除去食と低栄養|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

除去が痩せにつながる経路

アレルゲンを避けることは必要な処置です。しかし高齢者では、その処置が低栄養の入口になることがあります。経路は3つあります。

  1. 栄養素が直接減る。卵を抜けばたんぱく質とビタミンD、乳を抜けばカルシウムが落ちます。埋めなければそのまま不足になります
  2. 食べる量そのものが減る。食べられるものが限られると献立が単調になり、飽きて食が細ります
  3. 不安から過剰に避ける。「これも危ないかもしれない」と品目が増え、気づけば食べられるものがごくわずかになっている

3つ目が最も多く、そして最も見えにくい経路です。医師が指示した以上の除去を、本人や家族が積み増していないかを定期的に確かめてください。

低栄養に気づく目印

見るもの危ない目安測り方
体重6か月で3%以上、または2〜3kg減った週1回、同じ時間・同じ服装で量る
BMI20未満(高齢者は21.5〜24.9が目安)体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
ふくらはぎ周囲長男性34cm未満、女性33cm未満いちばん太いところをメジャーで測る
食事量いつもの半分以下の日が続く残した量を記録する
見た目ベルトの穴、指輪、入れ歯が合わなくなった日常のなかで気づける

ふくらはぎを測る方法は道具がいらず、体重計に乗るのが難しい方でも確かめられるのが利点です。指で輪を作ってふくらはぎを囲み、隙間ができるようなら筋肉量が落ちています(指輪っかテスト)。

記録して、相談に持っていく

管理栄養士や医師に相談するとき、次のものがあると話が早く進みます。

  • 体重の推移(3か月以上、週1回の記録)
  • 除去している品目の一覧と、それを決めた経緯(誰の指示か)
  • 1日の食事内容を3日分(写真で十分です)
  • 飲んでいる薬の一覧(お薬手帳)

相談先は、かかりつけ医、病院の栄養相談室、地域包括支援センターです。介護保険を使っている方はケアマネジャー経由で管理栄養士による居宅療養管理指導を組み込める場合があります。

配食を使うという選択

除去をしながら栄養バランスを保つ献立を、毎日家庭で組み立てるのは負担の大きい作業です。1食でも外部に任せられれば、残りの2食に手をかけられます。

配食のふれ愛 太子店の弁当は管理栄養士が1食ごとの栄養価を設計しています。アレルギーの登録と献立表の事前確認により、除去が必要な日をあらかじめ把握できます。詳しくは高齢者が気をつけたい低栄養とその対策もあわせてご覧ください。

抜いた食品の「役割」を書き出す

除去による栄養の穴を埋めるとき、いきなり代替食品を探しても続きません。先にやるべきは、抜いた食品が食卓で何をしていたかを書き出すことです。役割は栄養だけではありません。

役割例抜けたときに起きること
たんぱく質源卵、牛乳、えび筋肉が落ちる、傷が治りにくい
カルシウム源牛乳、チーズ骨がもろくなる
主食小麦(パン、麺)食べられる献立の型が減る
つなぎ・食べやすさ卵、小麦粉やわらかい料理が作りにくくなる
彩り・楽しみおやつ、果物食欲そのものが落ちる

いちばん見落とされるのが最後の2つです。栄養の計算は合っているのに、食が細くなって痩せていく。原因は、食べたいものが食卓から消えたことにあります。

高齢の方でとくに減りやすい栄養素

除去のときに不足しやすく、かつ高齢の方に響きやすいものを挙げます。

  • たんぱく質。体重1kgあたり1.0〜1.2gが目安。50kgなら1日50〜60g。これを下回る日が続くと、筋肉が落ちて転びやすくなります
  • カルシウム。乳製品を抜くと最も影響が出ます。小魚、豆腐、小松菜、ひじきで埋めます
  • ビタミンD。カルシウムを使うために必要。さけ、さんま、きのこ、日光
  • 鉄。肉や魚を減らすと落ちます。赤身肉、あさり、小松菜
  • 亜鉛。味覚と傷の治りに関わる。不足すると味が分からなくなり、さらに食が細ります

