やわらかく調理するこつ|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

やわらかさは3つの手で作る

食材をやわらかくする方法は、大きく3つに分かれます。組み合わせると、刻まずにやわらかい料理ができます。

  1. 切り方を変える。繊維を断つ方向に切る、隠し包丁を入れる、薄く切る
  2. 下処理をする。すりおろした野菜・果物に漬ける、塩麹に漬ける、片栗粉をまぶす
  3. 加熱を工夫する。低温で長く、圧力鍋、蒸す、煮汁ごと

刻むのは最後の手段です。刻むと口の中でばらけてまとまらず、かえって飲み込みにくくなります。きざみ食・一口大とはで扱っているとおりです。

素材ごとのこつ

素材やわらかくする方法
豚肉・牛肉繊維に対して直角に切る。すりおろした玉ねぎ・りんご・パイナップルに30分漬ける。片栗粉をまぶして加熱
鶏むね肉そぎ切り。塩と砂糖を溶かした水に30分漬ける(保水性が上がる)。低温でゆでる
ひき肉料理豆腐・パン粉・すりおろした野菜を混ぜる。つなぎを増やすほどやわらかくなる
白身魚もともとやわらかい。加熱しすぎるとパサつくので短時間で
青魚圧力鍋で煮ると骨まで食べられる。カルシウム源になる
根菜(大根・にんじん)面取りと隠し包丁。下ゆで(大根は米のとぎ汁)。圧力鍋
葉物茎と葉を分けて加熱。繊維を断つ方向に切る
いも類もともとやわらかいが、口の中でぱさつく。牛乳やだしでのばす
きのこ繊維が強い。細かく刻むか、みじん切りにして他の料理に混ぜる

まとまりを作る

やわらかいだけでは足りません。口の中でひとかたまりになる(食塊を作れる)ことが飲み込みやすさを決めます。

  • あんをかける:片栗粉のあん。ばらけた具をまとめます
  • とろみのある食材と合わせる:山いも、オクラ、なめこ、里いも、卵
  • 油脂を少し使う:マヨネーズ、ごま油、バター。まとまりと風味が同時に出ます
  • ゼラチン・ゲル化剤で固める:ムース状にする方法。ムース食の考え方です

特にあんかけは費用も手間もかからず効果が大きい方法です。煮物、焼き魚、炒め物、どれにでも使えます。

味を落とさない

長く煮ると味が抜け、水っぽくなります。次で防げます。

  • だしを濃くとる。塩を増やさずに味の輪郭が出ます
  • 仕上げに香りを足す。ゆず、しそ、ごま、のり、削り節
  • 酸味を使う。酢、レモン。減塩でも物足りなさが減ります
  • 煮汁ごと食べる。あんにして絡める。栄養も逃しません
  • 温度を守る。温かいものは温かく。冷めると味も香りも落ちます

減塩の工夫は高齢者の高血圧と食事で詳しく扱っています。

毎日は続かない、という前提で

圧力鍋を出し、下漬けをして、あんを作る。これを1日3食、365日続けるのは現実的ではありません。手をかける日と、任せる日を分けてください。

配食のふれ愛 太子店では、同じ献立をやわらかく仕上げた小町食や、きざみ・一口大・ムース食でご用意しています。1日1食を任せるだけで、残りの食事に手をかける余裕が生まれます。

素材ごとのやわらかくするこつ

やわらかくするといっても、素材によって効く方法が違います。同じやり方をすべてに当てはめると、味が落ちるか、思ったほどやわらかくなりません。

肉は、繊維を断つことと、酵素を使うことが効きます。繊維に対して直角に切る、包丁の先で筋を切る、たたく。そして、すりおろした玉ねぎ、パイナップル、キウイ、塩こうじ、ヨーグルト、酒に漬けておくと、たんぱく質がやわらかくなります。30分から一晩漬けるだけで、噛み切りやすさが変わります。ひき肉にする場合は、豆腐やいもを混ぜると、加熱してもかたくなりません。

