詰まらせたときの対応|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

この記事の位置づけ

ここでは消防庁が公開している応急手当の考え方を整理しています。実際の手技は、地域の消防署が行う救命講習で必ず実地に学んでください。文章だけで身につくものではありません。

そして最初に書いておきます。詰まらせたと判断したら、まず119番です。手当をしながら誰かに呼んでもらいます。一人のときは、スピーカーにして通報しながら手当をします。

まず見分ける

状態見た目やること
部分的に詰まっている咳ができる。声が出る。ゼーゼー言う咳を続けさせる。背中を叩かず、見守る
完全に詰まっている声が出ない。咳もできない。顔が赤紫になる。喉を掴む(チョークサイン)すぐに応急手当。119番
意識がないぐったりして反応がない119番。心肺蘇生を始める

咳ができているうちは、本人の咳がいちばん強い力です。慌てて背中を叩くと、かえって奥へ入ることがあります。声が出るか、咳ができるかを最初に確かめてください。

声が出ないときの手当

2つの方法があり、どちらから始めても構いません。効果がなければもう一方に切り替え、交互に続けます。

背部叩打法

  1. 立っている・座っているなら、少し前かがみにさせる
  2. 手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の間を強く、速く叩く
  3. 5回を目安に。異物が出るか、反応がなくなるまで繰り返す

腹部突き上げ法(ハイムリック法)

  1. 後ろから抱えるように腕を回す
  2. 片手で握りこぶしを作り、親指側をへそのやや上(みぞおちより下)に当てる
  3. もう一方の手で握り、手前上方に向かって素早く突き上げる

妊婦・乳児・明らかに腹部に問題がある方には腹部突き上げ法を行いません。背部叩打法を使います。また、腹部突き上げ法を行った場合は、異物が取れても必ず受診してください。内臓を傷つけている可能性があります。

やってはいけないこと

  • 指を口に入れて掻き出す。見えていないものを探ると、奥へ押し込みます。目で見えていて、つまみ出せるものだけ取り除きます
  • 掃除機で吸う。吸引の力で粘膜を傷つけ、時間も失います。専用の吸引器がある場合を除き、行いません
  • 水を飲ませる。気道がふさがっているところに液体を足すことになります
  • 様子を見る。完全閉塞では数分で意識を失います

起きる前に減らす

厚生労働省の統計では、窒息による死亡は高齢者に集中し、1月に多くなります。餅がよく知られていますが、実際にはご飯・パン・肉・団子など日常の食品でも起きます。

危ない食品減らし方
餅小さく切る。おかゆに入れる。よく噛む。一人で食べない
パン(特に食パン)水分と一緒に。ちぎって食べる
肉のかたまり一口大に切る。やわらかく煮る
こんにゃく、いか、たこ細かく切る、または避ける
のり、わかめ口の中や喉に貼り付く。細かくする
ナッツ、豆丸ごと出さない

加えて、食事の姿勢を整え、一人で食べる場面を減らすことが効きます。詰まったときに誰かがいるかどうかで結果が変わります。

起きる前に決めておくこと

詰まらせたときの対応は、その場で調べる余裕がありません。数分で結果が決まるため、事前に決めておくかどうかがすべてです。家庭でも施設でも、次の4つを先に決めておいてください。

1つめは、誰が119番に電話するかです。その場に複数の人がいると、譲り合って誰も電話しないということが実際に起こります。「あなたが電話してください」と名指しで頼むのが確実です。一人しかいない場合は、スピーカーにして通話しながら手当てを続けます。

2つめは、手当てをする人が誰かです。方法を知っている人が対応します。知らない人が見よう見まねで行うと、かえって危険なことがあります。だからこそ、家族と職員の複数人が方法を知っていることに意味があります。

3つめは、住所をすぐ言えるようにしておくことです。慌てると、自分の住所が出てこないことがあります。電話機のそばに住所を書いて貼っておいてください。施設なら、部屋番号と建物の入口まで書いておきます。