亜鉛が減って味が分からなくなり、それでさらに食べなくなる。この悪循環は高齢の方でよく見ます。「最近、味が薄く感じる」という訴えは、除去を始めたあとなら栄養の問題として疑ってください。

体重と食事量を数字で追う

除去がうまくいっているかどうかは、感覚では分かりません。数字で追ってください。追うものは3つで足ります。

  1. 体重。週1回、同じ時間、同じ服装で量る。6か月で体重の5%が落ちたら要注意
  2. 食べ残しの量。主食・主菜・副菜のそれぞれについて、全部・半分・ほとんど残す、の3段階でよい
  3. 食べた品目の数。1週間で何種類の食材を食べたか。20を切ると偏っている

50kgの方なら、半年で2.5kg落ちた時点で相談です。「少し痩せたけれど元気だから」で見送ると、次の半年でさらに落ちます。高齢の方の体重減少は、いったん始まると自然には止まりません。

数字がそろっていれば、管理栄養士や医師との相談が具体的になります。「食が細くて」ではなく「6月に52kg、8月に49.5kg、主菜を半分残す日が週4日」と言えれば、そこから対策が出てきます。

一人で背負わずに外を使う

除去食を毎食作るのは、想像以上の負担です。原材料を確かめ、別の鍋を使い、盛り付けを分ける。これを1日3回、365日続けると、作る側が先に倒れます。作る人が疲れて手を抜き始めたときが、いちばん事故が起きやすい時期です。

使えるものを挙げます。

  • 管理栄養士の栄養指導。医師の指示があれば保険で受けられる場合があります。かかりつけに聞いてください
  • アレルギー対応の加工食品。米粉パン、アレルゲン不使用のルウなど、選択肢が増えています
  • 配食サービス。対応の可否は事業者によります。毎食でなく、負担の重い日だけでも効きます
  • 地域包括支援センター。介護保険の対象なら、食事の相談窓口を教えてくれます

配食を検討するときは、除去の内容を最初に伝えて、受けられるかどうかを確かめてください。伝え方はアレルギーの伝え方に、事業者の比べ方は配食サービスの確認12項目にまとめています。

1日のたんぱく質をどう積み上げるか

除去食で最も減りやすいのがたんぱく質です。体重50kgの方であれば1日50〜60gが目安になりますが、この量を毎日積み上げるには、3食に分けて考える必要があります。夕食にまとめて取っても、体は一度に使いきれません。1食あたり15〜20gを3回、というのが現実的な組み立てです。

目安として、たんぱく質を約15g取れる量を挙げます。魚の切り身1切れ(約70g)、鶏もも肉の小さめ1枚(約70g)、豆腐なら1丁の3分の2、納豆なら2パック、卵なら2個、牛乳ならコップ3杯です。牛乳と卵を抜くと、朝食でこの量を取るのが急に難しくなることが分かります。

そこで、朝食の型を変えます。パンと牛乳と卵という洋風の型から、ごはんと焼き魚とみそ汁と納豆という和風の型に寄せると、卵と乳を使わずに15gが取れます。魚を焼くのが手間なら、しらす、さば缶、鮭フレークが使えます。缶詰は、除去食のなかで最も頼りになる食材です。原材料が単純で確かめやすく、日持ちして、そのまま食べられます。

それでも足りないときは、たんぱく質を足すための市販品があります。粉末を汁ものに混ぜるもの、ゼリー状のもの、飲料状のもの。味と食べやすさに幅があるので、いくつか試してから決めてください。ただし、これらにも乳成分や大豆が使われていることがあるため、原材料の確認は欠かせません。

食べる楽しみが消えると量が落ちる

栄養の計算だけを追いかけると、見落とすものがあります。食べたいと思う気持ちです。除去を始めた方が痩せていくとき、原因の多くは栄養の設計ではなく、食欲そのものの低下にあります。