魚は、加熱しすぎるとかたく縮みます。煮る場合は落としぶたをして短時間で、蒸す場合は弱めの火で。脂ののった魚のほうが、加熱してもやわらかく残ります。皮と骨は必ず外してください。

野菜は、切り方と加熱時間です。繊維に対して直角に切る、皮をむく、面取りをする。圧力鍋を使うと、根菜が短時間で箸で切れるやわらかさになります。葉物は、茎と葉を分けて、茎を先に煮ます。

いも類は、加熱してからつぶすと、パサついて飲み込みにくくなります。牛乳、だし、油、マヨネーズを加えて、しっとりさせてください。水分だけを加えると味が薄まるので、味のあるもので伸ばすのがこつです。

まとまりを作ることのほうが大事

やわらかさばかりに気を取られると、大事なことを見落とします。飲み込みやすさは、やわらかさではなく、まとまりやすさで決まります。やわらかくても、口の中でばらけるものは危険です。

ばらけやすいものを挙げます。細かく刻んだ肉と野菜、そぼろ、ほぐした魚、ひじき、ごま、ナッツ、パンくず、高野豆腐。刻めば食べやすくなるという思い込みが、この危険を作っています。

まとめる方法は3つあります。1つめは、とろみをつけることです。あんかけにする、片栗粉でとじる、とろみ剤を使う。汁気のあるおかずは、そのままだと汁と具が別々に動くため、とじることで安全になります。

2つめは、つなぎを使うことです。いも、豆腐、卵、パン粉、山いも。ハンバーグ、つみれ、卵とじ、茶わん蒸し。ばらけるものを、まとまる形に作り替えるという考え方です。

3つめは、水分の多いものと合わせることです。パサついたものは、汁もの、あんかけ、ソース、マヨネーズと一緒にすると、口の中でまとまります。「パサついたものを単独で出さない」という原則を覚えておいてください。

味を落とさないための工夫

やわらかい食事は、味が薄く、見た目が悪くなりがちです。その結果、食べる量が落ちます。やわらかくすることと、おいしさは両立できます。

まず、水分で薄めないことです。やわらかくするために水を加えると、味が薄まります。だし、牛乳、スープ、あんで伸ばしてください。味のあるもので伸ばせば、やわらかくなっても味が残ります。

次に、香りと風味です。だしをしっかりとる、しょうがやゆずやしそを使う、ごま油やバターで香りを足す、焼き目をつけてから煮る。塩を増やさずに満足感を出す方法は、いくつもあります。高齢の方は塩分を控えたい場合が多いので、ここは重要です。

そして、温度です。やわらかい食事は、作ってから食卓に出るまでに冷めやすく、冷めると味が落ちます。器を温めておく、直前に仕上げる、保温性のある食器を使う。冷めたものは食べたくなくなります。

見た目も味のうちです。すべてをミキサーにかけて灰色にしてしまうと、何を食べているのか分かりません。素材ごとに分けて調理し、色を残して盛り付けてください。にんじんの赤、ほうれん草の緑、卵の黄色。色があるだけで、食欲が変わります。

毎日は続かない、という前提で組む

やわらかい食事を、毎食、手作りで用意し続けるのは無理があります。この前提に立って組み立ててください。無理な計画を立てると、途中で破綻して、結局インスタントに頼ることになります。

まず、作り置きと冷凍を使います。煮物、ひき肉料理、魚のほぐし煮、いものペースト。小分けにして冷凍しておけば、忙しい日は温めるだけで済みます。製氷皿に入れて凍らせると、少量ずつ使えて便利です。

次に、市販の介護食を組み合わせます。レトルトのやわらかい主菜、区分表示のある製品、とろみ剤、ミキサーにかけた状態で売られているもの。すべてを手作りにこだわらず、市販品を土台にして1品だけ手作りを足すという形でも十分です。

