全国で約742万人にのぼる一人暮らしの高齢者。食事の偏りや欠食による栄養不足のリスクと、具体的な対策をお伝えします。
内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の一人暮らし高齢者は約742万人(2020年時点)に達し、高齢者世帯の約3割を占めています。2040年には896万人に増加すると予測されており、一人暮らし高齢者の食事問題は社会的な課題として注目されています。
一人暮らしの高齢者は、同居者がいる高齢者と比べて低栄養のリスクが約1.5倍高いことが国立健康・栄養研究所の調査で示されています。その背景には、以下のような複合的な要因があります。
一人で食事を摂る「孤食」は、単なる食習慣の問題ではなく、心身の健康に深刻な影響を与えます。東京都健康長寿医療センターの研究では、孤食の高齢者はうつ傾向のリスクが1.5〜2.7倍高いと報告されています。
一人暮らしであっても、少しの工夫で栄養状態を大幅に改善することができます。
買い物が困難な場合、食品宅配サービスや移動販売を活用する方法があります。近年は高齢者向けのカット済み食材セットや、少量パックの販売も充実しています。
一人暮らし高齢者の食事問題を根本的に解決する手段として、配食サービスの利用が増えています。配食サービスには以下のメリットがあります。
配食サービスの大きな付加価値が「見守り機能」です。配達員が毎日直接お会いすることで、体調の変化にいち早く気づくことができます。
厚生労働省も「配食を活用した高齢者の栄養管理ガイドライン」を策定し、配食サービスを高齢者の在宅生活支援の重要な柱として位置づけています。
離れて暮らすご家族にもできることがあります。
一人暮らしであっても、適切なサポートを受けることで安全に、そして健康的に在宅生活を続けることは十分に可能です。食事は生活の基盤であり、その質を保つことが健康寿命の延伸につながります。
作れないのではなく、作りにくいのです。
材料が使い切れません。野菜は一人分では売っていません。結果として、傷ませます。
そして、同じものを食べ続けることになります。作った量を消化するために、三日続く。これが偏りの原因です。
少量で買える店を探してください。切って売られているもの、少量の袋。割高でも、捨てるより無駄がありません。
冷凍を使ってください。切って分けて凍らせれば、使う分だけ出せます。買い物の回数も減ります。
これが最も大きな壁です。
自分だけのために作る意味を、見いだせなくなります。「面倒だから」で済ませてしまいます。気力の問題であって、能力の問題ではありません。
そして、配偶者を亡くした後に、この状態になる方が多くいます。作る相手がいなくなったからです。時期に心当たりがないか、振り返ってください。
気持ちの落ち込みが続くなら、相談してください。食事の問題として扱わないでください。原因が別にあります。
作らない選択も、悪いことではありません。買う、届けてもらう、外で食べる。食べられていれば構いません。
抜けやすい順番があります。
誰も見ていないので、朝を抜きます。お茶だけで済ませる方が多くいます。これが積み重なります。
そして、抜くと一日の量が戻りません。昼と夜で取り返せません。一食分がそのまま不足になります。
手をかけない形で構いません。パンと牛乳、卵、バナナ、ヨーグルト。作らなくても食べられます。
前の晩に用意しておく方法もあります。朝は出すだけにしてください。手間があると、やめてしまいます。
本人は気づきません。
一週間、何を食べたかを書き出してみてください。紙に並べると、偏りが見えます。頭の中では分かりません。
そして、同じ組み合わせが繰り返されていることが多くあります。ご飯と漬物、パンとお茶。楽な形に落ち着きます。
一品だけ足す形にしてください。すべてを変える必要はありません。卵、豆腐、缶詰。
その紙を、受診のときや相談のときに見せてください。言葉で説明するより、正確に伝わります。助言も具体的になります。
備えの話です。
足腰が弱ると、買い物が最初に難しくなります。重いものが持てなくなります。そこから食事が痩せていきます。
そして、天候や体調で行けない日が増えます。その日は、家にあるもので済ませます。備えがないと、食べない日になります。
常温で置ける食品を、いくつか置いてください。缶詰、レトルト、乾物、栄養を補う飲料。切らさないようにしてください。
届けてもらう仕組みを、早めに調べておいてください。困ってから探すと、時間がかかります。先に知っておくだけで違います。
一人で食べ続けることの影響です。
誰かと食べると、量が増えます。これは多くの方に当てはまります。話しながらだと、時間もかかります。
そして、食事は人と会う口実にもなります。集まりに出る、家族と食べる、外で食べる。週に一度でも違います。
