認知症の方の見守り|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

見守りの目的が変わる

認知症がある方の見守りは、体調の急変に備える一般的な見守りとは目的が違います。中心になるのは事故を防ぐことと生活の継続を支えることです。

ここで陥りやすいのが、危険を減らそうとしてできることまで取り上げてしまうことです。火を使わせない、外に出さない、金銭を触らせない。安全にはなりますが、役割を失うことで意欲が落ち、進行が早まることがあります。

原則は「見張るのではなく、危険な結果だけを起きなくする」です。

火と水

危険取り上げずに済む手
コンロの消し忘れ立ち消え安全装置・自動消火機能付きのコンロに替える。IHにする
やかんの空焚き電気ポット・電気ケトル(自動で切れる)に替える
浴槽の湯があふれる自動止水の給湯器。風呂の時間を家族が合わせる
水道の出しっぱなし自動水栓。元栓の調整
暖房器具ストーブをエアコン・オイルヒーターに替える

いずれも本人の行動は変えず、機器の側で結果を防ぐやり方です。調理を続けられれば、その分だけ生活の張りが保たれます。

外出と行方不明

出かけたまま戻らないことへの備えは、起きる前にしておきます。

  • 市区町村の事前登録制度に登録する。多くの自治体に、認知症の方の情報を警察・関係機関で共有する仕組みがあります
  • GPS端末を持つ習慣をつくる。靴に入れる型、キーホルダー型など。普段から持ち歩くものに仕込みます
  • 衣類・持ち物に連絡先を書く。アイロン接着のネームや、名前入りのお守り
  • 最近の写真を用意しておく。捜索願を出すとき必要になります。全身と顔、服装が分かるもの
  • 近所・商店に事情を伝えておく。地域の目が最も早く見つけます

玄関に鍵をかけて閉じ込めることは、身体拘束にあたる場合があります。やむを得ないと感じたときこそ、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。

食事の場面

認知症は食事にも影響します。よくあるのは次の形です。

  • 食べたことを忘れる。「まだ食べていない」と繰り返す。否定せず、軽いものを出す・お茶で間をつなぐ
  • 食べ方が分からなくなる。箸を持たない、食器を見つめる。手を添える、一口だけ介助して動作を思い出してもらう
  • 途中で立ち歩く。気が散る要素(テレビ・人の出入り)を減らす。手に持って食べられる形にする
  • 特定のものしか食べない。栄養の偏りが出るので、食べるものに栄養を足す方向で組み立てる
  • 食べ物でないものを口に入れる。手の届くところに置かない

また、認知症が進むと飲み込みの力も落ちます。むせが増えたら食事形態を見直します。嚥下食とは?をご覧ください。

配食が助けになる場面

調理の手順が組み立てられなくなっても、食べること自体は続けられます。配食は、火を使わずに温かい食事が用意できる手段です。

加えて、毎日決まった時間に人が訪ねることが生活のリズムをつくります。配食のふれ愛 太子店では、認知症のある方についてもご家族・ケアマネジャーと連絡先を共有し、応答がないときの手順を決めたうえでお届けしています。

認知症の予防と食事の関係は認知症予防と食事で扱っています。

早い段階で出る変化

気づきが早いほど、打てる手が多く残ります。

同じことを何度も尋ねる。数分前に聞いたことを、また聞きます。物忘れとの違いは、聞いたこと自体を覚えていない点にあります。

約束や予定が抜ける。通院の日を忘れる、集まりに来ない。本人はうっかりだと説明しますが、回数が増えていきます。

そして、慣れた作業に手間取ります。料理の味が変わる、家電の操作が分からなくなる、財布から小銭が出せず札ばかり使う。手順の多いことから崩れます。

片づけや身なりにも出ます。同じ服を着続ける、家の中が散らかる、冷蔵庫に古いものがたまる。これらが重なるときは、受診を考えてください。

受診につなげる

本人が病院を嫌がる、というのが最初の壁になります。

まずは、かかりつけの医師に相談してください。ふだんの通院のついでなら、抵抗が少なくなります。家族から事前に事情を伝えておくこともできます。

そして、健康診断という形で誘う方法があります。「物忘れの検査」と言うと拒まれることがあります。体の検査に含める形が通りやすい場合があります。

受診の目的は、原因を確かめることにあります。物忘れが目立つ状態には、ほかの原因が隠れていることがあります。治療で改善するものもあります。医師の判断が必要です。

診断がつくと、使える支援が広がります。介護の認定、専門の相談窓口、家族の集まり。制度につながる入口になります。

本人の言い分を否定しない

接し方ひとつで、生活の落ち着きが変わります。

間違いを正そうとしないでください。「さっき言ったでしょう」は、本人を追い詰めます。覚えていないことを責められる経験が重なると、不安と混乱が強くなります。

物がなくなったと言われたときも、まず一緒に探してください。疑われても、否定から入らないでください。不安が背景にあります。

そして、急がせないでください。考える時間が長くかかるようになります。せかされると、できることもできなくなります。

できることは、取り上げないでください。時間がかかっても、本人がやるほうが力が保たれます。危険がある場面だけ、手を出してください。

お金と契約をめぐる危険

金銭に関わる場面が、最も被害の出やすいところです。

訪問販売や電話での勧誘に、応じてしまうことがあります。同じものを何度も買う、高額な工事の契約をする。気づいたときには、支払いが済んでいることがあります。

電話を留守番の設定にしておく方法があります。知らない番号に出ない形にするだけで、被害が減ります。自治体が録音の装置を貸し出していることもあります。

そして、通帳の動きを確かめられる状態にしておいてください。大きな引き出しがあれば、早く気づけます。本人の了解を得た形で進めてください。

判断が難しくなってきた場合、財産を守る公的な仕組みがあります。使うかどうか、どの形にするかは専門的な判断が要ります。地域包括支援センターか、市町村の窓口に相談してください。

