気づく人がいても、つなぐ先が決まっていなければ止まってしまう
見守りの仕組みを入れたのに助けが遅れた、という事例の多くは、気づけなかったのではなく、気づいたあとで止まったものです。
いずれも事前の取り決めで防げます。
| 順 | 誰 | 条件 |
|---|---|---|
| 第1 | 同居家族、または近くに住む家族 | 30分以内に着ける人 |
| 第2 | 別の家族、親族 | 第1が出ないときに判断できる人 |
| 第3 | ケアマネジャー、地域包括支援センター | 平日日中。制度側の判断ができる |
第1が遠方の場合は、近所の方・大家・管理人を第1に置く形も検討してください。距離が最優先です。
また、それぞれについて携帯と固定の両方、日中と夜間で出やすい番号を控えておきます。1つしか登録がないと、そこでつながらなければ終わりです。
室内に入れなければ、倒れているかどうかも確かめられません。あらかじめ決めておく選択肢は次のとおりです。
配食事業者が合鍵を預かることは、責任の所在が曖昧になるため一般には行われません。配食のふれ愛 太子店でも原則お預かりしていません。詳しくはよくある質問「鍵を預かってもらえますか」をご覧ください。合鍵の考え方は鍵をどうするかで扱っています。
救急隊が来たときに必要な情報を、玄関か冷蔵庫のドアなど誰でもすぐ見つかる場所に置きます。多くの市区町村が配っている救急医療情報キット(筒に情報を入れて冷蔵庫に保管する)が使えます。
書いておく内容は次のとおりです。
キットの配布は地域包括支援センターまたは市区町村の高齢福祉担当が窓口です。無料で配っている自治体が多くあります。
連絡先も薬も担当者も変わります。誕生日か年度替わりに、年1回見直す日を決めてください。配食・センサー・通報装置それぞれに登録した連絡先も同時に更新します。
異変に気づく仕組みを整えても、その先で止まることがあります。
センサーが通知した、配達員が応答なしを報告した、近所の人が心配して連絡してきた。ここまでは動いても、次に誰が何をするかが決まっていないと、そこで時間が過ぎます。この空白が、結果を左右します。
ですから、気づく手段を増やすことと同じくらい、気づいたあとの手順を決めることが重要です。誰が確かめに行くのか、鍵はどうするのか、誰に判断を仰ぐのか。紙に書いて共有しておいてください。
そして、実際に動くのは、慌てている人です。普段は分かっていることも、そのときには思い出せません。手順が見える場所にあることに意味があります。
本人にも伝えておいてください。「何かあったらこうする」と共有しておけば、本人も安心します。知らないところで決められることを嫌う方がいます。
一人に集中させると、その人が出られないときに止まります。
まず、最初に連絡する人を決めてください。近くに住む家族、あるいは日中に動ける人。すぐに確かめに行ける人が適しています。
次に、その人がつかまらない場合の連絡先を決めてください。別の家族、親戚、近所の方。二番目、三番目まで決めておくと、どこかで必ずつながります。
そして、時間帯によって分けることも有効です。日中は働いている家族が出られないことがあります。昼と夜で担当を変える形が現実的です。
それぞれの連絡先を、機器の事業者、配食の事業者、ケアマネジャー、民生委員に伝えておいてください。一か所にしか登録していないと、他からは連絡が来ません。
緊急のときに必要な情報を、探さずに済む形にしておいてください。
本人の氏名、生年月日、住所、保険証の情報。持病、飲んでいる薬、アレルギー、かかりつけの医療機関。救急の場面で必ず聞かれる項目です。
そして、家族の連絡先を複数。ケアマネジャーの連絡先、利用しているサービスの一覧。これらがまとまっていれば、駆けつけた人が動けます。
置き場所を決めて、家族全員が知っている状態にしてください。冷蔵庫の扉、電話のそば、玄関の内側。探し回らずに見つかる場所が適しています。
自治体によっては、救急の情報を入れる容器を配布しています。冷蔵庫に入れておく決まりになっていて、救急隊が探す場所として共有されています。役所で確かめてください。
呼ぶべきかどうかで迷うことがあります。目安を持っておいてください。
意識がない、呼びかけに反応しない、息をしていない、大量に出血している。この場合は、迷わず救急に連絡してください。判断を待つ時間はありません。
倒れているが意識がある、痛みを訴えている、いつもと様子が違う。この場合も、迷ったら呼んでください。結果として大事でなくても、責められることはありません。
判断に迷う場合、救急の相談に応じる電話窓口があります。専門職が話を聞いて、救急を呼ぶべきかどうかを助言してくれます。番号を控えておいてください。
