器と盛りつけ|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

食欲は目から入る

加齢で味覚・嗅覚が鈍くなると、視覚の役割が相対的に大きくなります。次の変化が食欲を落とします。

  • 全部を刻むと、何を食べているか分からない。茶色い塊になります
  • 1つの器に混ぜて盛る。味も見た目も混ざります
  • 色が単調。茶色と白だけ
  • 大皿に少量。寂しく見え、実際に食べる量も減ります
  • 大盛り。圧倒されて、最初から諦めます

盛りつけの工夫

  • 刻んでも、素材ごとに分けて盛る。これだけで印象がまったく変わります
  • 色を3色以上入れる。緑(青菜、ブロッコリー)、赤(トマト、にんじん)、黄(卵、かぼちゃ)
  • 器を小さくする。同じ量でも、小さい器に盛るとちょうどよく見え、完食感が得られます
  • 少なめに盛って、おかわりを勧める。「食べきれた」という達成感が次につながります
  • 汁物は別の器に。ご飯にかけると、見た目も食感も単調になります
  • 季節を入れる。旬のもの、彩り。会話のきっかけにもなります

ムース食でも、型で成型して元の料理の形に近づける工夫があります。「何を食べているか分かる」ことが、食べる意欲を支えます。

見やすくする

加齢で視力が落ち、コントラストの識別が弱くなります。

  • 白いご飯を白い器に盛らない。境目が見えません。色のついた器に
  • テーブルクロスと器の色を変える。白いテーブルに白い器は見えにくい
  • 柄物の器を避ける。料理と柄が混ざって分かりにくくなります
  • 手元を明るくする。加齢で必要な照度は若い頃の2〜3倍
  • 認知症の方には、器の数を減らす(一度に多くの情報を処理しづらいため)

自分で食べられる器

器の形は「自分で食べられるかどうか」を左右します。

困りごと器の工夫
すくえない、こぼす縁が内側に返った皿。スプーンで押し当てるとすくえます
器が動く裏に滑り止めの付いた食器、滑り止めマット
持ち上げられない軽い器。持ち手つきのカップ
片手しか使えない片手用の食器(片手で食べる)
手が震えるやや重い器のほうが安定することもあります
握力が弱い柄の太いスプーン、軽い箸

詳しくは食べやすい食器と自助具をご覧ください。

介護用に見えないものを選ぶ

自助具は機能が優先されますが、「介護用品を使わされている」と感じさせるものは、拒否されることがあります。

  • 陶器の食器で、内側に返しのあるものを選ぶ
  • 普通の食器に見える滑り止め付きのもの
  • 本人が昔から使っている器を、可能な範囲で使い続ける
  • プラスチックの一体型トレーは、施設を連想させることがあります

食事は毎日3回、生活の中心にある行為です。効率だけで決めないほうが、結果として食べる量は保たれます。

配食のふれ愛 太子店のお弁当も、素材ごとに分けて盛りつけています。器に移していただくと、さらに食べやすくなります。

器の大きさで食べる量が変わる

同じ量でも、器の大きさによって多く見えたり少なく見えたりします。この見え方が、実際に食べる量を左右します。

食べる量が落ちている方には、小さめの器を使ってください。大きな器に少量を盛ると、いかにも少なく見えます。逆に、小さな器に同じ量を盛れば、しっかりした量に見えます。食べきったという満足も得られます。

そして、山盛りの皿を出さないでください。量が多いと見えた時点で、食べる前に気持ちが引いてしまいます。少なめに盛って、足りなければおかわりを出す。この順番のほうが、結果として多く食べられます。

逆に、食べすぎてしまう方には、大きめの器を使う方法があります。同じ量でも少なく見えるため、満足感が得にくくなります。ただし、この使い方は、必要な量が確保できている方に限られます。

器の深さも関係します。深い器は、底のものが見えず、残っているのに気づかれないことがあります。浅めで、中身が見える器のほうが、最後まで食べられます。

色のはたらき

色は、食欲に直接影響します。とくに、視力が落ちてきた方では、色の違いが見えるかどうかが決定的になります。

白い器に白い食べものを盛ると、境目が見えません。ごはん、豆腐、うどん、白身魚。これらを白い器に盛ると、どこに何があるか分からなくなります。色の濃い器に替えるだけで、見えるようになります。

そして、料理の色を残してください。すべてをミキサーにかけて同じ色にしてしまうと、何を食べているのか分かりません。素材ごとに分けて調理し、にんじんの赤、ほうれん草の緑、卵の黄色を残す。それだけで食欲が変わります。

テーブルクロスやランチョンマットの色も見てください。器と同系色だと、器の縁が見えず、手が届きません。器と対比する色を敷くと、器の位置がはっきりします。

柄の多い器は、避けたほうがよい場合があります。認知の機能に変化がある方では、柄を食べもののように認識して手を伸ばすことがあります。無地で、内側が一色の器のほうが混乱が少なくなります。

並べ方で食べやすさが変わる

器を選んだら、次は並べ方です。届く範囲に、必要なものが置かれているかを確かめてください。

まず、手が届く範囲に置いてください。体をひねらないと取れない位置にあると、姿勢が崩れます。姿勢が崩れれば、飲み込みが不安定になります。よく食べるものを、使える手の前に置いてください。

器の数も見直してください。小鉢がいくつも並ぶと、扱いきれません。手が不自由な方、認知の機能に変化がある方では、選択肢が多いこと自体が負担になります。仕切りのある器にまとめる方法があります。