4つめは、起きたあとの見直しです。何を、どんな形で、どんな姿勢で食べていたときに起きたか。記録して、次の食事の形に反映させてください。原因を確かめずに同じ食事を続けると、繰り返します。

詰まりやすい食品と、その扱い

窒息事故は、特定の食品に集中しています。何が危険かを知っておくだけで、防げる事故があります。

最も多いのが、餅です。加熱するとやわらかくなりますが、口の中で冷めると硬く粘りが出て、のどに張りつきます。小さく切る、汁に入れて食べる、量を減らす、そして一人では食べない。正月の事故は毎年繰り返されています。飲み込みに不安がある方には、餅そのものを出さない判断も必要です。

次に、パン、ごはん、団子、こんにゃく、いも類。水分が少なく、口の中でまとまりにくいものが危険です。パサついたパンは、汁ものと一緒に食べる、あるいは牛乳やスープに浸すことで、格段に安全になります。

そして、意外に多いのが肉の塊と、飴、こんにゃくゼリー、ぶどう、ミニトマトのような丸い食品です。丸くてつるりとしたものは、噛まずに飲み込んでしまうと、そのまま気道をふさぎます。半分に切るだけで危険が下がります。

逆に、細かく刻めば安全というのは誤りです。刻んだだけの食事は、口の中でばらけて、かえってのどに落ちやすくなります。まとまりをつけることのほうが大事です。とろみのつけ方はとろみ食の付け方にまとめています。

食べ方と環境で危険を減らす

手当ての方法を知っておくことは大事ですが、そもそも起こさないことのほうがはるかに重要です。日常でできることを挙げます。

まず、姿勢です。あごが上がった状態、体が傾いた状態、寝たまま食べる状態は、いずれも危険です。足の裏を床につけ、背もたれで支え、あごを軽く引いた姿勢が基本です。詳しくは食事の姿勢にまとめています。

次に、一口の量と速さです。詰まらせる方の多くは、大きな一口を、噛まずに飲み込んでいます。小さく切って出す、一口ごとに箸を置く、汁ものを挟む。急がせないことが最も効きます。

そして、飲みながら食べることです。口の中が乾いていると、食べものがまとまらず、張りつきます。食事のあいだに水分を挟むだけで、危険が下がります。水分でむせる方は、とろみをつけたものやゼリーを使ってください。

環境も見直してください。テレビを消す、話しかけるのを控える、明るくする、落ち着いて座れる場所にする。気が散っているときほど、噛まずに飲み込みます。とくに、認知の機能が落ちている方では影響が大きく出ます。

そして、一人で食べさせないことです。詰まったときに、誰もいなければ手当てができません。危険が高い方の食事のときは、必ず誰かがそばにいてください。

起きたあとに必ずやること

詰まったものが取れて、呼吸が戻ったとしても、そこで終わりにしないでください。やるべきことが残っています。

まず、受診です。取れたように見えても、気道や食道に残っていることがあります。また、手当てのときに肋骨や内臓を傷めていることがあります。とくに腹部を突き上げる方法を行った場合は、外から見えない傷ができている可能性があるため、必ず医療機関で診てもらってください。

次に、誤嚥性肺炎への注意です。詰まりのときに、細かいものや唾液が肺に入っていることがあります。数日以内に熱が出る、痰が増える、息が苦しくなる、元気がなくなる。こうした変化があれば、すぐ受診してください。高齢の方では、はっきりした症状が出ないまま肺炎になることがあります。

そして、食事の見直しです。1回起きたということは、次も起きる可能性が高いということです。何を、どんな形で、どんな姿勢で食べていたか。記録して、専門職に相談してください。飲み込みの評価を受けることで、その方に合った形が分かります。

最後に、周囲への共有です。家族、施設の職員、デイサービス、配食。詰まらせたことがあるという事実は、関わる全員が知っておくべき情報です。知っていれば、出す形と見守りの厚さが変わります。

