地域の見守りネットワーク|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

協定という仕組み

多くの市区町村が、地域を回る民間事業者と見守りに関する協定を結んでいます。業務のなかで高齢者の異変に気づいたとき、市区町村や地域包括支援センターへ通報する、という取り決めです。

参加している業種の例です。

  • 新聞販売店、郵便局、宅配便
  • 電気・ガス・水道の検針
  • 生協・移動販売・食品の宅配
  • 配食事業者
  • 金融機関(高額の引き出しなど、詐欺の兆候にも目を配る)
  • 薬局、コンビニエンスストア

共通するのは定期的にその家を訪ねる点です。新聞がたまる、郵便受けがあふれる、いつもと様子が違う。日常の業務のなかでしか分からない情報があります。

通報はどう流れるか

  1. 事業者が異変に気づく(応答がない、郵便がたまっている、様子が違う)
  2. 市区町村の担当課、または地域包括支援センターへ連絡
  3. センターが状況を確認し、家族・ケアマネジャーへ連絡
  4. 必要に応じて訪問、警察・消防へ要請

この流れが働くために、市区町村側が「その家に高齢者が一人で住んでいる」ことを把握している必要があります。把握されていないと、通報を受けても確認先がありません。

家族がしておく登録

次のものは、申請しなければ登録されません。該当するものは市区町村の窓口で手続きしてください。

登録目的窓口
一人暮らし高齢者の名簿見守り・災害時の把握市区町村の高齢福祉担当
避難行動要支援者名簿災害時に支援が必要な人として登録同上
個別避難計画誰がどう避難を手伝うかを決めておく同上
認知症高齢者の事前登録行方不明時に警察・関係機関で情報を共有市区町村・警察
救急医療情報キット救急隊に持病と連絡先を伝える地域包括支援センター

避難行動要支援者名簿への登録は、災害対策基本法に基づく制度です。個別避難計画の作成も自治体の努力義務とされています。「まだ元気だから」と後回しにされがちですが、登録しておいて損はありません。

配食事業者としての立場

配食のふれ愛 太子店は、毎日決まった時間にお客様のお宅を訪ねる立場にあります。お弁当をお渡しする数分のなかで、いつもと違う様子に気づいたときは、あらかじめ伺っているご家族・ケアマネジャーへご連絡しています。

