成人発症の食物アレルギー|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

大人になってから始まる

食物アレルギーは乳幼児の病気という印象がありますが、成人になってから発症する型が確かに存在します。消費者庁の即時型食物アレルギー全国モニタリング調査では、20歳以上の新規発症例が毎回一定数報告されています。

子どもの食物アレルギーが卵・乳・小麦を中心とし、成長とともに食べられるようになることが多いのに対し、成人発症のものはいったん発症すると自然に治りにくいという違いがあります。

小児発症成人発症
主な原因卵・乳・小麦甲殻類・小麦・果物・魚・そば
経過年齢とともに食べられるようになることが多い治りにくい
症状皮膚症状が中心全身症状に至る割合が高い

高齢者で起きるときの特徴

高齢者の場合、症状が典型的でないために見逃されやすいという問題があります。

  • じんましんが出にくい:皮膚の反応が鈍く、かゆみだけで済むことがある
  • 「食あたり」と誤解される:腹痛・下痢だけが出ると食中毒と区別がつきにくい
  • 薬の影響が重なる:降圧薬・鎮痛薬(NSAIDs)・胃薬がアレルギー反応を強めることがある
  • 血圧低下が命に直結する:循環器の予備力が落ちているため、軽度の反応でも失神・転倒につながる

特に注意したいのが4つ目です。高齢者のアナフィラキシーは、若い人と同じ強さの反応でも結果が重くなります。

きっかけになりやすい変化

いままで平気だったものに反応し始めるとき、背景に次のような変化があることがあります。

変化関係
花粉症を発症した果物・野菜との交差反応が起きる(口腔アレルギー症候群)
薬を飲み始めたNSAIDs・降圧薬が反応の閾値を下げる
胃酸を抑える薬を長期に使っているタンパクが分解されないまま吸収されやすくなるとする報告がある
腸の手術・炎症があった腸のバリア機能が落ちる

花粉との関係は口腔アレルギー症候群で詳しく扱っています。

受診の目安と、伝えること

次のいずれかがあれば、自己判断で除去を始める前にアレルギー科・内科を受診してください。

  • 特定の食品を食べたあと、繰り返し同じ症状が出る
  • 食後に口の中がイガイガする、耳の奥がかゆくなる
  • 食後の運動・入浴で具合が悪くなったことがある
  • 原因不明のじんましんが月に何度も出る

受診の際は、食べたもの・時間・症状・治まるまでの時間を書いたメモを持っていくと診断が早くなります。自己判断で食品を減らすと栄養が落ち、低栄養を招きます。詳しくは除去食と低栄養をご覧ください。

高齢になってからの発症で多い食品

大人になってから発症する食物アレルギーには、子どもとは違う傾向があります。子どもで多い卵・乳・小麦に対して、大人では次のものが目立ちます。

食品特徴
えび・かに大人の発症で最も多い部類。長年食べていても起きる
小麦食後に体を動かしたときだけ症状が出る形がある
果物・野菜花粉症をきっかけに口の中だけに症状が出る形が多い
魚・魚卵いくら、たらこで起きることがある
そば子どもより少ないが、症状が重くなりうる

大人の発症は、子どものように自然に治ることが少ないとされています。「そのうち食べられるようになる」と考えず、分かった時点で避け方を決めてください。

高齢の方では症状が分かりにくい

典型的な食物アレルギーは、じんましん、口のかゆみ、腹痛、息苦しさとして現れます。ところが高齢の方では、こうした分かりやすい症状が出ないまま進むことがあります。

実際にご家族から聞くのは、「食後に急にだるくなって座り込んだ」「顔色が悪くなって、そのあと吐いた」「なんとなくぼんやりして、話が通じにくくなった」といった訴えです。いずれも年齢のせい、疲れのせいと解釈されやすく、食べたものと結び付けられません。

結び付けるための唯一の方法が記録です。何を食べて、何分後に、何が起きて、どれくらいで治まったか。これを3回ぶん書き留めると、同じ食品が並んでいるかどうかが見えます。記録がないと、医師も検査の当たりをつけられません。

また、高齢の方は循環の予備の力が落ちているため、血圧が下がったときに立て直しにくくなります。同じ量のアレルゲンでも重くなりやすいのはこのためです。アナフィラキシーの見分けと対応を、ご家族が先に読んでおいてください。

薬との関わりを整理しておく

高齢の方は複数の薬を飲んでいることが多く、それが判断を難しくします。飲んでいる薬によって、症状の出方や重さが変わることがあります。

  • 血圧の薬。種類によっては、症状が出たときの立て直しに影響することがある
  • 痛み止め。飲んだあとに食べると症状が出やすくなる形がある
  • 胃薬。胃酸を抑える薬を長く飲んでいると、食物アレルギーが起きやすくなるという報告がある

これらは薬をやめるべきという話ではありません。自己判断で中止すると、もとの病気のほうが悪くなります。受診のときにお薬手帳を持っていき、飲んでいるものをすべて医師に見せてください。判断はそこからです。

分かったあとの食事をどう立て直すか

原因が分かって除去を始めると、食べられるものが急に減ったように感じます。ここで献立が単調になり、食べる量そのものが落ちるのが最も避けたい流れです。高齢の方では、アレルギーそのものより、除去による低栄養のほうが体に響くことがあります。

立て直しの順番は、まず抜いた食品の役割を書き出すことです。たんぱく質なのか、脂質なのか、彩りなのか、食べやすさなのか。役割が分かれば、代わりを探せます。えびを抜いたなら、たんぱく質は魚や鶏で埋め、彩りはにんじんやパプリカで足す、という具合です。

