痛風・高尿酸血症の食事|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

尿酸はどこから来るか

尿酸は、体の細胞が入れ替わるときに出る老廃物です。その7〜8割は体の中で作られたもので、食品から入るのは2〜3割にすぎません。

だから「プリン体ゼロの飲み物に変えたのに下がらない」ということが起きます。効き目の順に並べると、次のようになります。

  1. 水分をしっかり摂る(尿から出す)
  2. 体重を落とす(内臓脂肪は尿酸を上げる)
  3. アルコールを減らす(種類を問わず尿酸を上げる)
  4. プリン体の多い食品を控える

4番目が最後に来ることに注意してください。もちろん無視してよいわけではありませんが、ここだけを頑張っても結果は出にくいのです。

水分を1日2Lという指導の意味

尿酸は尿から排出されます。尿の量が少ないと、それだけ体に残ります。一般に1日2Lの尿量を目安とする指導が行われます。

ただし、高齢者では心臓や腎臓の状態によって水分制限がかかっている場合があります。主治医の指示が優先します。「痛風だから水を飲む」と自己判断で増やさないでください。

飲むものは水か麦茶が基本です。果糖の多いジュースや清涼飲料は尿酸を上げます。「甘い飲み物はプリン体が入っていないから安心」は誤りです。

アルコールは種類を問わない

種類影響
ビールプリン体も多く、アルコールの作用も加わる。最も上がりやすい
日本酒・ワインプリン体は中程度。アルコールの作用で上がる
焼酎・ウイスキープリン体はほぼゼロだが、アルコール自体が尿酸を上げ、排出も妨げる
プリン体ゼロ発泡酒プリン体は減るが、アルコールの作用は残る

アルコールは、肝臓で分解される過程で尿酸の産生を増やし、同時に腎臓からの排出を妨げます。「蒸留酒なら安心」は成り立ちません。量そのものを減らすことが必要です。

プリン体の多い食品

区分食品
極めて多い(300mg/100g超)あん肝、白子、煮干し、かつお節、干ししいたけ、レバー(鶏)
多い(200〜300mg)レバー(豚・牛)、かつお、まいわし、大正えび、まあじ干物
中程度(100〜200mg)肉類全般、魚類全般、ほうれん草、ブロッコリースプラウト
少ない野菜(多くのもの)、いも、豆腐、卵、乳製品、海藻

1日400mg以下が目安とされます。肉や魚を完全に抜く必要はありません。抜くとたんぱく質が不足し、低栄養やサルコペニアを招きます。高齢者ではそちらの害のほうが大きくなります。

実際的な線は「内臓(レバー・白子・あん肝)を控える」「魚の干物と練り物を毎日にしない」あたりです。

尿をアルカリ性に寄せる

尿が酸性に傾くと、尿酸は結晶になりやすくなります。野菜・海藻・いも・きのこ・牛乳といった食品は尿をアルカリ性側へ傾けます。

1日350gの野菜を意識することは、この点でも意味があります。ほうれん草はプリン体がやや多い部類ですが、野菜全体を減らす必要はありません。

発作が起きたとき

  • 患部を冷やす。温めない、もまない
  • 足を高くして安静に。
  • 受診する。市販の鎮痛薬のうち、アスピリンは尿酸値に影響するため自己判断で飲まない
  • 発作中に尿酸を下げる薬を新たに始めない。かえって悪化することがあります。医師の指示に従ってください

痛風は腎臓病や高血圧、糖尿病と併発しやすい病気です。高齢者の慢性腎臓病(CKD)と食事療法や高血圧の食事もあわせてご覧ください。

1日の献立をどう組むか

プリン体の数字を一つずつ気にしながら食べるのは、続きません。献立の型を先に決めてしまうほうが現実的です。

朝は、ごはんとみそ汁と卵か豆腐、そして野菜。卵と乳製品はプリン体がほとんど含まれないため、朝食の主役として使いやすい食材です。昼は、主菜を肉か魚から1品、副菜を2品。夕は、主菜を控えめにして、野菜と海藻を多めにします。夕食に肉と酒を集中させる食べ方が、いちばん尿酸を上げます。主菜の量を朝と昼に振り分けるだけで、状況が変わります。

魚と肉のどちらを選ぶかで悩む方がいますが、極端に避ける必要はありません。プリン体は細胞の核に含まれるため、細胞の数が多い部位ほど多くなります。つまり、レバーや白子、干物、魚卵といったものが多く、普通の肉や魚の切り身はそこまで極端ではありません。切り身を1食70〜80g食べることは、まず問題になりません。問題になるのは、内臓、干物、そして毎晩の酒です。

高齢の方の場合、プリン体を気にしすぎて肉と魚を減らすと、たんぱく質が足りなくなります。筋肉が落ちれば転びやすくなり、そのほうが生活に響きます。プリン体の管理より、体重と筋肉を保つことのほうが優先されることがあります。この判断は主治医に確かめてください。

水をどう飲むか、どこで失敗するか

水を多く飲むという指導は分かりやすい一方で、実行が難しいものです。高齢の方はもともとのどの渇きを感じにくく、意識して飲まないと量が届きません。さらに、夜のトイレが心配で飲む量を減らす方が多くいます。

失敗を避ける飲み方があります。まず、朝起きたときにコップ1杯。朝食で1杯。午前中に1杯。昼食で1杯。午後に2杯。夕食で1杯。これで7杯、約1,400mLです。夕方以降を控えめにして、日中に前倒しすれば、夜のトイレを増やさずに量を確保できます。

飲むものは、水か薄い茶が基本です。清涼飲料水は避けてください。果糖が尿酸を上げることが分かっており、飲めば飲むほど逆効果になります。果汁100%のジュースも同じ理由で控えめにします。スポーツ飲料も糖が入っているため、日常的に飲むものではありません。

