とろみ食とは?|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

とろみ食とは何か

とろみ食とは、飲み物や汁物、料理そのものに粘度をつけて、喉をゆっくり流れるようにした食事のことです。「やわらかくした食事」とは目的が違います。硬さの問題ではなく、流れる速さの問題を解いています。

言葉としては、水やお茶にとろみをつけたものを指すことも、おかずまで含めた食事全体を指すこともあります。医療の現場では前者を「とろみ水」、後者を含めてとろみ食と呼び分けることが多く、退院指示で「とろみ中間」と言われた場合はふつう水分のことを指しています。どちらの話をしているのか、指示を受けるときに確かめてください。

なぜとろみをつけるのか

水やお茶のようにさらさらした液体は、喉を速く流れます。飲み込みの反射が遅れている方では、反射が起きる前に気管へ届いてしまいます。とろみをつけて流れを遅くすることで、反射が間に合うようにする。これがとろみの目的です。

つまり、とろみは飲み込みのタイミングを取り戻すための調整であって、濃くすれば安全になるものではありません。

とろみ食とミキサー食は何が違うか

この2つはよく並べて語られますが、解いている問題が違います。混同したまま選ぶと、必要のない段階まで進めてしまうことがあります。

項目とろみ食ミキサー食
何をした食事か粘度をつけて流れを遅くした攪拌して形をなくし、なめらかにした
解いている問題飲み込むタイミングが遅れる噛む力が足りない、口の中でまとまらない
見た目元の料理の形が残る(汁物は残らない)元の形はわからない
主な対象水やお茶でむせる方固形物を噛み砕けない方
栄養の落ちやすさほぼ変わらない水分を足すぶん、同じ量でも中身が薄まる

両方が必要な方もいます。ミキサー食はなめらかですが、そのぶん流れやすくもあります。ミキサーにかけた料理に、あらためてとろみをつけて流れを遅くする、という組み合わせは現場でよく取られます。ムース食はこの組み合わせを、成形して見た目も保った形にしたものです。

選ぶ順序としては、まず噛む力を見て形態を決め、そのあとに飲み込みを見てとろみを足すかどうかを決めます。逆にすると、噛めないのにとろみだけ足す、という噛み合わない対応になります。形態そのものの選び方は嚥下食とは?で段階ごとに整理しています。

3段階の濃さ

日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類では、とろみを3段階に分けています。

段階呼び名見た目スプーンから
薄い段階1ストローで吸える。飲み込むと口に残らないすっと流れ落ちる
中間段階2とろりとしている。ストローでは吸いにくいとろとろと流れ落ちる
濃い段階3明らかにとろみが強い。スプーンで食べる感覚形をある程度保ち、流れにくい

どの段階が必要かは、嚥下の評価をした専門職が決めます。言語聴覚士、歯科医師、医師、管理栄養士が関わります。自己判断で決めず、退院時や訪問時に必ず確認してください。

ダマにならない付け方

  1. 先にかき混ぜ始める。液体をスプーンで回しながら、とろみ剤を少しずつ振り入れます
  2. 一度にドサッと入れない。粉が固まったまま沈み、ダマになります
  3. 30秒ほどしっかり混ぜる。
  4. 2〜3分待つ。とろみは時間をおいてから完成します。ここで足さない
  5. それから濃さを確かめる。足りなければ、少量を別に溶いてから加えます

4番目が最も間違えられます。混ぜた直後は薄く見えるので足してしまい、数分後には濃すぎるものができあがります。待ってから判断する。これだけでほとんどの失敗が防げます。

飲み物によって付き方が違う

飲み物特徴
水・お茶標準。表示どおりの量で付く
牛乳・乳製品とろみが付きにくい。時間もかかる
濃厚流動食・栄養補助飲料付きにくい。専用の指示に従う
味噌汁・スープ塩分・油分で付き方が変わる
果汁(酸味の強いもの)付きにくいことがある
炭酸飲料混ぜると炭酸が抜ける

また、時間が経つととろみは強くなります。作り置きすると、飲むころには段階が上がっています。飲む直前に作ってください。

濃すぎるとろみの害

安全側に振ろうとして濃くしすぎると、次の問題が起きます。

  • 喉に残る。べたついて喉頭に残留し、あとから気管へ落ちる
  • 飲む量が減る。おいしくないので水分摂取量が落ち、脱水になる
  • 疲れる。飲み込むのに力がいる。食事に時間がかかる
  • 薬が飲みにくくなる。とろみ剤が薬の吸収に影響する場合があります

脱水は高齢者にとって命にかかわります。とろみをつけたら、水分の摂取量が落ちていないかを必ず記録してください。詳しくは水分でむせるときと脱水予防をご覧ください。

とろみ剤の種類と、選び方

いま市販されているとろみ調整食品は、ほとんどがキサンタンガムを主成分とするものです。以前使われていたでんぷん系のものに比べて、少量で付く、味が変わりにくい、時間による変化が小さい、という利点があります。古いでんぷん系のものが家に残っている場合は、同じ量では付き方がまったく違います。

選ぶときに見る点は3つあります。1つめは1杯(100mL)あたりの必要量で、これは商品ごとに違います。2つめは溶けやすさで、牛乳や栄養補助飲料にも使うなら、それらに対応と明記されたものを選びます。3つめは容器で、毎日何度も使うならスプーン付きの大袋が扱いやすく、外出時は個包装が便利です。