好きだったものが食べられなくなる。毎食似たようなおかずが並ぶ。家族と違うものを一人だけ食べる。この3つが重なると、食事の時間が苦痛になります。苦痛になった食事は、量が落ちます。そして高齢の方の場合、一度落ちた食事量は自然には戻りません。

手当ての方向は3つです。1つめは、見た目を落とさないことです。彩りのある副菜を1品足すだけで、食卓の印象が変わります。にんじん、かぼちゃ、ブロッコリー、ミニトマト。手間はかかりません。

2つめは、家族と同じものを食べる場面を作ることです。全員のぶんをアレルゲン抜きで作り、必要な人だけあとから追加する。この作り方なら、一人だけ別のものという状況を避けられます。混入の防ぎ方としても、除去食を先に作る流れと一致します。

3つめは、たまに外の力を借りることです。対応できる配食を週に何度か入れる、市販のアレルギー対応食品を使う、行事の日は無理をしない。作る側が疲れきると、食卓全体が単調になります。負担を減らすこと自体が、栄養を守る手立てになります。

相談できる相手を先に決めておく

除去食を続けていて栄養が心配になったとき、誰に相談するかを決めていないと、結局どこにも相談しないまま時間が過ぎます。相談先の候補を挙げておきます。

まず、かかりつけ医です。体重の記録を持っていって、「除去を始めてから体重が落ちています」と伝えてください。医師の指示があれば、管理栄養士による栄養指導を受けられる場合があります。次に、介護保険を使っているなら、ケアマネジャーです。食事の困りごとを伝えれば、使えるサービスを探してくれます。

地域包括支援センターも窓口になります。介護保険の認定を受けていなくても相談できます。市区町村の保健センターに管理栄養士がいる場合もあり、無料で相談を受けられることがあります。相談できる場所は、思っているより多くあります。

相談するときに持っていくものは3つです。体重の記録、1週間ぶんの実際の献立、そして避けている食品の一覧です。この3つがあれば、話が具体的に進みます。「食が細くて心配で」だけでは、相手も答えようがありません。数字と実物があると、相談は一度で終わります。

除去が長く続くときの見直し方

除去は、始めるときより、続けるときのほうが難しくなります。年単位で続く場合、定期的な見直しが欠かせません。

まず、除去が今も必要かどうかです。時間がたって食べられるようになっていることがあります。ただし、自分で試すのは危険です。医師のもとで確かめてください。除いていた食品が戻れば、栄養の問題は大きく改善します。

次に、埋め方が実際に機能しているかです。代わりの食品を用意していても、本人が食べていなければ意味がありません。好みに合わない、飽きた、食べにくい。理由を確かめて、別のものに替えてください。

そして、体の数字です。体重、血液の検査の結果、握力、ふくらはぎの太さ。年に1回は確かめてください。除去が原因で不足が出ていないかは、感覚では分かりません。

管理栄養士に見てもらうことをお勧めします。1日に食べているものを書き出して持っていけば、何が足りていないかを具体的に示してもらえます。介護保険を使っている方なら、ケアマネジャーを通じて相談につなげられる場合があります。

アレルギーのある方の食事を、毎日どう用意するか

配食のふれ愛 太子店では、ご注文時にアレルギーをお伺いし、献立表に使用アレルゲンを記載してお届けしています。除去が必要な日は代替のおかずに差し替えるなどの調整もご相談ください。まずは無料試食で、実際の献立表と容器をご覧ください。

メニュー詳細を見る 無料試食を申し込む

関連用語

低栄養

エネルギーとたんぱく質が不足した状態。高齢者の要介護化の入口になります。

BMI

体重と身長から出す体格の指標。高齢者は21.5〜24.9が目安とされます。

たんぱく質

筋肉・臓器・免疫をつくる栄養素。高齢者は不足しやすくなります。

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