ひとつで全部は賄えない。穴の空く時間帯を埋めていく
| 型 | 例 | 分かること | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 訪問型 | 配食、訪問介護、民生委員、乳酸菌飲料の宅配 | 顔色・声・生活の様子まで | 配食1食450〜900円程度 |
| センサー型 | 人感センサー、開閉センサー、電気ポットの使用通知 | 動きがあったかどうか | 月1,000〜3,000円程度 |
| 緊急通報型 | ペンダント型ボタン、警備会社の駆けつけ | 本人が押せば助けが来る | 月1,000〜5,000円程度。自治体が貸与する場合あり |
| 電話型 | 安否確認の電話、自動音声、家族の定時連絡 | 会話ができるか | 無料〜月1,000円程度 |
費用は地域と事業者により幅があります。市区町村の助成が使えるものもあるので、契約の前に地域包括支援センターで確かめてください。
どの型にも空白があります。ですから1つに絞るのではなく、空く時間帯を別の手段で埋めます。
一人暮らし・要支援1・日中は自立している方の例です。
| 時間帯 | 手段 |
|---|---|
| 平日の昼 | 配食(手渡し) |
| 週2回の日中 | デイサービス |
| 夜間 | 人感センサー(トイレの動きを検知) |
| いつでも | 緊急通報装置(自治体貸与) |
| 週末 | 家族の電話、近所の方への声かけ依頼 |
ここで大事なのは、誰が異変を受け取るのかを決めておくことです。センサーの通知が届く先、配食から連絡が行く先、通報装置がつながる先。この3つがばらばらだと、いざというときに動けません。緊急時の連絡体制で整理してください。
4つ目を飛ばすと、機器の電源を抜かれる、ボタンを持たない、といった形で機能しなくなります。見守りは本人の同意の上に成り立ちます。
手段を比べる前に、目的をはっきりさせてください。ここを飛ばすと、費用ばかりかかって効果が出ません。
倒れて動けなくなったときに早く見つけたいのか。火事や事故を防ぎたいのか。外に出て戻れなくなることを防ぎたいのか。食事を取れているかを知りたいのか。孤立を防ぎたいのか。目的によって、適した手段はまったく違います。
すべてを一つの仕組みで賄うことはできません。センサーは倒れたことに気づけますが、詐欺の被害は防げません。電話は話ができますが、家の中の様子は分かりません。
ですから、最も心配なものを一つ決めて、それに合う手段から始めてください。一つ入れてみて、足りない部分を次で埋める。この順序が現実的です。
そして、本人がどう感じるかも判断の材料に入れてください。効果が高くても、拒まれれば意味がありません。受け入れられる形から始めるほうが、結果として続きます。
実際に人が家を訪れる形は、最も情報量が多い手段です。
顔色、話し方、家の中の様子、においや温度。機械では捉えられない情報が、まとめて分かります。そして、「いつもと違う」という判断ができるのは、人だけです。
配食、訪問介護、訪問看護、民生委員の訪問、地域のボランティア。それぞれ目的は違いますが、結果として見守りの働きをします。介護保険のサービスを使っているなら、すでにこの目が入っています。
弱点は、訪問していない時間が分からないことです。夜間、休みの日、配達のない曜日。その間に何かあれば、次まで気づかれません。
そして、費用と人手の制約があります。毎日、何度も来てもらうことは現実的ではありません。他の手段と組み合わせる前提で考えてください。
センサーや家電を使う形は、常時見られるという点で優れています。
人の動き、扉の開閉、電気の使用、水道の使用、電気ポットの操作。いずれも、生活していれば起きる動作です。それが一定時間なければ、異常として通知されます。
利点は、24時間途切れないことと、本人が意識しなくてよいことです。ボタンを押す必要も、応答する必要もありません。操作が難しい方でも使えます。
弱点は、原因が分からないことです。動きがないという情報は得られても、倒れているのか、外出しているのか、寝ているのかは分かりません。結局、誰かが確かめに行く必要があります。
そして、通知を受けた人が動けなければ、意味がありません。遠方の家族だけが受け取る形では、到着まで時間がかかります。近くに確かめに行ける人を、あわせて決めておいてください。
緊急通報の装置や、ペンダント型のボタンがこれにあたります。
本人が押せば、すぐにつながります。消防や、委託された事業者につながる形が一般的です。自治体が貸し出している場合があり、費用が抑えられます。
利点は、本人の意思で助けを呼べることです。体調が急に悪くなった、転んで動けない。意識があれば、最も早い手段になります。
弱点は、押せない場合があることです。意識を失っている、手が届かない場所で倒れた、装置を身につけていない。これでは機能しません。入浴中や就寝中に外していることが多くあります。
そして、押すことをためらう方がいます。「大げさにしたくない」「迷惑をかけたくない」。使ってよいのだと、繰り返し伝えておく必要があります。
電話や、会話ができる機器を使う形です。
