退院日が決まってから動くと、間に合わない
退院支援は、入院してすぐ始めるものです。「治ってから考える」では遅く、退院日が決まってから慌てて動くと、サービスの手配が間に合いません。
入院時に病院から「退院支援スクリーニング」が行われ、支援が必要と判断されると、地域連携室(医療相談室、退院支援部門)の看護師や医療ソーシャルワーカー(MSW)が関わります。
声がかからない場合は、こちらから地域連携室に相談を申し込んでください。「退院後の生活が不安です」の一言で構いません。
退院が近づくと、退院前カンファレンス(退院時共同指導)が開かれることがあります。病院の医師・看護師・リハビリ職・管理栄養士・MSWと、在宅側のケアマネジャー・訪問看護・かかりつけ医が集まる場です。
家族は必ず参加してください。ここで確認すべきことは次のとおりです。
その場でメモを取り、あとで家族全員が読める形にしてください。口頭で聞いただけの情報は、数日で失われます。
退院してからの2週間は、次の理由で最も不安定な時期です。
この時期に栄養が落ちると、再入院につながります。「退院後2週間だけ」といった短期の使い方でも、配食は有効です。
自宅に戻ることが難しい場合、次の選択肢があります。地域連携室が相談に乗ってくれます。
「一度施設に入ったら帰れない」わけではありません。体制が整うまでの中継ぎとして使う考え方があります。施設と在宅の比較は施設と在宅の食事もご覧ください。
退院が決まってから動き始めるのでは、間に合いません。
入院したその日から、退院後の生活を考え始めてください。入院前と同じ暮らしに戻れるとは限りません。数週間の入院で、体力は大きく落ちます。
病院には、相談を担当する職員がいます。医療ソーシャルワーカー、あるいは退院支援の看護師と呼ばれる人たちです。入院して早い段階で、一度話しておいてください。
そして、ケアマネジャーがついている場合は、入院したことを必ず伝えてください。病院と連携して、退院後の計画を立ててもらえます。連絡が遅れると、準備が間に合いません。
介護保険の認定を受けていない場合、この機会に申請を検討してください。結果が出るまでに時間がかかるため、入院中に申請しておくと、退院時に間に合います。病院の相談員が手続きを手伝ってくれます。
退院してから慌てないために、聞いておくべきことがあります。
食事の形です。病院で何を食べていたか。刻んであったか、とろみがついていたか、量はどれくらいか。家に帰ってから同じ形を用意できるかを、確かめる必要があります。
そして、飲み込みの状態です。むせていなかったか、時間がかかっていなかったか。病院では専門職が見ていますが、家では家族が見ることになります。何に注意すべきかを聞いておいてください。
薬も確かめてください。入院前と変わっていることが多くあります。いつ、何を、どう飲むか。飲みにくい形なら、その旨を伝えれば変えてもらえることがあります。
動ける範囲も重要です。トイレまで一人で行けるか、立ち上がれるか、階段を上れるか。これによって、家の準備が変わります。
退院の前に、関係者が集まって話す機会が設けられることがあります。
病院の医師や看護師、栄養士、リハビリの職員、ケアマネジャー、家族。それぞれが把握している情報を共有し、退院後の計画を立てる場です。家族は必ず参加してください。
ここで、食事のことを必ず話題にしてください。どんな形のものを、どれくらい食べていたか。家でどう用意するか。この確認がないまま帰宅して、量が落ちる例が多くあります。
そして、家の状況を伝えてください。誰が作るのか、日中は誰もいないのか、調理の設備はどうか。病院の職員は、家の様子を知りません。
不安なことは、この場で全部聞いてください。「こういうときはどうすればよいか」を、具体的に確かめてください。帰ってから聞ける相手は、限られます。
家に帰ってからの数週間が、最も注意が必要な時期です。
体力が落ちているうえに、環境が変わります。病院では用意されていた食事を、自分で用意しなければなりません。これだけで、食べる量が落ちます。
そして、転倒の危険が高まります。入院前と同じつもりで動いて、転ぶ方がいます。家の中の段差、滑るマット、暗い廊下。事前に片づけておいてください。