ただし、心臓や腎臓の状態によっては、水分を制限されている方がいます。その場合は指示を優先してください。尿酸のために水を増やした結果、心不全が悪くなるということが起こりえます。飲む量については、必ずかかりつけ医に確かめてから決めてください。

コーヒーは、尿酸を下げる方向に働くという報告があります。砂糖を入れずに飲むのであれば、1日数杯までは差し支えないとされています。ただし、眠りに影響する方は午後以降を避けてください。

外食と酒席をどう乗り切るか

尿酸の管理でつまずくのは、たいてい外での食事です。家では気をつけていても、酒席が続けば数値は上がります。付き合いをやめるわけにいかない以上、乗り切り方を決めておくほうが現実的です。

まず、酒の量を先に決めてから席につくことです。ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、焼酎ならグラス1杯。「今日は控えめに」という決め方では、必ず超えます。本数で決めておいて、そこで水に切り替えてください。ビールにプリン体が多いのは事実ですが、焼酎やウイスキーなら安全ということはありません。アルコールそのものが尿酸を上げ、体から出ていくのを妨げます。種類ではなく量の問題です。

次に、食べる順番です。最初に野菜や豆腐を食べておくと、そのあとの揚げものや肉の量が自然に減ります。締めのラーメンやごはんは、そこまでで満腹になっていれば避けられます。

そして、水を並行して飲むことです。酒と同量の水を頼み、交互に飲む。これだけで飲む量が減り、脱水も防げます。酒の席は、汗と尿で水分が出ていくうえに、飲むのが酒ばかりになるため、脱水になりやすい場面です。脱水は尿酸を濃くします。

翌日も大事です。飲んだ翌日は、意識して水を多めに取り、肉と揚げものを控えます。1日で取り返せるわけではありませんが、続けて負担をかけないことに意味があります。

体重を落とすときの落とし穴

尿酸を下げるうえで、体重を落とすことは有効です。ただし、落とし方を間違えると逆に発作が起きます。

急に体重を落とすと、体が脂肪を分解する過程で尿酸が上がります。絶食に近い減量や、糖質を極端に減らす方法は、この点で危険です。1か月に1〜2kgまでを目安に、ゆっくり落としてください。

また、高齢の方の減量では、落ちるものの中身が問題になります。若い方なら脂肪が落ちますが、高齢の方は筋肉から落ちやすくなります。筋肉が落ちれば、歩く力が弱まり、転びやすくなります。尿酸の数値を下げた結果、転んで骨折して寝たきりになる、では意味がありません。

そのため、減量は必ずたんぱく質を確保したうえで行ってください。減らすのは、揚げもの、菓子、甘い飲みもの、酒、そして主食の食べすぎです。肉や魚や豆腐を減らすのではありません。プリン体を気にして主菜を減らすと、たんぱく質不足と減量が重なって筋肉が急激に落ちます。

体重を落とすかどうかは、まず主治医に確かめてください。やせている方や、体重が落ち始めている方に減量は不要です。むしろ増やす必要があります。尿酸の管理は、その方の体格と全身の状態を見たうえで決まるものです。数値だけを見て自分で判断しないでください。

数値が下がらないときに見直すところ

食事を整えても尿酸値が動かないことがあります。そのとき、食事をさらに厳しくする前に、別の要因を確かめてください。

1つめが薬です。血圧の薬の一部、とくに利尿薬は、尿酸を上げる方向に働きます。ほかにも、少量の解熱鎮痛薬や一部の結核の薬などが関わることがあります。飲んでいる薬を自分でやめないでください。お薬手帳を持って受診し、尿酸が下がらないことを伝えて、医師に判断してもらいます。ほかの選択肢がある場合もあります。

2つめが脱水です。汗をかく季節、下痢が続いたあと、水分を控えている方。体の水が減れば尿酸は濃くなります。食事より先に、飲む量を確かめてください。

3つめが激しい運動です。息が上がるほどの運動は、一時的に尿酸を上げます。歩く、軽い体操といった続けられる運動に切り替えてください。

4つめが果糖です。清涼飲料水、果汁飲料、砂糖入りのコーヒー、菓子。果糖は尿酸を上げる働きが知られており、食事を気をつけていても飲みもので台無しになることがあります。1日に飲んでいるものをすべて書き出してみてください。

これらを確かめても下がらないなら、食事だけでは限界があるということです。薬による治療を検討する時期かもしれません。食事で頑張りきれないことを、努力不足だと受け取らないでください。尿酸値には体質の影響が大きく、食事の寄与はその一部です。

食事だけで解決しようとしない

食事の見直しには効果がありますが、それだけで数値が下がりきらないことがあります。この点を最初に理解しておいてください。

体の中で作られる分のほうが、食べものから入る分より多いと言われています。つまり、食事を厳しく制限しても、下がる幅には限りがあります。ここを知らないと、努力しても下がらないことに落胆し、途中でやめてしまいます。

薬が処方されている場合は、必ず続けてください。症状が出ていない時期に、自己判断でやめてしまう方が多くいます。痛みがないことと、数値が下がっていることは別です。やめると、また上がります。

そして、体重、運動、水分、飲酒。これらを組み合わせることで、はじめて意味のある変化が出ます。どれか一つだけを頑張るより、全体を少しずつ整えるほうが結果につながります。

高齢の方では、腎臓の働きが落ちていることがあります。その場合、水分の量も、薬の種類も、通常とは考え方が変わります。一般向けの情報をそのまま当てはめず、主治医の指示に従ってください。

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腎臓病

腎機能が低下した状態。たんぱく質・塩分・カリウムの調整が必要になります。

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

サルコペニア

加齢に伴う筋肉量と筋力の低下。転倒と要介護の危険を高めます。

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