ただし、すべてを混ぜないでください。味が混ざると、食欲が落ちます。仕切りで分ける、器は減らしても中身は分けておく。この配慮が要ります。

そして、毎回同じ位置に置いてください。いつも同じ場所にあると、探さずに済みます。視力が落ちている方、認知の機能に変化がある方では、この一貫性が大きく効きます。

介護用に見えないものを選ぶ

使いやすい器をそろえても、本人が使いたがらなければ意味がありません。この点でつまずく家庭が多くあります。

いかにも介護用という見た目のものは、拒まれやすいものです。自分が弱ったことを、食卓のたびに突きつけられるように感じられます。これは、わがままではなく自然な感情です。

最近は、見た目が普通の食器と変わらないものが増えています。木目調、陶器風、落ち着いた色や柄のもの。機能は同じでも、見た目が違えば受け入れられ方が変わります。

そして、本人に選ばせてください。いくつか候補を用意して、どれがよいかを聞く。押しつけられたものより、自分で選んだもののほうが使われます。

家族と違う器を一人だけ使うことへの抵抗もあります。家族も同じ形の器に替えるという方法があります。全員が同じなら、特別扱いされている感覚が生まれません。

見えにくさへの配慮

食べる量が減っている原因が、実は見えていないことにある場合があります。この可能性を確かめてください。

まず、明るさです。年齢とともに、同じ明るさでも見えにくくなります。食卓の上に手元を照らす明かりを足すだけで、食べる量が変わることがあります。天井の明かりだけでは、手元が影になります。

次に、眼鏡です。合わない眼鏡をかけたまま、あるいは外したまま食べていることがあります。手元が見える度数になっているかを確かめてください。

視野が欠けている方の場合、片側の食べものに気づかないことがあります。脳の病気のあとで、この状態になることがあります。器を見える側に寄せる、途中で器の位置を回す、といった対応が取られます。

そして、白内障などで色の見え方が変わっている場合があります。全体が黄色みがかって見え、料理がおいしそうに見えなくなります。器の色を工夫することで、いくらか改善します。眼科で相談する価値もあります。

盛り付けが食欲を作る

器と並べ方が整ったら、盛り付けそのものを見直してください。手間をかけずにできる工夫があります。

まず、高さを出してください。平らに広げるより、中心を少し高く盛るほうが、料理として見えます。同じ量でも、印象がまったく違います。

次に、余白を残してください。器いっぱいに盛ると、雑然として見えます。縁に少し余白があるほうが、丁寧に用意されたように見えます。

色を1つ足すという工夫もあります。青菜、にんじん、卵、のり、ごま。茶色ばかりの食卓に一色加えるだけで、印象が変わります。

そして、温かいものは温かく出してください。器を温めておく、直前に仕上げる。冷めた料理は、どれだけ盛り付けを工夫しても食欲を呼びません。とくにやわらかい食事は冷めやすいため、この配慮が効きます。

自分で食べられる器を選ぶ

見た目の工夫と同時に、自分で食べられるかどうかという機能面も見てください。両立できます。

縁が内側に立ち上がった器を選んでください。平らな皿では、すくうときに食べものが外へ逃げます。縁に押し当ててすくえる形なら、片手でも最後まで食べられます。

底が広く、重さのある器を選んでください。軽い器は、すくうたびに動きます。滑り止めのマットを敷けば、さらに安定します。濡らしたふきんでも代用できます。

持ち上げて使う器なら、軽さと持ちやすさを見てください。汁椀を持ち上げられなくなっている方がいます。持ち手の付いた器、両手で支えられる形のものがあります。

そして、割れない素材も選択肢です。落としても割れない器なら、こぼすことを恐れずに食べられます。ただし、あまりに軽いものは安定しません。重さと安全さのつり合いを見て選んでください。道具の選び方は食事の自助具にまとめています。

施設や配食で出てくる器

家庭以外の場所で食べる機会が増えると、器を選べなくなります。それでも、伝えられることがあります。

施設では、多くの場合、共通の食器が使われています。その方に合わない器が使われていれば、食べる量が落ちます。持ち込みができるかを確かめてください。使い慣れた器を持ち込むことで、食べる量が戻ることがあります。

配食の場合、容器は事業者が決めたものです。ただし、届いたものを家の器に移し替えることはできます。容器のまま食べると味気ないと感じる方には、この一手間が効きます。

移し替えるときは、区分を保ってください。すべてを一つの皿に出すと、味が混ざり、見た目も悪くなります。おかずごとに分けて盛ると、家で作ったものに近い印象になります。

そして、汁ものと主食は温め直してください。容器のまま出すより、器に移して温めたほうが、はるかにおいしく感じられます。手間をかける価値のある部分です。

毎日のことだから、抱え込まない

配食のふれ愛 太子店では、管理栄養士が献立を組んだお弁当を、太子町を中心とした南河内エリアへ手渡しでお届けしています。週に何回か、1日1食だけ。そんな使い方で構いません。「作れない日をなくす」ための手段として、ご相談ください。

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関連用語

ムース食

食材をなめらかなムース状に加工した食事。見た目を保ちながら飲み込みやすくします。

きざみ食

食材を細かく刻んだ食事形態。かむ力が弱った方に使われます。

介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて形や硬さを調整した食事の総称です。

認知症

記憶や判断の力が低下し生活に支障が出る状態。食事の場面にも影響が出ます。

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