そして、配食サービスです。やわらかい形の献立を用意している事業者があります。1日1食でも任せられれば、そのぶんの負担が消えます。やわらかさの段階を選べるか、量を調整できるかを確かめてください。比べ方は配食サービスの確認12項目にまとめています。

作る人が疲れきると、食事の質は必ず落ちます。手を抜ける場所を先に決めておくことが、長く続けるための設計です。

やわらかくしすぎない

最後に、逆の注意です。必要以上にやわらかくすると、噛む力が落ちていきます。使わない機能は衰えます。

その方が安全に噛める範囲であれば、噛みごたえを残してください。「念のためやわらかく」を続けると、本当に噛めなくなります。これは、食べられるものが減っていくことを意味します。

どの段階が適切かは、飲み込みの評価で決まります。自己判断で段階を下げないでください。そして、状態が良くなったら、段階を上げる相談もしてください。一度下げた形をそのまま続けている方が多くいます。

また、段階を上げるときは、少しずつ、安全な場面から試します。体調のよい日に、そばに人がいる状態で、一品だけ試す。この進め方であれば、合わなかったときにすぐ戻せます。

段階の考え方は嚥下食の分類にまとめています。呼び名がいくつもあって分かりにくいので、いま使っている形がどの段階に当たるのかを、専門職と確かめておくと迷わずに済みます。

道具をそろえると格段に楽になる

やわらかい食事を作り続けるうえで、道具の力は大きなものがあります。手作業でやっていることの多くは、道具で置き換えられます。

圧力鍋は、最も効果が大きい道具です。根菜、肉の塊、豆。通常なら1時間以上かかるものが、10分から20分で箸の通るやわらかさになります。時間だけでなく、光熱費も減ります。

ハンドブレンダーは、鍋の中で直接使えるのが利点です。ミキサーのように移し替える必要がなく、洗いものが減ります。少量でも使えるため、一人分を作るのに向いています。

フードプロセッサーは、肉や野菜を細かくするのに使えます。ただし、細かくしただけではばらけるため、必ずつなぎととろみを併用してください。刻むことと、飲み込みやすくすることは別です。

そして、電子レンジと保温性のある食器です。やわらかい食事は冷めやすく、冷めると味が落ちて食べる量が減ります。小分け冷凍したものを温め直す前提で作れば、毎回作る必要がなくなります。道具への数千円の投資が、毎日の負担を確実に下げます。

安全に保存する

やわらかい食事は、通常の料理より傷みやすい性質があります。作り置きを前提にするなら、保存の扱いを知っておいてください。

ミキサーにかけたもの、とろみをつけたものは、細かくなっているぶん細菌が増えやすくなります。作ってから2時間以内に冷ますか、冷蔵庫に入れてください。常温で置いたままにしないでください。

冷蔵での保存は、2日を目安にしてください。それ以上置くなら冷凍です。小分けにして平らにして凍らせると、早く凍り、早く解けます。製氷皿や小さな容器が便利です。

解凍は、冷蔵庫か電子レンジで行ってください。常温に出しておく方法は、細菌が増えるため避けてください。そして、温め直したものを再び冷凍しないでください。

とろみをつけたものは、冷凍して解かすと、水が分離することがあります。とろみは食べる直前につけるほうが確実です。本体だけを冷凍し、温めてからとろみをつける手順にしてください。高齢の方は、食中毒にかかったときの影響が大きく出ます。ここは手を抜かないでください。

食事形態を、その日の状態に合わせて選べます

配食のふれ愛 太子店では、普通食のほかに、やわらかく仕上げた小町食・きざみ・一口大・ムース食をご用意しています。同じ献立を形だけ変えてお届けできるため、ご家族と同じものを召し上がれます。どの形が合うか分からないときは、まず無料試食でお試しください。

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関連用語

介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて形や硬さを調整した食事の総称です。

きざみ食

食材を細かく刻んだ食事形態。かむ力が弱った方に使われます。

ムース食

食材をなめらかなムース状に加工した食事。見た目を保ちながら飲み込みやすくします。

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