商品を替えたら、必ず表示を見直してください。前と同じスプーン1杯で入れると、段階が1つ上がったり下がったりします。とろみは段階が変わるだけで安全性が変わるものなので、ここは目分量にしないところです。

おかずにもとろみが要るとき

水分だけでむせるうちは水分にとろみをつければ足りますが、汁気の多いおかずや、水分と固形が混ざったもの(味噌汁の具、みずみずしい果物、お茶漬け)でむせるようになったら、料理の側も見直す段階です。液体と固形が口の中で分かれて、液体だけが先に喉へ落ちるためにむせます。

対処は、料理にあんをかけてひとまとまりにすることです。片栗粉のあんは冷めると水が出て分離するので、時間が経つ食事にはとろみ調整食品を使います。煮物なら煮汁ごとまとめ、和え物なら水分をよく切ってから和える。「汁と具が分かれている料理をなくす」という見方をすると、家庭でも判断しやすくなります。

ここまで来ると、水分の段階だけでは追いつきません。食事全体の形態を嚥下食の段階で見直してください。

とろみをつけた献立の例

とろみは飲み物だけのものではありません。料理の側でとろみを持たせておけば、とろみ剤を足す回数そのものが減ります。味も落ちません。

料理とろみの持たせ方
味噌汁・すまし汁とろみ剤で調整する。具は細かくして沈ませない
煮物片栗粉でとじる。煮汁ごと食べられる濃さにする
炒め物あんをかける。パサつく肉もまとまります
焼き魚だしあんをかける。皮と骨は外しておく
おひたし・和え物すりごま、練りごま、マヨネーズ、とろろで和える
茶碗蒸し・卵料理そのままで口の中でまとまります。とろみは不要なことが多い
果物すりおろす、または缶詰のシロップごとつぶす

片栗粉と市販のとろみ剤は、使いどころが違います。片栗粉は加熱が要り、冷めると分離します。とろみ剤は加熱せずに使え、時間が経っても保ちます。台所で作って熱いうちに出すものは片栗粉、飲み物や、食卓で足すものはとろみ剤、と分けると無駄がありません。

ばらけやすくて困るものには、共通の対処があります。パンは牛乳やスープに浸す、ひき肉料理はあんをかける、いも類はマヨネーズや牛乳を足す。「水分を足してまとめる」か「油分を足してすべらせる」かのどちらかです。

外出先や通所先でとろみをつけるとき

家では整っていても、通所先や外食で崩れることがあります。その場でとろみをつけられる形を持っておくと、外に出る回数を減らさずに済みます。

  • スティック包装のとろみ剤を、財布やかばんに数本入れておく
  • 通所先には、いつもの濃さを紙に書いて渡す。「中間」だけでは伝わりません
  • 外食では、汁物と水を先に頼み、料理が来る前につけておく
  • ペットボトルに直接入れて振るのは避ける。混ざりきらずダマが残ります
  • 受診や入院のときは、使っているとろみ剤の名前を控えて持参する

濃さの伝え方は、言葉より現物が確かです。ご家族がいつも作っている濃さを一度その場で作ってお見せするのが、いちばん間違いがありません。

とろみが要る合図、要らなくなる合図

とろみは、一度始めたらずっと続けるものではありません。体調や治療で飲み込む力は上下します。

様子考えられること
水やお茶でむせるが、汁物ではむせないとろみが効く段階です
とろみをつけてもむせる濃さが合っていないか、姿勢や一口量の問題。専門職に見てもらう段階
飲み物を残すようになった濃すぎる可能性。水分不足につながります
体調が戻り、むせなくなった薄める方向で見直せる段階。自己判断せず相談する
熱が出た、痰が増えたとろみの調整ではなく受診が先です

薄める方向の見直しは、濃くするとき以上に慎重に進めます。むせない日が続いていても、体調を崩した日にだけ戻ることがあるためです。段階を下げるときは、まず日中の調子の良い時間帯から試し、様子を見ながら広げていきます。

費用と、続けるための工夫

とろみ調整食品は1袋(約500g〜1kg)で2,000〜3,000円ほど、1日3食+水分で使うと1か月あたり3,000〜5,000円が目安になります。介護保険では給付されず、全額自己負担です。医師が治療上必要と判断して処方される場合を除き、薬局でも保険は効きません。

続けるうえでの負担は、費用よりも「毎回作る手間」のほうが大きくなります。飲み物を出すたびに計って混ぜて2分待つ、を1日10回続けるのは現実的ではありません。あらかじめとろみをつけた市販のお茶・水・ジュースが各社から出ているので、日中はそれを使い、家族がいる時間だけ手作りにする、という分け方が続きます。

外出時と、家族以外が世話をするときのために、濃さを紙に書いて冷蔵庫に貼っておいてください。「中間のとろみ」では人によって作るものが違います。「〇〇(商品名)を、100mLに付属スプーン1杯」まで書いて初めて、誰が作っても同じものになります。

食事形態を、その日の状態に合わせて選べます

配食のふれ愛 太子店では、普通食のほかに、やわらかく仕上げた小町食・きざみ・一口大・ムース食をご用意しています。同じ献立を形だけ変えてお届けできるため、ご家族と同じものを召し上がれます。どの形が合うか分からないときは、まず無料試食でお試しください。

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関連用語

とろみ食

とろみ調整食品で粘度をつけた食事や飲み物。むせを防ぐ工夫です。

嚥下障害

飲み込みがうまくいかない状態。むせや口の中の残留が目印になります。

脱水症

体内の水分と電解質が不足した状態。高齢者は喉の渇きを感じにくく気づきが遅れます。

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