起こるのか

「最近あまり食べたくない」「食事が楽しくなくなった」。高齢のご家族からこうした声を聞くことは珍しくありません。高齢者の食欲不振は、単なる「好き嫌い」ではなく、複数の身体的・心理的要因が絡み合って起こります。放置すると低栄養フレイルに直結するため、早めの対策が重要です。

食欲不振の主な原因

  • 味覚・嗅覚の変化:加齢により味蕾の数が減少し、70歳代では若い頃の約3分の1に。味を感じにくくなることで食事の楽しさが減ります。亜鉛不足も味覚障害の原因になります
  • 薬の副作用:高齢者は平均5〜6種類の薬を服用しているとされます。降圧剤・抗うつ薬・鎮痛剤・抗がん剤など、多くの薬に食欲低下の副作用があります
  • 口腔トラブル:入れ歯の不具合・歯周病・口腔乾燥症(ドライマウス)により、噛む・飲み込むことが苦痛に
  • うつ・孤独感:配偶者の死別や社会的孤立がうつ状態を引き起こし、食への意欲が低下。一人での食事(孤食)も食欲不振の要因です
  • 消化機能の低下:胃酸分泌の減少や腸の蠕動運動の低下により、食べ物の消化が遅くなり、膨満感が続きやすくなります
  • 活動量の低下:身体活動が減ると消費エネルギーが下がり、空腹感を感じにくくなります

食欲を取り戻す7つの工夫

1. 少量でも栄養価の高い食事を心がける

食欲がないときに無理に量を食べる必要はありません。少量でもカロリーとたんぱく質が詰まった食品を選びましょう。卵・チーズ・ヨーグルト・ナッツ類は少量で高栄養です。おかゆにチーズをのせたり、ヨーグルトにはちみつを加えるなど、ひと手間で栄養価を高められます。

2. 食事の回数を増やす

1日3回にこだわらず、1日5〜6回に分けて少量ずつ食べる「分食」が効果的です。午前10時と午後3時におやつを取り入れるなど、食べられるときに食べることを優先しましょう。間食にはカステラ・プリン・バナナなど、食べやすくカロリーのあるものがおすすめです。

3. 見た目と香りで食欲を刺激する

食事は視覚と嗅覚からも楽しむものです。彩り豊かな盛り付け、季節の食器の使用、温かい料理の湯気や香りが食欲を刺激します。赤(トマト・にんじん)、緑(ほうれん草・ブロッコリー)、黄(卵・かぼちゃ)を意識的に取り入れましょう。

4. 食事の環境を整える

テレビを消して食事に集中する、食卓を明るくする、可能であれば誰かと一緒に食べる。食事の環境を変えるだけで食欲が改善することがあります。研究では、共食(誰かと一緒に食べること)で食事量が約15%増加するというデータもあります。

5. 口腔ケアを徹底する

口の中の問題は食欲不振の大きな原因です。入れ歯の調整、歯科での定期的なチェック、毎食後の口腔ケアを行いましょう。口腔乾燥症の方は、食前に少量の水やお茶で口を潤すと食べやすくなります。唾液の分泌を促すために、食事前に軽い口の体操をすることも有効です。

6. 適度な運動で空腹感を作る

無理のない範囲で身体を動かすことが、食欲回復への近道です。散歩・ストレッチ・椅子に座っての体操など、10〜15分の軽い運動でも消費エネルギーが増え、自然な空腹感が生まれます。朝の散歩は特に効果的で、日光を浴びることで体内時計がリセットされ、食事のリズムも整います。

7. 亜鉛を意識的に摂取する

亜鉛は味覚を正常に保つために不可欠なミネラルです。高齢者は亜鉛不足になりやすく、味覚障害の原因のひとつとなっています。牡蠣・牛肉・豚レバー・卵・大豆製品に多く含まれています。亜鉛不足が疑われる場合は、医師に相談の上でサプリメントの活用も検討しましょう。

食欲不振が続くときの注意サイン

以下のようなサインが見られたら、早めに医師に相談することをおすすめします。食欲不振の背景に、治療が必要な疾患が隠れている可能性があります。

  • 1か月で体重が2kg以上減少した
  • BMIが20未満(やせ)に該当する
  • 食事量が以前の半分以下に減った状態が2週間以上続いている
  • 水分もほとんど摂れていない
  • 強い倦怠感やめまいを伴う

小町メニューで少量でも栄養しっかり

配食のふれ愛では、通常のお弁当よりも量を少なくした「小町」メニューをご用意しています。食欲が落ちている方でも食べきれる量に調整しつつ、栄養バランスはしっかり確保。「少ないけど栄養はある」食事で、食べる自信を取り戻すお手伝いをいたします。

  • 小町:通常より少量で食べきりやすいサイズ
  • 小町大:小町よりやや多め。食欲が戻ってきた方に
  • やわらか食(一口大・きざみ):噛む力が弱い方向けの食事形態