手当ての方法を身につけておく

方法を文章で読んだだけでは、いざというときに手が動きません。実際に体を使って練習しておくことを勧めます。

消防署では、救命講習を無料または低額で行っています。詰まらせたときの手当て、心肺蘇生、AEDの使い方を、人形を使って練習できます。数時間の講習で、手順が体に入ります。家族の誰か一人でも受けておくと、大きく違います。

施設で介護に関わっている方であれば、定期的に訓練を行うことが勧められます。知識として知っていることと、実際に手が動くことのあいだには大きな差があります。年に1回でも、手順を声に出して確かめる機会を作ってください。

そして、手当ての手順を紙にして貼っておいてください。台所、食堂、本人の部屋。目につくところに1枚あるだけで、その場で確かめられます。2枚以上になると読まれないので、A4で1枚にまとめます。

そのうえで、迷ったら119番です。電話をつなげば、指令員が手順を口頭で教えてくれます。自分だけで判断しようとせず、電話をつないだまま手当てを続けてください。呼ぶかどうか迷った時点で、呼んでよい状況です。

施設と在宅で備えの形が違う

詰まらせたときの備えは、置かれている状況によって形が変わります。自分の状況に合わせて整えてください。

在宅の場合、まず問題になるのは人手です。一人で介護している場合、電話と手当てを同時に行うことになります。携帯電話をスピーカーにできる状態にしておく、電話機のそばに住所を貼っておく。これだけで、いざというときの動きが変わります。

そして、救急車が着くまでの時間を知っておいてください。地域によって、5分の場所も15分の場所もあります。時間がかかる地域なら、家族が手当てを行える必要性がそれだけ高くなります。

施設の場合は、手順が決まっているはずです。誰が手当てをし、誰が電話し、誰が他の利用者を見るか。役割が決まっていないと、全員が同じ場所に集まって動けなくなります。年に1回は、実際に動いて確かめてください。

そして、どちらの場合も、詰まらせる危険が高い方が誰かを把握しておいてください。過去に詰まらせたことがある、むせが多い、飲み込みの評価で指摘されている。この情報を、関わる全員が共有しておくことが最大の備えです。

食事形態を、その日の状態に合わせて選べます

配食のふれ愛 太子店では、普通食のほかに、やわらかく仕上げた小町食・きざみ・一口大・ムース食をご用意しています。同じ献立を形だけ変えてお届けできるため、ご家族と同じものを召し上がれます。どの形が合うか分からないときは、まず無料試食でお試しください。

メニュー詳細を見る 無料試食を申し込む

関連用語

誤嚥性肺炎

食べ物や唾液が気管に入って起きる肺炎。高齢者の肺炎の多くを占めます。

嚥下障害

飲み込みがうまくいかない状態。むせや口の中の残留が目印になります。

介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて形や硬さを調整した食事の総称です。

関連コラム

食事の姿勢

椅子・車いす・ベッドそれぞれの正しい食事姿勢を解説します。足の裏、あごの角度、テーブルの高さという3点を整えるだけでむせが減る理由も説明します。

食事介助の基本

食事介助の位置、スプーンの大きさ、一口の量、声かけの順番を具体的に解説します。やってはいけない介助と、その理由も整理します。

年末年始の食事の注意点

年末年始に高齢者が注意すべき食事のリスク(おもちの窒息・塩分過多・飲酒)と、正月料理の栄養バランス、帰省時の食事配慮を管理栄養士が解説します。

介護のことをもっと詳しく

介護保険や事業所探し、福祉用具の選び方は、同じ株式会社京谷商会が運営する情報サイトにまとめています。

むせる、詰まらせる。飲み込みが弱ったときの食事

介護の窓口(kaigoinfo.com)の記事。気づく目印と、相談先を整理しています。

口の衰えは全身に先立つ

介護の窓口の記事。滑舌・むせ・かめないものの増加をどう捉えるかを説明しています。

歯科に通えなくなったら、来てもらう

介護の窓口の記事。訪問歯科の頼み方と、できることをまとめています。