薬の飲み忘れも起こります。入院前と処方が変わっていると、混乱します。一包化してもらう、カレンダー式の入れ物を使うといった方法があります。
この時期は、支援を厚めにしておくのが安全です。あとから減らすことはできます。足りない状態から始めて、問題が起きるほうが困ります。
退院直後は、作ることが最も難しい時期です。手段を用意しておいてください。
配食は、この時期に有効です。調理も買い物も不要で、決まった時間に届きます。体力が戻るまでの一時的な利用でも構いません。
飲み込みに配慮が必要なら、対応できる事業者を選ぶ必要があります。刻んだ形、とろみをつけた形に対応しているかを、事前に確かめてください。すべての事業者が対応しているわけではありません。
冷凍の宅配や、市販のやわらかい食品も選択肢です。まとめて用意しておけば、家族が来られない日も食べられます。栄養補助食品を併用する方法もあります。
そして、退院前に手配を始めてください。帰ってから探し始めると、間に合いません。ケアマネジャーに相談すれば、地域の事業者を紹介してもらえます。
誰が何をするかを決めていないと、特定の人に負担が集中します。
退院前に、家族で話し合ってください。誰が、いつ、何をするか。買い物、調理、通院の付き添い、薬の管理。曖昧にしたまま始めると、必ず偏ります。
遠方に住む家族も、できることがあります。電話での確認、宅配の手配、書類の手続き、費用の分担。直接介護できなくても、役割はあります。
そして、無理な計画は立てないでください。「毎日通う」と決めても、続きません。続けられる範囲で決め、足りない分は外部の支援で埋めてください。
介護する人が働いている場合、制度が使えることがあります。介護休業、介護休暇、時間短縮の勤務。勤務先に確かめてください。
退院後の対応が悪いと、短期間で再び入院することになります。
高齢の方の再入院には、いくつかの型があります。誤嚥による肺炎、脱水、転倒による骨折、薬の飲み間違い。いずれも、日常の注意で減らせる部分があります。
食べる量と水分の量を、しばらくは見ておいてください。食べていない、飲んでいない状態が続くと、あっという間に弱ります。高齢の方は、脱水に気づきにくいものです。
そして、体調の変化に早く気づいてください。熱、食欲の低下、元気のなさ、いつもと違う様子。迷ったら、早めに医療機関に相談してください。
相談先を決めておくことも重要です。かかりつけ医、訪問看護、夜間の連絡先。退院前に確かめ、紙に書いて貼っておいてください。
家に帰ることが最善とは限りません。他の道も知っておいてください。
回復のための入院を続ける選択肢があります。リハビリを目的とした病棟や施設で、体力を戻してから帰る形です。いきなり家に帰るより、安全な場合があります。
介護保険の施設に入るという道もあります。種類によって、目的も費用も違います。病院の相談員やケアマネジャーに、選択肢を整理してもらってください。
そして、いったん施設に入っても、状態が良くなれば家に帰れます。一度入ったら戻れない、というものではありません。この点を誤解している方が多くいます。
本人の希望を確かめることが、まず前提です。そのうえで、家族が続けられるかどうかを現実的に判断してください。無理をして共倒れになるのが、最も避けるべき結末です。
退院のときに受け取るものを、確かめて持ち帰ってください。
診療情報を伝える書類が出されることがあります。かかりつけ医に渡すためのものです。入院中に何があったか、いまどんな状態かが書かれています。次の受診のときに持っていってください。
薬の説明書と、退院時に渡される薬も確かめてください。何日分あるか、次の受診はいつか。切れる前に受診できるよう、日程を確かめておいてください。
食事に関わる指示があれば、書面でもらえるか聞いてください。口頭だけでは、家に帰るころには曖昧になります。形、量、避けるべきもの。紙にあれば、家族や事業者にも伝えられます。
そして、受け取った書類は一か所にまとめてください。ケアマネジャーや訪問の職員に見せる機会があります。探し回らずに済むようにしておくと、あとが楽になります。
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