食事介助の基本|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

介助者は座る

立ったまま介助すると、食べる人は見上げる姿勢になります。あごが上がれば気管の入り口が開き、むせやすくなります。介助者は必ず座り、目線が同じか、少し下になる位置につきます。

座る位置は、正面ではなくやや斜め横(利き手側)が扱いやすくなります。正面に座ると、スプーンを口に運ぶときにどうしても上から入れる角度になります。

一口の量と、スプーンの選び方

項目目安
スプーンの幅口の幅の3分の2以下。小さめのティースプーン程度
ボウルの深さ浅いもの。深いと食べ物が残り、抜き取るときに口を大きく開けさせてしまう
一口の量ティースプーン1杯(3〜5g)から始める
運ぶ角度下唇の少し下から、水平に入れる。上から差し込まない
抜くとき上唇でこそげ取ってもらい、水平にまっすぐ引く

大きいスプーンは危険です。一度に入る量が多くなり、飲み込みきれずに残った分が誤嚥につながります。「早く食べ終わる」ことは目的ではありません。

順番と声かけ

  1. 食べる前に、口を湿らせる。お茶やゼリーを一口。乾いた口に固形物を入れない
  2. 何を食べるかを伝える。「かぼちゃの煮物です」。認識してから口に入れると、飲み込みの準備が整います
  3. 視界に入れてから運ぶ。いきなり口元に出さない
  4. 飲み込んだのを見てから、次の一口。のどぼとけが動くのを確かめます
  5. 時々、水分をはさむ。口の中の食べ物を流します
  6. 最後に口の中を確かめる。頬の内側や舌の下に食べ物が残っていないか

4番目が最も重要です。飲み込む前に次を入れると、口の中に食べ物がたまり、そのまま気管へ入ります。のどぼとけの動きを見る習慣をつけてください。

やってはいけないこと

やりがちなことなぜ危ないか
立ったまま介助するあごが上がり、誤嚥しやすくなる
大きいスプーンで運ぶ一口が多すぎて飲み込みきれない
飲み込む前に次を入れる口の中に溜まり、気管へ流れ込む
「はい、あーん」と急かす本人のペースが崩れる
むせている最中に水を飲ませるむせが収まってからにする
テレビをつけたままにする注意がそれて飲み込みが雑になる
眠そうなときに食べさせる覚醒が不十分だと飲み込みの反射が働かない

最後の項目は特に大切です。しっかり目が覚めていない状態で食べさせないこと。声をかけ、体を起こし、口を湿らせ、目が合ってから始めます。

できることは自分でしてもらう

全部介助してしまうと、残っている力が落ちていきます。次のような段階的な支え方があります。

  • スプーンに食べ物を乗せるところまで手伝い、口に運ぶのは自分で
  • 手を添えて一緒に運ぶ(手添え介助)
  • 握りやすい柄の自助具を使う
  • 片手で食べやすいよう、器を滑り止めマットに置く

時間はかかりますが、自分で食べるほうが摂取量は増えます。時間がないときだけ介助を増やす、という使い分けで構いません。

介助を始める前に確かめること

食事介助は、スプーンを口に運ぶところから始まるわけではありません。始める前に確かめることがあります。ここを飛ばすと、どれだけ丁寧に介助しても安全になりません。

まず、起きているかどうかです。眠そうな状態、うとうとしている状態で食べさせると、誤嚥します。はっきり目が覚めて、こちらの声かけに反応してから始めてください。声をかけて反応が鈍いときは、食事を後にずらす判断も必要です。

次に、姿勢です。座れているか、あごが上がっていないか、体が傾いていないか。姿勢を整えるのに5分かけても、そのほうが結果として安全で早く終わります。

そして、口の中です。前の食事の残りがないか、乾いていないか、痰がたまっていないか。口の中が乾いていると、食べものが張りついて飲み込めません。食事の前に口をすすぐ、湿らせる、口の体操をする。この一手間で、そのあとが楽になります。

最後に、体調です。熱はないか、いつもと様子が違わないか、痰が多くないか。体調が悪い日は、飲み込む力も落ちています。普段どおりに食べさせると危険です。無理をせず、量を減らすか、形を変えるか、その日は控えるかを判断してください。

スプーンの選び方と一口の量

使う道具によって、安全性が変わります。介助に使うスプーンは、小さめで、浅いものを選んでください。

大きなスプーンだと、1回の量が多くなり、口の中に入りきりません。深いスプーンだと、口から取り込むときに上唇でこそげ取れず、あごを上げて流し込むことになります。ティースプーン程度の大きさで、皿の部分が浅いものが向いています。介護用品として、この形のスプーンが売られています。

1回の量は、スプーンに軽く1杯です。山盛りにしないでください。口に入れたときに、口の中でまとめられる量にとどめます。多すぎると、まとめきれないまま のどへ流れます。

入れる位置は、舌の中央です。奥に入れすぎると、まとめる前に飲み込むことになり、危険です。手前すぎると、こぼれます。下唇に軽くスプーンを当て、口が開いたら舌の上に置き、上唇が閉じるのを待ってから、まっすぐ引き抜きます。上に持ち上げながら抜くと、あごが上がります。

そして、必ず飲み込んだことを確かめてから次を入れてください。のどが動くのを見る、あるいは声を出してもらって確かめます。口の中に残ったまま次を入れると、量が積み上がって詰まります。

順番と組み合わせの工夫

何から食べてもらうか、どう組み合わせるかにも、意味があります。

最初の一口は、水分やゼリーなど、のどを湿らせるものから始めます。乾いた口にいきなり ごはんを入れると、張りついて飲み込めません。汁もの、お茶ゼリー、とろみをつけた水などが向いています。