この仕組みが働くには、連絡先が最新であることが不可欠です。ご家族の電話番号や住所が変わったときは、必ずお知らせください。

連絡体制の整え方は緊急時の連絡体制を、災害時の備えは高齢者の防災と食料の備えをご覧ください。

どんな事業者が関わっているか

地域によって顔ぶれは異なりますが、共通する業種があります。

毎日か、それに近い頻度で回る事業者です。新聞の配達、郵便、宅配、配食。決まった時間に同じ家を訪れるため、変化に気づきやすい立場にあります。

そして、定期的に訪れる事業者です。電気やガス、水道の検針、生活協同組合の配達。月に一度でも、前回との違いが分かります。

店舗を構える事業者が加わっている地域もあります。薬局、金融機関、商店。来なくなったことや、様子の変化に気づく立場です。

どの事業者が参加しているかは、市町村のホームページに載っていることがあります。知っておくと、どこに気づいてもらえるかが分かります。

気づける場面は限られている

過度に期待すると、備えが足りなくなります。

気づけるのは、訪れた瞬間だけです。訪問と訪問の間に何が起きても、分かりません。週に一度の配達なら、最大で6日の空白があります。

そして、玄関先で分かることに限られます。家の中の様子、体調の細かい変化は見えません。応答があれば、そこで終わります。

置き配の形では、人と会いません。手渡しでなければ、安否の確認にはなりません。この点は、契約の内容を確かめてください。

ですから、これは補助の仕組みです。これだけに頼る形にしないでください。家族の連絡や、決まった訪問と組み合わせてください。

通報を受けた側がすること

連絡が入ったあと、どう動くかを知っておいてください。

まず、家族に連絡が入ります。登録されている連絡先が使われます。ここがつながらないと、次の段階に進みます。

市町村や地域包括支援センターが、状況を確かめます。ケアマネジャーが関わっている場合は、そちらにも連絡が回ります。誰かが訪問して、直接確かめる流れになります。

そして、命に関わると判断される場合は、救急や警察が動きます。室内に入る必要があるときは、この段階です。鍵がなければ、扉を壊すことになります。

この流れが速く回るかどうかは、登録された情報が正しいかで決まります。古い電話番号のままでは、そこで止まります。

個人情報がどう扱われるか

心配されることの多い点です。整理しておきます。

通報の内容は、決められた窓口にだけ伝わります。近所に広まる仕組みではありません。関わる人には守秘の義務が課されます。

そして、事業者が個人の情報を受け取るわけではありません。気づいたことを伝える側であり、名簿を持つ立場ではありません。ここを誤解している方がいます。

市町村が持つ名簿については、本人の同意を得て作られるものがあります。誰に共有されるかが、あらかじめ決められています。説明を受けてから判断してください。

不安がある場合は、市町村の窓口で確かめてください。どこまでが誰に伝わるかを、書面で示してもらえます。

名簿への登録を求められたとき

災害時や緊急時に備えた名簿があります。

一人で避難することが難しい方を、あらかじめ登録しておく仕組みです。高齢、障害、要介護といった条件が設けられています。市町村が作ります。

登録すると、地域の関係者に情報が共有されます。自治会、民生委員、消防など。誰に共有されるかは、市町村によって異なります。

そして、共有には本人の同意が要る場合があります。同意しない選択もできます。ただし、その場合は災害時に情報が届きません。

迷ったときは、共有される範囲を確かめてから決めてください。登録しておくほうが、いざというときに助けが届きやすくなります。

自治会と近所の役割

事業者の網とは別に、住民同士の目があります。

自治会や町内会が、見守りの活動を行っている地域があります。声かけ、訪問、集まりの開催。参加していない世帯には、届きません。

回覧板を回す関係も、確認の機会になります。手渡しの形なら、顔を合わせます。玄関に置く形が増えていますが、渡す形を残している地域もあります。

そして、隣の家との関係が、最も早く気づける手段です。灯りがつかない、新聞がたまっている、車が動いていない。毎日見ている人にしか分かりません。

離れて暮らす家族は、帰省のときに挨拶しておいてください。連絡先を渡すだけで、関係ができます。それが、最も費用のかからない備えです。

気づいた人が困らない形にする

網が働くかどうかは、気づいた人が動きやすいかで決まります。

迷わせないでください。どこに連絡すればよいかが分からなければ、多くの人は何もしません。連絡先が明確であることが、最初の条件です。

そして、間違いを責めない空気が必要です。「何もなかった」で終わるほうが、はるかに良い結果です。空振りを責められると、次から誰も連絡しなくなります。

お礼を伝えることも忘れないでください。無償で気にかけてもらう関係は、負担が一方的になると続きません。帰省のときに顔を出す、それだけでも違います。

事業者に対しても同じです。本業の合間に見てもらっています。過度な要求は、仕組みそのものを弱めます。

網の目を増やしていく

一つに頼ると、それが働かなかったときに止まります。

種類の違うものを重ねてください。毎日来るもの、週に一度のもの、月に一度のもの。間隔が違うほど、空白が埋まります。

そして、気づく場所も分けてください。玄関先で気づくもの、家の中で気づくもの、外出先で気づくもの。同じ場所ばかり見ていても、抜けます。

気づいたことが集まる先を、一つに決めてください。ケアマネジャー、地域包括支援センター、家族。ばらばらに気づいても、つながらなければ意味がありません。

組み合わせ方は見守りの種類と選び方にまとめています。費用のかからないものから積み上げてください。

家族が最初にする3つのこと

今日からできることを挙げておきます。

一つめ。市町村に、どんな見守りの仕組みがあるかを聞いてください。地域包括支援センターに電話をすれば、まとめて教えてもらえます。介護の認定がなくても相談できます。

二つめ。連絡先を1枚の紙にまとめ、本人の家の冷蔵庫に貼ってください。家族、かかりつけ医、ケアマネジャー、近所の方。気づいた人が見る場所です。

三つめ。近所の方と、一度顔を合わせてください。存在を知られていることが、すべての前提になります。

この3つで、網の土台ができます。費用はかかりません。そのうえで、足りない部分を仕組みで補ってください。

認知症の方の行方が分からなくなったとき

地域の網が、最も分かりやすく働く場面です。

あらかじめ登録しておく仕組みを設けている市町村があります。特徴や写真、連絡先を届け出ておく形です。いなくなったときに、関係する先へ一斉に情報が流れます。

そして、事業者や住民に協力を求める仕組みもあります。配達や巡回の途中で、気にかけてもらえます。行動の範囲が広い立場の人ほど、見つける機会があります。

持ち物に、連絡先を記しておく方法もあります。靴、衣類、鞄。保護された際に、身元がすぐ分かる形にしておいてください。

登録できる仕組みがあるかどうかは、地域包括支援センターで確かめてください。起きてからでは、間に合いません。元気なうちに済ませておく手続きです。

網が働かなかった場面から学ぶ

仕組みがあっても、届かないことがあります。理由は共通しています。

誰にも知られていなかった。近所付き合いがなく、どの事業者も出入りしていない。この状態では、網に入っていません。

連絡先が古かった。気づいた人が電話をかけても、つながりませんでした。更新されていない情報は、無いのと同じです。

そして、気づいていたが、連絡しなかった。大ごとにしたくない、勘違いだったら困る。ためらいが、時間を奪います。

この3つを潰しておいてください。知られていること、連絡先が正しいこと、迷わず連絡してよいと伝わっていること。仕組みより先に、この土台が要ります。

手渡しだから気づけることがあります

配食のふれ愛 太子店では、お弁当を玄関先で手渡しし、お変わりがないかを確認しています。応答がない場合は、あらかじめ伺ったご家族やケアマネジャーへご連絡します。見守りを兼ねた配食について、まずはお気軽にご相談ください。

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見守りサービス

高齢者の安否や体調の変化を定期的に確認するしくみです。

ケアマネジャー

介護保険のケアプランを作り、サービス事業者との調整を担う専門職です。

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