高齢夫婦二人の食事|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

二人世帯特有の問題

高齢者の二人暮らしは、一人暮らしとは違う問題を抱えます。

  • 片方に食事制限がある。作るのは一種類なので、もう一方も同じものを食べます
  • 片方が介護する側になる。作る側の食事が後回しになります
  • 調理を担ってきた方が倒れると、一気に破綻する
  • 二人とも高齢で、量が減っている。作りがいがなく、簡単なもので済ませる
  • 外から見えにくい。「二人いるから大丈夫」と思われがちです

制限を共有してはいけない

たとえば夫が腎臓病でたんぱく質制限をしている場合。同じ食事を妻も食べていると、妻のほうが低栄養になります。

制限健康な配偶者への影響
たんぱく質制限筋肉が落ちる。サルコペニアへ
塩分制限(極端な場合)味気なさから食欲が落ちる。食べる量が減る
エネルギー制限やせすぎる。高齢者は少しふくよかなほうが予後がよい
やわらかい食事形態噛む力が使われず、口の機能が落ちる

とくに最後は見落とされます。片方が刻み食になると、もう一方も同じものを食べ、噛む力が衰えていきます。

分ける工夫

  • 味付けは薄めに作り、食卓で足す。制限のない側だけ、しょうゆやポン酢を少しかける
  • 主菜だけ分ける。副菜と汁物は共通、肉・魚の量と味付けだけ変える
  • 制限のない側に一品足す。卵、納豆、ヨーグルトを追加するだけで違います
  • 形態は別にする。刻む必要があるのは片方だけ。全部を刻まない
  • 片方だけ配食を使う。これがいちばん確実です

「二人分の別々の食事を毎日作る」のは無理です。作る側が倒れます。外部の手を入れてください。

介護する側の食事

老老介護では、介護する側の食事が最初に犠牲になります。

  • 相手の介助が終わってから食べるので、冷めている、時間がない
  • 立ったまま、残り物で済ませる
  • 疲れて作る気力がない
  • 自分の受診を後回しにする

介護する側が倒れたら、二人とも生活できなくなります。これは精神論ではなく、体制の問題です。詳しくは介護する人の食事をご覧ください。

片方が入院したとき

これが二人世帯で最も危険な場面です。

調理していた方が入院した場合:残された方は、突然、食事を確保できなくなります。数日でパンと菓子だけになることがあります。入院が決まった時点で、配食や訪問介護を手配してください。

介護されていた方が入院した場合:介護する側は、急に時間ができる一方で、病院通いで食事が乱れます。また、退院してきたときに形態が変わっていることがあります(退院時に食事形態を引き継ぐ)。

どちらの場合も、退院後にそのまま元の体制に戻せるとは限りません。入院中にケアマネジャーと体制を組み直してください(退院調整)。

一人分でも、二人分でも

配食のふれ愛 太子店は、お一人分だけのご注文も、お二人分のご注文も承ります。お一人は普通食、もうお一人はカロリー調整食、といった組み合わせも可能です。形態を別々にすることもできます。

「二人いるから頼むほどではない」と考える必要はありません。むしろ、二人分を毎日作り分けるほうが大変です。

同じ献立から2つの形を作る

二人の必要が違うとき、別々に作るのは負担が大きすぎます。同じ献立から2つの形を作るという考え方に切り替えてください。

基本は、途中まで一緒に作り、そこから分けることです。煮物を作るなら、途中で一方の分を取り分けて、さらに煮てやわらかくする。味つけの前に取り分ければ、塩分の調整もできます。手間は倍にならず、1.2倍程度で済みます。

味の濃さを変える場合は、薄いほうに合わせて作り、あとから足すのが原則です。濃く作ったものを薄くすることはできませんが、薄いものに足すことはできます。食卓で各自が調整できるよう、調味料を置いておけば済みます。

やわらかさを変える場合も同じです。普通の形で作り、一方の分だけを刻む、つぶす、とろみをつける。最初から全部をやわらかくすると、必要のない側の噛む力まで落ちていきます。

そして、主食は分けやすい部分です。同じ鍋のごはんから、一方はそのまま、一方はおかゆにする。電子レンジで水を足して温めるだけで、やわらかいごはんになります。

介護する側の栄養が最初に崩れる

二人暮らしで一方が介護している場合、崩れるのは介護している側の食事です。ここに注意を向けてください。

介護する側は、相手の食事を優先し、自分は残り物や簡単なもので済ませます。立ったまま、短時間で、味も見ずに食べる。これが毎日続きます。本人は「食べている」と思っていますが、中身は明らかに不足しています。

そして、介護する側も高齢であることが多いのです。70代、80代の方が、同じ年代の相手を介護している。この場合、介護する側の体力が落ちれば、二人とも生活が成り立たなくなります。

対策として最も確実なのは、二人分を頼むことです。配食を一方だけに頼む家庭が多いのですが、二人分を頼めば、介護する側も座って食べられます。費用は上がりますが、体調を崩して入院することを考えれば、はるかに安いものです。

そして、座って食べる習慣を守ってください。立ったまま食べると、量も少なくなり、消化にも良くありません。同じ食卓で、向かい合って食べる。この時間を確保することが、二人の生活を支えます。