地域で、食事の場が開かれている場合があります。市町村や社会福祉協議会の窓口で聞いてください。近くにあるかもしれません。
電話をしながら食べる方法もあります。離れて暮らす家族と、時間を合わせる。顔が見えなくても、一緒に食べる形になります。
安全の話でもあります。
年齢が上がると、火の消し忘れが増えます。これは能力の問題ではなく、誰にでも起きます。危険が伴います。
そして、疲れているときに無理をすると、事故が起きます。体調の悪い日は、火を使わないでください。そのための備えが要ります。
温めるだけのもの、そのまま食べられるもの。これを常備してください。手間も危険も減ります。
自動で止まる機器に替える方法もあります。市町村で補助がある場合があります。窓口で確かめてください。
一人だからこそ、必要です。
変化に気づく人が、そばにいません。自分で確かめるしかありません。数字なら、はっきり分かります。
そして、週に一度でも構いません。同じ曜日、同じ時間に測ってください。紙に書いて並べてください。
減り続けているなら、食べる量が足りていません。受診してください。ほかの原因がある場合もあります。
その紙を、受診のときに持っていってください。回復や変化の判断材料になります。口で伝えるより正確です。
できることがあります。
電話で「何を食べた」と聞いてください。「食べている」だけでは分かりません。具体的に聞くと、状態が見えます。
そして、責めないでください。指摘されると、隠すようになります。次から本当のことを言わなくなります。
帰省したときは、冷蔵庫を見てください。何が入っているか、いつのものか。言葉より確かです。
体重を聞いてください。数字なら、変化が分かります。測っていなければ、体重計を送ってください。
最後に、つながりの話です。
地域包括支援センターが、最初の窓口になります。介護保険を使っていなくても、相談できます。住んでいる市町村にあります。
そして、民生委員が地域を回っている場合があります。困りごとを聞いてもらえます。市町村の窓口で確かめてください。
ケアマネジャーがついている方は、食事のことも相談してください。使える仕組みを教えてもらえます。遠慮しないでください。
届けてもらう形なら、毎日誰かが来ます。食事と、安否の確認を兼ねられます。一人暮らしの方には、この意味が大きくなります。
最後に、支える側への注意です。
一人暮らしを選んでいる方には、その理由があります。気ままに過ごしたい、住み慣れた家を離れたくない。そこを否定すると、話を聞いてもらえなくなります。
食事を整えることは、その暮らしを続けるための手段です。暮らし方を変えさせるための道具ではありません。順序を取り違えないでください。
そして、心配のあまり口を出しすぎると、隠すようになります。本当のことを言わなくなり、かえって見えなくなります。逆の結果になります。
提案は一度にひとつだけにしてください。受け入れられたものから、次に進んでください。そのほうが結果として遠くまで行けます。
「自分でなんとかしなければ」と抱えている方がとても多いのですが、 食事まわりには使える仕組みがいくつもあります。 要介護の認定を受けていなくても使えるものが含まれます。
| 困っていること | 使えるもの | 相談先 |
|---|---|---|
| 買い物に行けない | 訪問介護の生活援助(買い物代行)、移動販売、ネットスーパー | 地域包括支援センター/ケアマネジャー |
| 作るのがつらい | 訪問介護の生活援助(調理)、配食サービス | 同上。配食は介護保険で使えるか |
| 費用が心配 | 市町村の配食助成、総合事業のサービス | 配食サービスの費用と助成/総合事業とは |
| ひとりで倒れないか不安 | 手渡しの配食(安否確認)、見守りサービス、緊急通報装置 | 見守りの考え方/緊急通報のしくみ |
| 認定を受けていない | 総合事業なら認定なしでも使えることがある | 要介護認定の受け方 |
どこから訊けばよいか分からないときは、地域包括支援センターに電話してください。 太子町・河南町・羽曳野市・富田林市・大阪狭山市・香芝市、どの市町村にもあります。 本人でなくても、離れて暮らすご家族からの相談で構いません。
「一人分は作りにくい」は、気持ちの問題ではありません。 材料の売り方が2〜4人分を前提にしているので、 買った時点で余ることが決まっています。 余らせて捨てるのが嫌になり、同じものを何日も食べ、やがて作らなくなる。この順番で進みます。
材料と手間の話は買い物に行けなくなったらと 食べ残しと作りすぎに、 費用の比べ方は食費はいくらかかるかにまとめています。
電話で「ちゃんと食べてる」と言われても、それは本当のこともあるし、 心配をかけまいとしていることもあります。 言葉ではなく、物と数字で確かめてください。
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