一人暮らしの高齢者の異変サイン|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

本人の申告は当てにならない

電話で「変わりないよ」と言う。訪ねても「元気にしている」と言う。しかし実際には食事が摂れていない、転んでいた、薬を飲めていない。これは珍しいことではありません。

理由は3つあります。心配をかけたくない、施設に入れられると思っている、自分でも変化に気づいていない。特に3つ目は認知機能の低下が始まっているときに起きます。

だから、言葉ではなく家と体に残った痕跡を見ます。

台所と冷蔵庫を見る

見るところ気になる状態示していること
冷蔵庫の中同じものが何個もある買ったことを忘れている
賞味期限が大きく切れたものが残る整理ができていない、食べていない
ほとんど空買い物に行けていない
ごみ箱菓子パン・カップ麺の包装ばかり調理をやめている。低栄養の入口
調理器具鍋やフライパンが使われた形跡がない火を使わなくなった
コンロ周り焦げ跡が増えた火の管理が難しくなっている
食器洗わないまま溜まっている体力・気力の低下

調理をやめると、食事は「買ってきたものをそのまま食べる」形になります。菓子パンとカップ麺が中心になると、たんぱく質と野菜が一気に落ちます。体重減少より先に、ごみ箱に変化が出ます。

玄関・郵便・服装

  • 郵便受け:チラシや新聞がたまっている。外に出ていない証拠です
  • 督促状・未開封の封筒:支払いや手続きができなくなっている
  • 玄関の靴:いつも同じ1足しか使われていない。外出の範囲が狭まっています
  • 服装:同じ服が続く。季節に合っていない。しみが付いたまま
  • におい:室内のにおいが変わった。排泄や入浴の問題が起きていることがあります
  • 室温:夏に冷房をつけていない、冬に暖房を使っていない。温度の感覚が鈍っています

夏の室温は命に直結します。高齢者の熱中症で扱っているとおり、高齢者は暑さと喉の渇きを感じにくくなります。

体に出る変化

  • 体重:ベルトの穴、指輪、入れ歯が合わなくなった
  • あざ:腕・すね・腰にあざがある。転んだことを言っていない可能性
  • 歩き方:壁や家具を伝って歩く。すり足になった
  • 薬:薬が余っている、あるいは足りない。飲めていません
  • 会話:同じ話を繰り返す、固有名詞が出てこない、日付が分からない

薬の残りは特に確認する価値があります。お薬手帳と実際の残薬を突き合わせると、いつから飲めていないかが分かります。

気づいたあと、どこに相談するか

いきなり施設の話を持ち出すと本人が身構えます。まずは地域包括支援センターに相談してください。無料で、介護保険を使っていなくても相談できます。

「食事だけでも整えたい」という段階なら、配食の利用が入口として受け入れられやすい選択肢です。介護サービスに比べて心理的な抵抗が小さく、毎日人が訪ねる状態を作れます。

離れて暮らす場合の具体的な進め方は離れて暮らす家族の見守りをご覧ください。

本人の言葉を鵜呑みにしない

電話で「変わりない」と言われても、それが実態とは限りません。この前提から始めてください。

高齢の方は、心配をかけたくないと考えます。子に迷惑をかけたくない、施設に入れられるのではないか、まだ自分でできると思われたい。こうした気持ちから、困っていることを隠します。これは、嘘をついているのではなく、自然な反応です。

そして、本人が変化に気づいていない場合もあります。少しずつ進む変化は、当人には見えません。食べる量が減ったこと、掃除ができなくなったこと、同じ話を繰り返していること。いずれも、外から見るほうがよく分かります。

ですから、聞くのではなく、見てください。「ちゃんと食べてる?」と聞けば「食べてる」と返ってきます。冷蔵庫を開ければ、実態が分かります。質問より、観察のほうが確実です。

そして、責めないでください。できなくなったことを指摘されると、次から隠すようになります。気づいたことは、支援につなげるために使うものです。追及の材料にしないでください。

台所と冷蔵庫を見る

食生活の実態は、本人の言葉ではなく、台所に表れます。

冷蔵庫を開けてください。賞味期限の切れたものが奥に残っている、同じものがいくつも入っている、逆にほとんど何も入っていない。いずれも、買い物や管理が難しくなっているしるしです。同じものを何度も買ってくるのは、買ったことを覚えていない可能性を示します。

調理の跡があるかも確かめてください。コンロが使われていない、鍋が乾いたまま、まな板が使われていない。作らなくなっていれば、何を食べているのかを確かめる必要があります。

そして、焦げた鍋や、火を使った跡に注意してください。焦がすことが増えているなら、火の管理が難しくなっています。これは、命に関わる問題につながります。

ごみも手がかりになります。菓子パンの袋、インスタント食品の容器ばかりが出ている。食事の内容が偏っていることが分かります。ごみ自体が出されていない場合も、注意が要ります。

玄関と郵便物から分かること

家に入る前の段階でも、確かめられることがあります。

郵便受けを見てください。新聞や郵便物がたまっている、投函口からあふれている。取り込んでいないなら、外に出ていないか、気づいていない可能性があります。

そして、郵便物の中身にも注意が要ります。公共料金の督促、健康食品の請求、身に覚えのない通販の荷物。金銭の管理に問題が出ている合図です。定期購入になっていて、止め方が分からないまま届き続けていることがあります。