一方が入院・入所したとき

二人暮らしで一方がいなくなると、残された側の食事が一気に崩れます。この場面は繰り返し起こります。

調理していた側が入院すると、残された側は作れません。これまで作ってもらっていた方が、急に自分で用意することになります。結果として、パンや菓子で済ませる、食べない、という状態になります。

逆に、介護していた側が残された場合も問題が起きます。相手のために作っていた張り合いが消え、自分ひとりのために作る気力が出ません。一人分を作る難しさも加わり、食事が細ります。

だからこそ、この場面を想定して準備しておいてください。配食の事業者を先に決めておく、冷凍の食事を備えておく、家族が駆けつける手はずを決めておく。起きてから探すと、その間の数日が空白になります。

そして、短期間だけ配食を使うことができます。多くの事業者が、1週間単位、数日単位で頼めます。入院のあいだだけ、退院直後だけ、という使い方も可能です。ケアマネジャーに相談すれば、急ぎでも手配できることがあります。

二人だからこそできること

二人暮らしには難しさがありますが、一人暮らしにはない強みもあります。この点を生かしてください。

まず、食べる姿を毎日見ていることです。残す量が増えた、むせるようになった、時間がかかるようになった。離れて暮らす家族には見えない変化に、毎日気づける立場にあります。この変化を記録して、受診のときに伝えてください。

次に、一緒に食べられることです。一人で食べる食事は量が減ることが知られています。二人で食卓を囲めるというだけで、食べる量が保たれやすくなります。テレビを消して、向かい合って食べる時間を作ってください。

そして、役割を分けられることです。一方が調理し、一方が片づける。一方が買い物に行き、一方が届いたものを整理する。できることを分担すれば、二人とも役割を持てます。全部を一方が背負う形にしないでください。

ただし、無理をして分担を続けないでください。できなくなってきたことを、意地で続けると事故につながります。台所での事故、転倒、火の不始末。役割を手放す判断も、支え合いのうちです。

外の手を早めに入れる

二人で何とかなっているうちは、外の支援を頼まない家庭が多くあります。しかし、早めに入れておくほうが確実です。

二人暮らしは、一方が倒れると一気に成り立たなくなります。ぎりぎりで回っている状態は、余裕がないということです。何かあったときに、すぐ頼れる相手がいるかどうかで、その後が大きく変わります。

介護保険の申請は、必要になる前にしておいてもかまいません。認定を受けておけば、必要になったときにすぐ使えます。申請から認定までには時間がかかるため、急なときに間に合わないことがあります。

そして、ケアマネジャーとの関係を作っておいてください。普段から状況を知ってもらっていれば、何かあったときの対応が早くなります。相談だけなら、地域包括支援センターで無料で受けられます。

配食も、早めに試しておく価値があります。元気なうちに味と量を確かめておけば、必要になったときに迷わず頼めます。週に1食からでも始められる事業者があります。

離れて暮らす家族ができること

二人暮らしの親を、離れた家族がどう支えるか。距離があっても、できることは多くあります。

まず、両方の状態を見てください。介護されている側だけを心配し、介護している側を見落とす家族が多くいます。実際には、介護している側のほうが先に倒れることがあります。体重、顔色、疲れ方を確かめてください。

次に、手続きを代わりに進めてください。介護保険の申請、配食の契約、宅配の手配。調べて、連絡して、書類を出す。この作業は、離れていてもできます。二人にとっては大きな負担です。

そして、費用を負担するという支え方があります。親が費用を気にして支援を断るとき、家族が先に払ってしまえば話が進みます。「もう払ってあるから使って」という形にすると、受け入れられやすくなります。

帰省したときは、冷蔵庫と台所を見てください。言葉での報告より、実物のほうが正確です。期限切れの食品、焦げた鍋、減っていない食材。ここに、二人の暮らしの実態が表れています。

同じ食卓を続けるために

形が違っても、同じ食卓を囲むことには意味があります。分けることが、切り離すことにならないよう工夫してください。

盛り付けを工夫すると、違いが目立ちません。同じ器を使い、同じ献立の名前で呼び、色をそろえる。形が違っても、同じものを食べているという感覚が保たれます。

一方だけが違うものを食べていると、疎外感が生まれます。「自分だけ違うものを食べさせられている」という感覚は、食欲を落とします。とくに、やわらかい食事に切り替えた直後は、この気持ちが強く出ます。

そして、時間をそろえてください。別々の時間に食べると、二人で食べる利点が失われます。準備の手間で時間がずれるなら、先に作り置きしておくなどの工夫が要ります。

会話も食事の一部です。ただし、話しながら食べるとむせやすい方もいます。飲み込んでから話す、食べる合間に話す、という間の取り方を意識してください。安全と楽しさは両立できます。

毎日のことだから、抱え込まない

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関連用語

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

たんぱく質調整食

たんぱく質量を調整した食事。腎臓病の食事療法に使われます。

サルコペニア

加齢に伴う筋肉量と筋力の低下。転倒と要介護の危険を高めます。

ケアマネジャー

介護保険のケアプランを作り、サービス事業者との調整を担う専門職です。

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