そのあとは、主食、主菜、副菜を交互に出します。同じものばかり続けると飽きますし、味の変化があるほうが唾液も出ます。本人に「次は何にしますか」と聞けるなら、選んでもらってください。選ぶことができるだけで、食事が能動的なものになります。

途中で水分を挟むことも大事です。口の中に残ったものを流し、次を受け入れやすくします。ただし、水分でむせる方の場合は、とろみをつけたものを使ってください。

そして、最後に口の中を確かめてください。食べ終わったつもりでも、頬の内側や舌の下に残っていることがあります。残ったまま横になると、あとで のどへ落ちて誤嚥します。口をすすぐか、確認して取り除いてください。

声かけの内容と速さ

介助中の声かけは、単なる会話ではなく、安全のための手順の一部です。

まず、これから何をするかを伝えます。「お食事にしましょう」「次はお味噌汁です」。いきなり口元にスプーンが来ると、驚いて息を吸い込み、誤嚥します。何が来るか分かっていれば、体が受け入れる準備をします。

次に、飲み込みを促す声かけです。「ごっくんしましょう」「もう一度飲み込んでください」。飲み込む動作を意識してもらうことで、確実になります。口の中に残っているときは、もう一度飲み込んでもらいます。

逆に、避けたい声かけがあります。「早く食べて」「もう少し頑張って」といった急かす言葉です。急がされると、噛む前に飲み込むことになり、危険です。そして、食事の時間が苦痛になります。

また、食べているあいだに複雑な質問をしないでください。答えようとして口の中のものが のどへ落ちます。会話は、飲み込み終わったあとにしてください。「おいしいですか」と聞くのも、口の中が空になってからです。

できることは自分でやってもらう

介助する側から見ると、全部やってしまうほうが早く終わります。しかし、それを続けると、自分で食べる力が失われていきます。

できる部分は残してください。スプーンを持てるなら持ってもらう。皿を押さえられるなら押さえてもらう。口を拭くのを自分でしてもらう。時間はかかりますが、その動作ができる期間が延びます。

道具を工夫すると、自分でできる範囲が広がります。持ち手の太いスプーン、滑り止めのマット、縁の立った皿、両手で持てるコップ、傾けやすいコップ。「もう自分では食べられない」と判断する前に、道具を試してください。道具を替えただけで、自分で食べられるようになる方がいます。

また、一部だけ介助するという形もあります。前半は自分で食べてもらい、疲れてきたら介助に切り替える。最後まで自分でやろうとすると疲れて量が入らないので、途中から手伝うほうが合計は増えます。

そして、こぼすことを責めないでください。こぼすのが嫌で、自分で食べるのをやめてしまう方がいます。エプロン、拭きやすい床、テーブルの覆い。環境を整えて、こぼれても平気な状態にしておけば、気にせず食べられます。

介助する人が抱え込まないために

食事介助は、1回に30分以上かかることがあります。それが1日3回、毎日続きます。介助する側の負担は、外から見えているより はるかに重いものです。

まず、時間がかかることを前提にしてください。急がせる原因の多くは、介助する側の時間の余裕のなさです。次の予定が詰まっていると、無意識に早くしようとします。食事の時間には余裕を取ってください。

次に、一人で全部を担わないことです。家族のあいだで分担する、デイサービスで昼食を取ってもらう、訪問介護を使う。1日3回すべてを同じ人が担う形は、続きません。

調理の負担も減らしてください。介助に時間がかかるうえに、やわらかい食事を毎回作るのは大きな負担です。市販の介護食、レトルト、冷凍、配食サービス。使えるものを使ってください。作ることに力を使い果たすと、介助する余力が残りません。

そして、うまくいかない日があっても、自分を責めないでください。むせる、食べない、時間がかかる。これらは介助のしかたが悪いからとは限りません。体調、薬、病気の進み方によって変わります。続くようなら、専門職に相談してください。ケアマネジャー、訪問看護師、言語聴覚士。相談することで、方法が見つかることがあります。

介助を減らしていく視点を持つ

介助の技術を身につけると、上手に食べさせられるようになります。しかし、そこで止まってはいけません。介助は、減らしていくことを目指すものです。

全介助のように見える方でも、部分的にはできることがあります。スプーンを口に運ぶことはできなくても、口を開けることはできる。コップは持てなくても、支えれば飲める。できる部分を見つけて、そこは本人にやってもらってください。

前半は自分で、疲れてきた後半は介助する。この形が現実的です。最初から全部を介助すると、残っている力まで使われなくなり、実際に失われていきます。使わない機能は衰えるという原則は、食べる動作にも当てはまります。

こぼすこと、時間がかかることを理由に介助に切り替えないでください。こぼすなら、こぼれてもよい環境を作ればよいだけです。拭きやすい床、エプロン、テーブルの覆い。環境で解決できることを、介助で解決しないでください。

そして、道具を替えることで自分で食べられるようになる方がいます。介助の技術を磨く前に、道具を見直してください。選び方は食事の自助具にまとめています。

食事形態を、その日の状態に合わせて選べます

配食のふれ愛 太子店では、普通食のほかに、やわらかく仕上げた小町食・きざみ・一口大・ムース食をご用意しています。同じ献立を形だけ変えてお届けできるため、ご家族と同じものを召し上がれます。どの形が合うか分からないときは、まず無料試食でお試しください。

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介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて形や硬さを調整した食事の総称です。

嚥下障害

飲み込みがうまくいかない状態。むせや口の中の残留が目印になります。

誤嚥性肺炎

食べ物や唾液が気管に入って起きる肺炎。高齢者の肺炎の多くを占めます。

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