なぜとろみをつけるのか

水やお茶のようにさらさらした液体は、喉を速く流れます。飲み込みの反射が遅れている方では、反射が起きる前に気管へ届いてしまいます。とろみをつけて流れを遅くすることで、反射が間に合うようにする。これがとろみの目的です。

つまり、とろみは飲み込みのタイミングを取り戻すための調整であって、濃くすれば安全になるものではありません。

3段階の濃さ

日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類では、とろみを3段階に分けています。

段階呼び名見た目スプーンから
薄い段階1ストローで吸える。飲み込むと口に残らないすっと流れ落ちる
中間段階2とろりとしている。ストローでは吸いにくいとろとろと流れ落ちる
濃い段階3明らかにとろみが強い。スプーンで食べる感覚形をある程度保ち、流れにくい

どの段階が必要かは、嚥下の評価をした専門職が決めます。言語聴覚士、歯科医師、医師、管理栄養士が関わります。自己判断で決めず、退院時や訪問時に必ず確認してください。

ダマにならない付け方

  1. 先にかき混ぜ始める。液体をスプーンで回しながら、とろみ剤を少しずつ振り入れます
  2. 一度にドサッと入れない。粉が固まったまま沈み、ダマになります
  3. 30秒ほどしっかり混ぜる。
  4. 2〜3分待つ。とろみは時間をおいてから完成します。ここで足さない
  5. それから濃さを確かめる。足りなければ、少量を別に溶いてから加えます

4番目が最も間違えられます。混ぜた直後は薄く見えるので足してしまい、数分後には濃すぎるものができあがります。待ってから判断する。これだけでほとんどの失敗が防げます。

飲み物によって付き方が違う

飲み物特徴
水・お茶標準。表示どおりの量で付く
牛乳・乳製品とろみが付きにくい。時間もかかる
濃厚流動食・栄養補助飲料付きにくい。専用の指示に従う
味噌汁・スープ塩分・油分で付き方が変わる
果汁(酸味の強いもの)付きにくいことがある
炭酸飲料混ぜると炭酸が抜ける

また、時間が経つととろみは強くなります。作り置きすると、飲むころには段階が上がっています。飲む直前に作ってください。

濃すぎるとろみの害

安全側に振ろうとして濃くしすぎると、次の問題が起きます。

  • 喉に残る。べたついて喉頭に残留し、あとから気管へ落ちる
  • 飲む量が減る。おいしくないので水分摂取量が落ち、脱水になる
  • 疲れる。飲み込むのに力がいる。食事に時間がかかる
  • 薬が飲みにくくなる。とろみ剤が薬の吸収に影響する場合があります

脱水は高齢者にとって命にかかわります。とろみをつけたら、水分の摂取量が落ちていないかを必ず記録してください。詳しくは水分でむせるとき脱水予防をご覧ください。

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嚥下障害

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