次に、体重を月に1回量って記録します。半年で2〜3kg落ちていれば、除去のしかたに無理があります。管理栄養士に相談するときは、この記録と、実際の1週間の献立を持っていってください。詳しくは除去食と低栄養にまとめています。

調理の負担が重くなったときは、対応できる配食を組み合わせるのも手です。毎食を任せる必要はなく、負担の大きい日だけ使う形でも、食事の質は保てます。

受診するときに持っていくもの

大人の食物アレルギーは、診断に時間がかかることがあります。子どものように典型的な形で出ないうえに、原因の候補が多いためです。診断を早めるには、こちらが情報を用意していくことです。

持っていくものは4つです。1つめが食事と症状の記録です。何を、何時に、どれくらい食べて、何分後に何が起きたか。これを3回ぶん、できれば1〜2週間ぶんまとめます。2つめがお薬手帳です。飲んでいる薬すべてと、市販薬やサプリメントも含めます。3つめが、症状が出たときに撮った写真です。じんましんや腫れは受診するころには消えていることが多く、写真があると医師の判断が変わります。4つめが、これまでの検査結果です。他の病院で受けた血液検査があれば持っていってください。

とくに写真は効きます。スマートフォンで撮っておくだけで構いません。皮膚の症状が出たら、消える前に撮る。ご家族にもそう伝えておいてください。「顔が赤くなった」という言葉より、写真1枚のほうが伝わります。

受診先は、アレルギー科または内科です。皮膚の症状が中心なら皮膚科でも構いませんが、全身の症状が出ているならアレルギー科を勧めます。かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談して、紹介してもらう流れが確実です。

検査の結果をどう受け止めるか

血液検査で数値が出ると、それだけで診断が決まると思われがちですが、そうではありません。検査で反応が出ても、実際に食べて症状が出ない食品があります。逆に、検査で反応が出なくても症状が出る食品もあります。

検査は、原因を絞り込むための材料の一つです。最終的な判断は、実際に食べたときにどうだったかという記録と合わせて、医師が行います。だからこそ記録が要るのです。検査だけを見て自己判断で除去を広げると、食べられるものが不必要に減ります。

また、検査の値が高いほど症状が重い、とは限りません。値が低くても強い症状が出る方がいます。数字の大小で油断しないでください。大事なのは、実際に症状が出たかどうかと、どこに出たかです。

結果を聞くときは、次の3つを医師に確かめてください。何を避けるのか。どこまで避けるのか(加熱すれば食べられるか、少量なら食べられるか)。次はいつ受診するのか。この3つを紙に書いて持ち帰れば、家族や施設に正確に伝えられます。曖昧なまま帰ると、家庭で判断がぶれて、必要以上の除去に向かいます。除去の範囲の決め方は除去食の作り方にまとめています。

周囲の理解を得るのが難しい

大人になってからのアレルギーには、周囲に信じてもらいにくいという難しさがあります。「昨日まで食べていたのに」「気のせいではないか」「好き嫌いを大げさに言っているのでは」。こうした反応が、家族からも出ることがあります。

とくに高齢の方の場合、長年その食品を食べてきた歴史があるため、周囲が納得しにくくなります。ご本人自身が「まさか自分が」と受け入れられず、こっそり食べてしまうこともあります。この場面で必要なのは、説得ではなく診断書です。医師の診断があることを紙で示せば、話が早く終わります。

また、家族が納得していないと、行事や外食のときに配慮が抜けます。「少しくらい大丈夫だろう」と勧められて断りきれない。この流れが、実際の事故につながります。診断がついたら、その場にいなかった家族にも伝えてください。電話で一言ではなく、紙かメッセージで残る形にすると、忘れられにくくなります。

そして、ご本人が自分で気をつけられるうちに、周囲へ引き継いでおくことが大事です。年齢が上がるにつれ、確認する役は家族や職員に移っていきます。いま伝えておかないと、伝える機会がなくなります。まとめ方はアレルギーの伝え方を参考にしてください。

思い込みで食べるものを減らさない

大人になってからの発症では、自己判断で食べるものを次々に減らしてしまう方がいます。これには害があります。

「これを食べたら調子が悪かった」という経験だけで避けはじめると、避けるものが増え続けます。体調が悪かった原因が、その食品でないことのほうが多くあります。疲れ、寝不足、他の病気、薬。原因はいくつもあります。

避けるものが増えると、食べられるものが減り、栄養が偏ります。高齢の方では、これが体重の減少と体力の低下に直結します。アレルギーを避けようとして、別の問題を作ることになります。

だからこそ、記録と受診が必要です。疑わしい食品を書き留めて、医師に相談してください。検査と問診で、本当に避けるべきものかどうかが判断できます。避けなくてよいと分かれば、食事の幅が戻ります。

そして、いったん避けはじめたものについても、定期的に見直してください。年月がたって食べられるようになっていることがあります。ただし、自分で試さないでください。医師の指示のもとで確かめる必要があります。

アレルギーのある方の食事を、毎日どう用意するか

配食のふれ愛 太子店では、ご注文時にアレルギーをお伺いし、献立表に使用アレルゲンを記載してお届けしています。除去が必要な日は代替のおかずに差し替えるなどの調整もご相談ください。まずは無料試食で、実際の献立表と容器をご覧ください。

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エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

管理栄養士

国家資格を持つ栄養の専門職。献立設計と栄養指導を行います。

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