薬の飲み忘れと飲み過ぎ

飲み忘れより、二重に飲むほうが危険です。

飲んだかどうかが分からなくなり、もう一度飲むことがあります。血圧や血糖に関わる薬では、重い影響が出ることがあります。薬の管理は、早めに手を打つ場所です。

一回分ずつに分けた包装にしてもらえます。薬局に相談すれば、日付と時間を印字してもらえることがあります。複数の薬をまとめられます。

そして、曜日ごとに分かれたケースを使う方法があります。見れば、飲んだかどうかが分かります。本人が管理しやすい形を選んでください。

訪問の看護や薬剤師に、管理を頼める場合もあります。ケアマネジャーか、かかりつけの薬局に相談してください。残っている薬を持っていくと、状況が伝わります。

夜の時間帯に起きること

夕方から夜にかけて、落ち着かなくなる方がいます。

外に出ようとする、そわそわする、帰ると言う。時間帯によって状態が変わることがあります。本人には理由があります。

部屋を明るくしておくと、落ち着くことがあります。暗さと影が、不安を強めます。夕方に照明をつける習慣が助けになります。

そして、昼間に体を動かしておくと、夜の眠りが深くなります。日中の活動が減ると、昼夜が逆転します。通所のサービスが役立つ場面です。

家族が眠れない状態が続くときは、限界の手前です。医師とケアマネジャーの両方に伝えてください。夜の対応を含む支援を組める場合があります。

運転をどうするか

先送りにしやすく、しかし取り返しのつかない問題です。

車体の傷が増える、道を間違える、車庫入れに手間取る。これらは、周囲が確かめられる変化です。本人の申告は当てになりません。

医師に相談してください。医学的な判断が必要な領域です。診断の内容によっては、運転が認められない場合があります。

そして、取り上げる前に、代わりの移動手段を用意してください。買い物、通院、集まりへの参加。足がなくなると、生活が一気に縮みます。

市町村によっては、運転をやめた方への支援があります。移動の割引や、乗り合いの仕組み。窓口で確かめてください。

介護する家族が潰れないために

支える側が倒れると、すべてが止まります。

一人で抱えないでください。兄弟姉妹、専門職、地域の支援。役割を分けることが、最初の手当てです。

そして、休む時間を予定に入れてください。短期の宿泊や、通所を使えば、家族が休めます。これは、本人のためでもあります。

同じ立場の人と話す場があります。家族の集まりが、各地で開かれています。経験のある人の言葉は、専門書より役に立つことがあります。

感情的になってしまう自分を、責めないでください。誰にでも起こります。そう感じたときが、支援を増やす合図です。

相談先を早く決めておく

どこに聞けばよいかを、あらかじめ決めておいてください。

地域包括支援センターが、最初の窓口です。介護の認定がなくても相談できます。担当の区域が住所で決まっています。

専門の相談窓口が、都道府県や市町村に置かれていることがあります。電話で相談できる窓口もあります。市町村のホームページか広報紙で確かめてください。

そして、介護のサービスを使っているなら、ケアマネジャーが要になります。状態が変わったら、すぐ伝えてください。計画を組み直せます。

食事の面で困っているときは、選び方を配食サービスの選び方にまとめています。手渡しの形なら、見守りにもなります。

本人の暮らしを、どこまで残すか

危険を減らすことと、生活を取り上げることは別です。

できることは残してください。洗濯物をたたむ、庭の水やり、新聞を取りに行く、食器を運ぶ。役割があることが、状態を保ちます。

そして、本人の好みを聞き続けてください。何を食べたいか、どこに行きたいか。選ぶ機会をなくさないでください。

失敗を前提にした準備をしておけば、任せられます。火を使わない調理器具、割れない食器、床の段差をなくす。環境を変えるほうが、行動を止めるより優れています。

周囲が先回りしすぎると、できることが早く減ります。手を出す場面を、危険なところに限ってください。

手渡しだから気づけることがあります

配食のふれ愛 太子店では、お弁当を玄関先で手渡しし、お変わりがないかを確認しています。応答がない場合は、あらかじめ伺ったご家族やケアマネジャーへご連絡します。見守りを兼ねた配食について、まずはお気軽にご相談ください。

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関連用語

認知症

記憶や判断の力が低下し生活に支障が出る状態。食事の場面にも影響が出ます。

嚥下障害

飲み込みがうまくいかない状態。むせや口の中の残留が目印になります。

ケアマネジャー

介護保険のケアプランを作り、サービス事業者との調整を担う専門職です。

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