自動的にかかってきて応答を確かめる仕組み、決まった時間に人が電話をかける仕組み、家族が日常的に電話する形。いずれも、声を聞けるという点に価値があります。話し方の変化から、体調も分かります。
そして、孤立を防ぐ効果があります。誰とも話さない日が続くことは、それ自体が問題です。気持ちの落ち込みは、食欲の低下につながります。
弱点は、出られなければ分からないことです。そして、電話に出ても「大丈夫」としか言わない方が多くいます。本人の申告に頼る手段には、限界があります。
耳が遠くなっている方では、電話そのものが難しくなります。この場合は、訪問や機器のほうが適しています。状態に合わせて選んでください。
一つの型だけで完結させようとせず、弱点を補い合う形にしてください。
例えば、配食で毎日顔を見て、センサーで夜間を埋め、緊急通報で本人からも呼べるようにする。これで、時間の空白が大きく減ります。費用も、それぞれ抑えた形にすれば現実的な範囲に収まります。
介護保険のサービスを使っているなら、すでに人が入っている日があります。その日以外をどう埋めるかを考えれば足ります。ケアマネジャーに、この視点で計画を見てもらってください。
そして、公的なものから順に確かめてください。自治体が貸し出す緊急通報、配食への助成、民生委員の訪問。費用をかけずに使えるものが先です。
足りない分だけを、民間のサービスで補ってください。最初から民間の契約を並べると、負担が重くなります。続かない仕組みは、意味がありません。
契約や導入の前に、聞いておくべき点があります。
異常を検知したとき、誰に、どう伝わるか。連絡の順番、時間帯による違い、つながらなかった場合の扱い。ここが曖昧な仕組みは、いざというときに動きません。
そして、確かめに行くのは誰か。通知が来ても、駆けつける人がいなければ止まります。駆けつけを含むサービスなのか、通知だけなのかを確かめてください。
室内に入れるかどうかも重要です。鍵を預けていなければ、外から確かめるしかありません。鍵の扱いは鍵をどうするかにまとめています。
費用は、初期と月々の両方を確かめてください。解約のときの条件も聞いておいてください。状態が変われば、やめることもあります。
効果の高さと、受け入れられやすさは別です。
カメラは、情報量が多い一方で、最も抵抗を受けます。監視されていると感じる方が多く、無断で設置すれば信頼を失います。導入するなら、必ず本人の同意を得てください。
センサーは、比較的抵抗が少ない部類です。映像を撮らないため、説明すれば受け入れられることがあります。「見張るためではなく、何かあったときのため」という伝え方が有効です。
配食は、食事という目的があるため、受け入れられやすい手段です。見守りを目的として説明しなくても済みます。本人にとっての利点がはっきりしています。
そして、一度に複数を入れないでください。生活が急に変わると、拒絶されます。一つずつ、慣れてから次を検討してください。
いったん決めた形が、ずっと最適とは限りません。
状態は変わります。歩けていた方が歩けなくなる、記憶の問題が出てくる、逆に回復することもあります。半年に一度は、いまの形で足りているかを確かめてください。
そして、連絡先の情報も更新してください。電話番号、住所、勤務先。古いままでは、通知が届きません。
機器は、電池切れや故障が起こります。動作の確認を定期的にしてください。いざというときに動かなければ、意味がありません。
そして、費用が負担になってきたら、公的なものに置き換えられないかを相談してください。制度は変わります。以前は使えなかったものが、いまは使えることがあります。
比べているうちに時間が過ぎる、というのがよくある展開です。
完璧な組み合わせを探そうとすると、決まりません。最も心配なことを一つ選び、それに合う手段を一つ入れる。まずはここまでで構いません。入れてみて足りなければ、次を足せばよいのです。
そして、無料または低額のものから試してください。自治体の緊急通報、民生委員への連絡、配食の利用。費用の負担が小さければ、合わなかったときにやめやすくなります。
迷ったら、地域包括支援センターに電話してください。状況を伝えれば、その町で使えるものを優先順位をつけて示してもらえます。自分で調べるより、はるかに早く進みます。
高齢者の見守りの目的と種類を整理します。安否確認・生活支援・緊急通報の違い、公的なものと民間のもの、費用の目安までをまとめて解説します。
異変に気づいた人から家族・医療へつながる道筋を、事前にどう決めておくかを解説します。連絡先の並べ方、鍵の扱い、情報の置き場所まで整理します。
人感センサー・開閉センサー・家電の使用通知など、機器による見守りの仕組みと限界を整理します。カメラを使うときの本人の同意についても解説します。
見守りの費用を、公費で賄えるもの・介護保険が使えるもの・実費のものに分けて整理します。市区町村の助成の探し方も解説します。
介護保険や事業所探し、福祉用具の選び方は、同じ株式会社京谷商会が運営する情報サイトにまとめています。
介護の窓口(kaigoinfo.com)の記事。見守りの手段を種類ごとに並べて比べています。
介護の窓口の記事。何から順に確かめればよいかを整理しています。
介護の窓口の記事。見守りの相談を無料で受けてくれる、地域の最初の窓口です。