まず、体調の変化を疑う

食欲の低下は、多くの不調の最初の合図です。

数日で戻らない、体重が減っている、熱がある。この場合は、年齢のせいにしないでください。受診の対象になります。

そして、痛みが隠れていることがあります。口の中、お腹、背中。本人が訴えないまま、食べる量だけが落ちることがあります。

便通の状態も確かめてください。出ていない期間が続くと、食欲が落ちます。本人は関係ないと考えていることがあります。

気持ちの落ち込みも、食欲として表れます。眠れない、何もする気が起きないが重なるなら、医師に相談してください。高齢の方でも起こります。

薬の影響を確かめる

見落とされやすい原因です。

新しい薬が始まった時期と、食欲が落ちた時期を照らし合わせてください。重なっているなら、その可能性があります。本人は結びつけていないことがあります。

そして、種類が増えていないかを確かめてください。複数の医療機関から出ていると、数が増えていきます。胃に負担がかかっているかもしれません。

味の感じ方を変える薬もあります。「何を食べてもおいしくない」という訴えの背景にあることがあります。薬剤師に確かめてください。

自己判断で中断しないでください。お薬手帳を持って、薬剤師か主治医に相談してください。調整できる場合があります。

口の中の状態を見る

食べたくても食べられない状態が、あります。

入れ歯が合っていないと、硬いものを避けるようになります。結果として、食べられるものが減ります。本人が我慢していることがあります。

そして、口の中に傷や炎症があると、痛くて食べられません。一度、口の中を見せてもらってください。本人は訴えないことがあります。

口が乾いていると、味も分からず、飲み込みにくくなります。薬の影響で乾く場合もあります。こまめに湿らせてください。

歯科を受診してください。訪問で診てもらえる場合もあります。口の状態が整うだけで、量が戻ることがあります。

一人で食べる状況を変える

環境が、食べる量を大きく左右します。

一人で食べると、作る意欲も食べる意欲も落ちます。誰かと食べれば、時間がかかり、その分だけ多く入ります。この差が、毎日積み重なります。

通所のサービスを使えば、その日は必ず誰かと食べることになります。食事だけを目的にする必要はありません。ケアマネジャーに相談してください。

そして、地域の会食の集まりがあります。公民館や集会所で開かれていることがあります。地域包括支援センターで確かめてください。

電話をつないだまま食べる方法もあります。離れていても、話しながらなら一人ではありません。家族ができることです。

量を減らして、回数を増やす

一度に食べられないなら、分ける形に切り替えてください。

三回にこだわらず、五回に分けてください。朝、午前の間食、昼、午後の間食、夕。一回の量が減れば、負担が軽くなります。

間食は、菓子でなくて構いません。牛乳、ヨーグルト、豆腐、卵、果物、チーズ。体をつくる材料が入るものを選んでください。

そして、食べられる時間帯に寄せてください。朝のほうが食べられる方が多くいます。一日の中で、調子の良い時間を使ってください。

食べたいと言ったときに、すぐ出せる形にしておいてください。準備に時間がかかると、その間に食欲が消えます。手の届く場所に置いておいてください。

少ない量に栄養を詰める

量が入らないなら、中身を濃くしてください。

同じ量でも、入る栄養は工夫で変わります。油、バター、マヨネーズ、乳製品、卵。少量で熱量が入ります。

そして、汁物に具を多く入れてください。飲むだけで、材料が入ります。水分も同時に取れます。

飲み物にも栄養を持たせてください。牛乳、豆乳、果汁、栄養補助の飲料。水やお茶ばかりだと、量だけ入って栄養が入りません。

どの方法が合うかは、状態によります。管理栄養士に相談すると、具体的な献立に落とし込めます。受診している医療機関で相談できる場合があります。

食卓の見た目と器を変える

小さなことですが、実際に効きます。

大きな器に少量を盛ると、寂しく見えます。小さめの器に盛るほうが、満たされて見えます。残す量も減ります。

そして、大盛りを見た時点で、食べる気が失せることがあります。少なく出して、足りなければおかわりする形にしてください。完食できたという感覚が、次につながります。

色の数を意識してください。茶色ばかりの食卓は、食欲を落とします。緑や赤が一色入るだけで、変わります。

そして、においも効きます。だしの香り、焼く香り、柑橘の香り。温めてから出すだけで、違いが出ます。

体を動かす機会を作る

お腹が空かない状態が、続いていることがあります。

一日中座っていると、空腹を感じにくくなります。動かなければ、燃料も使われません。これが食欲の低下につながります。

そして、外に出る用事を作ってください。買い物、散歩、通所、集まり。体を動かすだけでなく、気持ちも変わります。

足腰に不安がある方は、座ったままできる動きもあります。通所のサービスや、地域の教室で教えてもらえます。無理に歩こうとして転倒するほうが危険です。

食事の前に、少し体を動かす習慣も効きます。台所に立つ、食卓を整える、庭に出る。準備の動作自体が、刺激になります。

本人を責めない

周囲の関わり方が、状況を悪くすることがあります。

