高齢者の食費|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

見えている費用と、見えていない費用

「自炊のほうが安い」と考えられがちですが、一人分の自炊では次の費用が見えていません。

  • 使いきれない食材の廃棄。一人分に合う量で売られていないため、必ず余ります
  • 光熱費。1食のために火を使う
  • 買い物の交通費。タクシー、配達料
  • 調理にかかる時間と体力
  • 栄養の偏り。安く済ませると、たんぱく質と野菜が最初に減ります

とくに廃棄は大きく、一人暮らしでは買った食材の3割前後を捨てているという調査もあります。「1食300円で作った」と思っていても、捨てた分を含めれば実際は違います。

ざっくりした比較

方法1食あたりの目安備考
自炊(一人分)300〜500円廃棄と光熱費を含めると上振れ
スーパーの惣菜・弁当400〜600円塩分が高め。野菜が少ない
コンビニ500〜700円同上
冷凍宅配弁当500〜800円送料が別の場合あり
当日調理の配食500〜800円自治体助成があれば下がります
外食800円〜—

金額だけを見れば大差ありません。差がつくのは、栄養の中身と手間です。

削ってよいところ、いけないところ

削ってよい:

  • 嗜好品(菓子、清涼飲料)
  • 効果のはっきりしない健康食品・サプリメント(サプリメントとの付き合い方)
  • 使いきれない食材のまとめ買い
  • 外食の回数

削ってはいけない:

  • たんぱく質。肉・魚・卵・大豆・乳製品。ここを減らすと筋肉が落ちます
  • 野菜と果物
  • 1日3食の回数

食費を切り詰めるとき、真っ先に減るのがたんぱく質です。単価が高いからです。しかしここが減るとサルコペニアとフレイルが進み、転倒・骨折・入院につながります。入院1回の費用は、数か月分の食費を軽く超えます。

安く栄養を上げる具体策

  • 卵。最も安いたんぱく源のひとつ。1日1〜2個は問題ありません
  • 豆腐・納豆。1パック数十円でたんぱく質が入ります
  • 鯖缶・鮭缶。保存がきき、EPA・DHAとカルシウムがとれます
  • 冷凍野菜。廃棄が出ません。栄養価は生と大きく変わりません
  • 牛乳・ヨーグルト。たんぱく質とカルシウム
  • 旬のもの。安くて味がよく、栄養価も高い(秋の食材)

制度で下げる

費用そのものを下げる制度もあります。

使える制度を全部使ったうえで、食事の中身を落とさない。これが順番です。まず地域包括支援センターとケアマネジャーに相談してください。

1か月の合計で比べる

費用を比べるとき、1食あたりの単価だけを見ると判断を誤ります。1か月の合計で見てください。

自炊の場合、食材費のほかに、調味料、光熱費、そして買い物に行く費用がかかります。タクシー代、配達の手数料、移動にかかる時間。これらも実質的な費用です。単価だけを比べると、自炊が安く見えますが、合計では差が縮まります。

そして、捨てている分を数えてください。一人分や二人分を作ろうとすると、材料が余ります。使いきれずに捨てた野菜、傷ませた肉、食べきれなかった作り置き。この分は、払っているのに食べていない費用です。

配食の場合は、1食の単価に加えて、送料、入会金、休止時の扱いを確かめてください。週に何食から頼めるか、休んだ日の費用はどうなるか。ここで実際の月額が変わります。

比べるときは、同じ条件でそろえてください。1日3食、30日分。この基準で、自炊、配食、市販の惣菜、それぞれの月額を出してみると、思っていたのと違う結果になることがあります。

安く栄養を上げる食品

費用を抑えながら栄養を確保したいときに、頼りになる食品があります。値段の割に中身が濃いものを知っておいてください。

卵は、最も費用対効果の高い食品の一つです。1個あたりの費用が低く、良質なたんぱく質が確実に取れます。ゆでる、焼く、汁に落とす、といった簡単な調理で使えます。

豆腐、納豆、油揚げ。これらも安く、たんぱく質が取れ、やわらかく食べやすいという利点があります。そのまま食べられるため、調理の手間もかかりません。

缶詰も有効です。さば、いわし、さけの缶詰は、骨まで食べられ、たんぱく質とカルシウムが同時に取れます。保存がきくため、買い置きにも向きます。汁ごと使えば、栄養を無駄にしません。

牛乳と乳製品は、たんぱく質とカルシウムの両方が取れます。飲むだけでよいため、調理する力が落ちてきた方にも使えます。脱脂粉乳を料理に足すと、費用を抑えたまま中身を濃くできます。

削ってはいけないところ

食費を抑えるとき、削ってよいところと、削ってはいけないところがあります。ここを間違えると、医療費のほうが高くつきます。

削ってはいけないのは、たんぱく質です。肉、魚、卵、豆腐、乳製品。ここを減らすと、筋肉が落ち、動けなくなり、介護が必要な状態に近づきます。高齢の方の食費削減で、最も起きやすい失敗がこれです。

次に、食事の回数です。1食抜けば費用は減りますが、その分の栄養は取り戻せません。とくに朝食を抜く方が多いのですが、1日の合計が確実に減ります。

削ってよいのは、菓子、清涼飲料、外食の頻度、そして買いすぎて捨てている分です。捨てている分を減らすことは、栄養を落とさずに費用だけを下げる唯一の方法です。

そして、値段の安さだけで食品を選ぶと、炭水化物に偏ります。パン、麺、ごはんは安く、満腹になりますが、それだけでは筋肉が保てません。安いものを選ぶときも、たんぱく質が入っているかを見てください。