玄関まわりの様子も見てください。履物が散らかっている、外に置いたものが片づいていない、植木が枯れている。これまで手入れしていた人が、しなくなったなら、意味のある変化です。

そして、戸締まりの状態も確かめてください。鍵をかけ忘れている、開けっ放しになっている。防犯の面でも、記憶の面でも、放置できない変化です。

体と服装に出る変化

本人の見た目からも、多くのことが分かります。

まず、体重です。服がゆるくなった、ベルトの穴が変わった、顔つきが変わった、指輪が回るようになった。本人は気づいていないことが多く、周囲が最初に気づきます。半年で2キロから3キロ減っていれば、注意が必要とされています。

そして、服装です。同じ服を何日も着ている、季節に合っていない、汚れたままになっている。着替えができなくなっている、あるいは意欲が落ちている可能性があります。

髪、爪、口のまわりも見てください。髪が乱れたまま、爪が伸びている、口の中の手入れができていない。身の回りのことが回らなくなっている合図です。

歩き方の変化も重要です。すり足になった、壁に手をつく、立ち上がるのに時間がかかる。転倒の危険が高まっています。骨折は、生活が一変する出来事です。

会話の中に出る変化

話している内容と話し方からも、確かめられることがあります。

同じ話を繰り返す、さっき言ったことを覚えていない、話がかみ合わない。こうした変化は、電話でも気づけます。ただし、一度や二度では判断できません。頻度が増えているかどうかを見てください。

そして、日付や曜日が分からなくなっている場合も、注意が要ります。「今日は何日?」と直接聞くと角が立つため、話の流れで確かめてください。予定の話をすれば、自然に分かります。

怒りっぽくなった、不安を訴えるようになった、逆に無気力になった。気持ちの変化も、体の変化と同じように意味があります。うつ状態は、高齢の方でも起こります。

そして、話す機会そのものが減っていないかも確かめてください。「今日、誰かと話した?」と聞いてみてください。誰とも話さない日が続いていれば、それ自体が対処すべき状態です。

薬とお金の管理

生活を続けるうえで欠かせない二つの領域です。

薬が残っていないかを確かめてください。飲み忘れが増えていれば、袋が残ります。逆に、飲みすぎている場合もあります。お薬手帳と実際の残りを見比べてください。一包化やカレンダー式の入れ物で改善することがあります。

そして、受診できているかも確かめてください。行けなくなっている、面倒で行かなくなった。持病がある方では、これが急な悪化につながります。

お金については、通帳や請求書を見せてもらえる関係を作っておいてください。いきなり見せてほしいと言えば、警戒されます。「一緒に整理しよう」という形なら、受け入れられやすくなります。

公共料金が止まっている、督促が届いている、財布の中身が把握できていない。これらは、支援が必要な段階に入っている合図です。金銭の管理を支援する仕組みがあります。

気づいたあと、どこに相談するか

気づくことと、動くことは別です。相談先を知っておいてください。

地域包括支援センターが、最初の窓口になります。要介護認定を受けていなくても相談でき、費用はかかりません。本人ではなく、家族からの相談も受け付けています。

すでにケアマネジャーがついているなら、そちらに伝えてください。気づいたことを具体的に伝えると、計画の見直しにつながります。黙っていると、支援は変わりません。

そして、体調に関わることは、かかりつけ医に伝えてください。短い診察では、生活の様子は伝わりません。気づいたことを書いて渡すという方法があります。

金銭の被害が疑われるなら、消費生活センターです。契約から間もなければ、解除できることがあります。早く相談するほど、手が多くあります。

一度に全部を変えようとしない

心配なことが複数見つかると、まとめて手を打ちたくなります。しかし、それは失敗します。

本人にとっては、生活が急に変わることになります。次々に人が来る、あれこれ言われる、勝手に物を捨てられる。拒絶され、以後の支援が入りにくくなります。

ですから、最も危険なものから一つずつ手を打ってください。火の始末、転倒、薬、食事。命に関わる順に並べれば、優先順位は決まります。

そして、本人が受け入れやすいものから始めてください。配食は、比較的受け入れられやすい部類です。食事の負担が減るという、本人にとっての利点がはっきりしているためです。

時間をかけてよい場合もあります。ただし、危険が差し迫っているなら、急いでください。この判断が難しければ、専門職に見てもらってください。

見守りの目を増やす

家族だけで見続けることには、限界があります。

毎日誰かが関わる形を作ってください。配食、訪問介護、通所、センサー、電話。組み合わせることで、間が空かなくなります。

近所の方、民生委員、新聞や郵便の配達、大家。家族以外にも、日常的に関わる人がいます。顔を合わせて、連絡先を伝えておくだけで、いざというときが変わります。

そして、気づいたことを共有する形を作ってください。それぞれが別々に気づいていても、つながらなければ意味がありません。ケアマネジャーが中心になることが多くあります。

見守りの全体像は高齢者の見守りとはにまとめています。手段を並べる前に、何を防ぎたいのかを決めてください。

手渡しだから気づけることがあります

配食のふれ愛 太子店では、お弁当を玄関先で手渡しし、お変わりがないかを確認しています。応答がない場合は、あらかじめ伺ったご家族やケアマネジャーへご連絡します。見守りを兼ねた配食について、まずはお気軽にご相談ください。

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関連用語

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

認知症

記憶や判断の力が低下し生活に支障が出る状態。食事の場面にも影響が出ます。

見守りサービス

高齢者の安否や体調の変化を定期的に確認するしくみです。

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