そして、かかりつけ医の連絡先も控えておいてください。診療時間内であれば、そちらに相談できる場合があります。普段の状態を知っている医師の判断は、精度が高くなります。
搬送されたあとに、家族が困ることがあります。先に備えておいてください。
保険証、お薬手帳、印鑑、着替え。どこにあるかを家族が知っている必要があります。本人が説明できない状態で運ばれることがあります。
そして、家の戸締まりと、火の始末。誰が家を確かめるかを決めておいてください。誰も入れないまま何日も経つことがあります。
利用しているサービスへの連絡も必要です。配食、訪問介護、通所。止めておかないと、届き続けたり、来訪が続いたりします。ケアマネジャーに一報すれば、まとめて調整してもらえます。
ペットや植物がいる場合も、対応が要ります。誰が世話をするかを決めておいてください。見落とされやすい点です。
緊急の場面では、本人の希望を聞けないことがあります。
元気なうちに、どうしてほしいかを話しておいてください。どこまでの治療を望むか、どこで最期を迎えたいか。重い話ですが、決めておくことで家族が迷わずに済みます。
紙に書いておくという方法もあります。法的な効力を持つものではありませんが、家族と医療者が判断するときの手がかりになります。書式を用意している自治体もあります。
そして、内容は変わってよいものです。一度決めたら変えられない、というものではありません。状態が変われば、気持ちも変わります。
話しにくければ、専門職に入ってもらってください。医師、ケアマネジャー、看護師。第三者がいるほうが、話しやすいことがあります。
決めた内容が、関わる人全員に伝わっていなければ意味がありません。
家族の間で共有してください。一人だけが知っている状態は、その人がいないときに機能しません。写真に撮って送るだけでも構いません。
そして、ケアマネジャーに伝えてください。関わる事業者に共有してもらえます。担当者会議の場で確かめる機会があります。
民生委員や近所の方にも、必要な範囲で伝えておいてください。「何かあったらここに連絡してほしい」という一言があるだけで違います。本人の了解を得てからにしてください。
そして、年に一度は内容を確かめてください。連絡先が変わっている、担当者が替わっている、状態が変わっている。古いままの情報は、使えません。
決めただけでは、いざというときに動けません。
実際に連絡してみてください。登録した番号が生きているか、誰が出るか、どれくらいで到着できるか。試してみると、想定と違うことが分かります。
機器を使っている場合は、動作を確かめてください。通知が本当に届くか、誰の端末に届くか。設定が間違っていることがあります。
そして、鍵の受け渡しも確かめてください。いざというときに開けられるか。キーボックスの番号を忘れていた、という例があります。
年に一度、家族が集まる機会に確かめてください。帰省のときが適しています。手順を口に出して確かめるだけでも、意味があります。
近くに家族がいない場合、近所の方が最も早く動ける存在になります。
ただし、頼む前に本人の了解を得てください。本人が知らないところで近所に頼むと、あとで関係がこじれます。「何かあったときのために」という形で、一緒に話すのが望ましい進め方です。
頼む内容は、はっきり限ってください。「応答がなかったら、この番号に電話してほしい」。これだけで十分です。安否を確かめる責任まで負わせると、相手の負担が重くなります。
そして、連絡先を書いた紙を渡してください。口頭で伝えても、いざというときには思い出せません。冷蔵庫に貼れる大きさの紙が適しています。
お礼の気持ちを伝えることも忘れないでください。無償で気にかけてもらう関係は、負担をかけすぎると続きません。帰省のときに顔を出す、それだけでも違います。
決めた内容は、時間が経つと合わなくなります。
連絡先が変わっていないか確かめてください。携帯番号、住所、勤務先。登録した先が使えなければ、仕組み全体が止まります。
そして、関わる人が替わっていないか確かめてください。ケアマネジャーの異動、事業者の変更、民生委員の交代、近所の方の転居。替わったときは、あらためて手順を共有してください。
本人の状態も変わります。いま適している手順が、半年後には合わないことがあります。状態が重くなれば、連絡の段取りも変える必要があります。
帰省の機会に、家族で確かめてください。紙を出して、口に出して読むだけで足ります。何かが起きてから慌てるより、はるかに楽です。
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