公的な支援を確かめる

食費に関わる公的な支援は、知られていないものが多くあります。使えるものを確かめてください。

市町村が行っている配食の事業があります。安否確認を兼ねた形で、費用の一部を市町村が負担します。対象の条件と金額は市町村ごとに違います。地域包括支援センターで確かめてください。

施設に入っている方、あるいは短期の入所を使っている方については、所得に応じて食費と居住費の負担が軽くなる仕組みがあります。申請しなければ適用されません。該当しそうなら、ケアマネジャーか市町村の窓口に相談してください。

生活が困窮している場合の相談窓口も、各市町村にあります。食料の支援を行っている団体につながる場合があります。ためらわずに相談してください。

そして、これらの情報は自分で探すと時間がかかります。ケアマネジャーか地域包括支援センターに、いまの状況を伝えて相談するのが最短です。使える制度があれば、そこから案内されます。

本人が費用を気にしすぎる場合

費用の問題は、金額そのものより、本人の気持ちの問題であることがあります。この点に触れておきます。

払える余裕があるのに、切り詰めてしまう方が多くいます。「もったいない」「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちからです。その結果、食べる量が減り、体を壊し、かえって家族に負担がかかることになります。

この場合、費用の説明をしても解決しません。「安心して使えるお金がある」と伝えるだけでは、行動は変わらないことが多いのです。長年の習慣と価値観に関わることだからです。

効くのは、家族が手続きを済ませてしまうことです。本人に選ばせるのではなく、家族が契約し、費用を負担する。そのうえで「もう払ってあるから食べて」と伝えるほうが、実際には受け入れられます。

そして、健康を守ることが結果として費用を抑えるという事実を、家族が理解しておいてください。入院や介護にかかる費用は、食費とは桁が違います。いま食事に使うことは、支出ではなく備えです。

見直す時期を決めておく

食費の使い方は、一度決めたら終わりではありません。状態が変わるたびに、組み直す必要があります。

年に1回、あるいは体調が大きく変わったときに見直してください。いま何にいくら使っているか、書き出してみるだけで気づくことがあります。使っていないサービスの費用が引き落とされ続けていることもあります。

見直すときは、食べている量と体重を一緒に見てください。費用を抑えられていても、体重が落ちているなら、その節約は失敗です。数字を並べて判断してください。

そして、配食や宅配の事業者は、途中で替えられます。合わないまま続ける必要はありません。より安い事業者、より合う事業者が地域に増えていることがあります。

家族が離れて暮らしている場合は、実際の支出を確かめる機会を作ってください。本人が切り詰めていることに、家族が気づいていないことがよくあります。帰省したときに冷蔵庫を見れば、実態が分かります。

費用と手間を合わせて考える

食費を考えるとき、金額だけを見て判断すると、多くの場合で誤ります。手間を金額に換算する視点が必要です。

自炊は、材料費だけを見れば最も安く見えます。しかし、献立を考え、買いに行き、調理し、片づけるまでの時間を数えると、話が変わります。この時間を、介護している家族が負担している場合、その家族が働けなくなる、休めなくなるという形で、別の損失が生まれています。

とくに、介護をしながら食事を作っている家族の場合、この負担が積み重なると続かなくなります。疲れきって共倒れになれば、かかる費用は食費とは比べものになりません。費用を抑えることが目的化していないかを、ときどき確かめてください。

一方で、すべてを外に頼むと費用は上がります。現実的なのは、負担の大きい部分だけを外に出すことです。1日3食のうち1食を配食にする、主菜だけを市販品にする、といった部分的な切り替えなら、費用の上がり方も抑えられます。

どこに費用をかけ、どこで手間を減らすか。この配分を、家族で一度話し合っておいてください。誰かが黙って負担を引き受けている状態は、長く続きません。

記録をつけると判断できる

食費の話は、感覚で語られがちです。実際の数字を持っていないと、適切な判断ができません。

1か月でよいので、食に関する支出を記録してみてください。食材費、外食、惣菜、配食、飲み物、菓子。項目ごとに分けて書き出します。レシートを袋にためて、月末に集計するだけでかまいません。

集計すると、思っていたところと違う場所に費用がかかっていることが分かります。飲み物や菓子の合計が、想像よりはるかに大きいという例がよくあります。ここを見直せば、栄養を落とさずに費用が下がります。

そして、捨てた食品も記録してください。1か月でどれだけ捨てているかが分かると、買い方を変える動機になります。捨てている分は、費用を払って栄養も得られていない、最も無駄な部分です。

この記録があれば、家族での話し合いも具体的になります。「もっと節約して」ではなく、「この項目をこう変える」という話ができます。そして、配食や宅配を検討するときに、比べる基準になります。

毎日のことだから、抱え込まない

配食のふれ愛 太子店では、管理栄養士が献立を組んだお弁当を、太子町を中心とした南河内エリアへ手渡しでお届けしています。週に何回か、1日1食だけ。そんな使い方で構いません。「作れない日をなくす」ための手段として、ご相談ください。

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関連用語

配食サービス

栄養に配慮した食事を自宅へ届けるサービス。安否確認を兼ねる場合があります。

たんぱく質

筋肉・臓器・免疫をつくる栄養素。高齢者は不足しやすくなります。

サルコペニア

加齢に伴う筋肉量と筋力の低下。転倒と要介護の危険を高めます。

フレイル

健康と要介護の中間にある虚弱な状態。食事と運動で戻せる段階です。

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