「食べないと駄目だ」という言葉は、追い詰めます。本人は食べたいのに、体が受け付けないという状態があります。意欲の問題ではありません。

そして、残されると作った側が落ち込みます。この空気が、食事の時間を苦しいものにします。残してよいという前提で出してください。

食べられた日を喜んでください。食べられない日を責めないでください。この積み重ねが、食事の時間を保ちます。

好きなものを優先してください。栄養の整った献立を残されるより、好きなものを食べてもらうほうが、入る量は増えます。まず食べることです。

いつ相談するかを決めておく

様子を見る期間を、決めておいてください。

体重が減っているなら、その時点で相談してください。週に一度、同じ条件で測ってください。減り続けているなら、様子を見る段階ではありません。

そして、水分が取れていないときは、急いでください。高齢の方は、短時間で状態が悪くなります。食べられなくても、水分だけは確保してください。

相談先は、かかりつけの医師です。「食欲がない」だけでは伝わりにくいので、いつから、どのくらい減ったかを伝えてください。記録があると確かです。

介護のサービスを使っている方は、ケアマネジャーにも伝えてください。食事の支援や、栄養の相談につないでもらえます。届けてもらう形も、選択肢になります。

食事の量が減ったと感じたとき、最初に見るところ

「食べない」と「量が減った」は、家族から見ると同じに見えますが、確かめる順番が違います。まったく手をつけないのか、食べ始めるが途中でやめるのか。この二つを分けて見てください。

手をつけないときは、食欲そのものより先に、体調と口の中を疑ってください。熱、便通、痛み、入れ歯の当たり。どれか一つでも当てはまれば、そこが原因である可能性が高くなります。

途中でやめるときは、疲れているか、飲み込みにくいかのどちらかであることが多くなります。食事の後半だけむせる、後半だけ時間がかかる。この形が見えたら、食べる力の問題として扱ってください。食事に時間がかかるに見分け方を書いています。

量を測る必要はありません。「いつもの器で何割残ったか」を、一週間ほど書き留めるだけで十分です。数字より、増えているのか減っているのかという向きが大事です。記録のしかたは食事の記録にまとめています。

そして、体重を月に一度だけ測ってください。半年で二キロ以上減っているなら、食欲の話ではなく低栄養の話として相談する段階です。目安は高齢者が気をつけたい低栄養とその対策に書いています。

「食べたくない」の裏側を、順に外す

食欲が落ちたとき、料理の工夫から入る方がほとんどですが、 工夫で戻るのは原因が無いときだけです。 次の順で外していくと、たいていどこかで当たります。

疑うものあてはまる様子詳しくは
口の痛み・入れ歯片側だけで噛む、硬いものを避ける、口内炎入れ歯の手入れ口腔ケアの手順
飲み込みにくさむせる、時間がかかる、水を残す嚥下食とは?
便秘お腹が張る、数日出ていない便秘を防ぐ食事
脱水ぼんやりする、尿が少ない高齢者の脱水を防ぐ
味が分からない何を食べても同じ、砂を噛むよう味がわからないとき
最近増えた薬がある。吐き気・胃のもたれ主治医・薬剤師へ。自己判断で止めない
気持ちの落ち込み何をしても楽しくない、眠れない、人と会わない受診。高齢者のうつは食欲から現れる
ひとりで食べている誰とも食べていない、テレビを見ながら流し込む一人暮らしの食事

ここまで外して当たらず、体重が落ちているなら、 病気が隠れている可能性があります。とくに 発熱・痛み・血便・急な体重減少があるときは受診してください (低栄養とその対策)。

1週間だけ、形を変えてみる

原因を外し終わったら、次は形です。 いきなり元に戻そうとせず、1週間だけ試すと決めて始めてください。 戻らなければ変えればよい、という前提のほうが続きます。

  • 器を小さくする。同じ量でも、大きな皿に少し盛るより 小さな器に山盛りのほうが箸が進みます(器と盛りつけ
  • 3食にこだわらない。朝しか食べられないなら、朝に主菜を寄せる。 1日5回に割る(少量頻回食という考え方
  • 少ない量に栄養を詰める。おかゆに卵、汁物に豆腐、 牛乳をスキムミルクで濃くする。かさを増やさずに中身を増やします
  • 好きなものから戻す。栄養のバランスは後回しでよいのです。 まず口が動くことが先で、それから整えます
  • 誰かと食べる日をつくる。週に一度でも変わります。 地域の通いの場も使えます(通いの場とは

当店では、少量でも栄養が入る小町メニューをご用意しています。 「もう食べられないから」とご遠慮される方が多いのですが、 食べられる量に合わせた献立があるとお考えください。 ご家族が離れて暮らしていて様子が分からないときは、 配達時の安否確認もご覧ください。

食欲が落ちてきたと感じたら

食欲不振を放置すると、低栄養からフレイル(虚弱)へと進行するリスクがあります。当店の小町メニューは少量でも栄養が詰まっており、管理栄養士が監修した献立で安心です。まずは無料試食でお味をお確かめください。

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低栄養

必要な栄養素やエネルギーが不足した状態。筋力低下・免疫力低下・傷の治りにくさを招きます。

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