お腹がゴロゴロするのは、アレルギーではないかもしれない
牛乳を飲むと具合が悪くなる、という訴えには、原因の異なる2つが混じっています。
| 牛乳アレルギー | 乳糖不耐症 | |
|---|---|---|
| 原因 | 乳タンパク(カゼインなど)への免疫反応 | 乳糖を分解する酵素の不足 |
| 症状 | じんましん、かゆみ、腹痛、呼吸の苦しさ | お腹の張り、下痢、ゴロゴロ感 |
| 少量なら | 少量でも症状が出うる | 少量なら平気なことが多い |
| ヨーグルト・チーズ | 不可 | 食べられることが多い |
| 命にかかわるか | ありうる | まずない |
乳糖不耐症は加齢とともに増えます。日本人は成人の多くで乳糖分解酵素の活性が下がるため、高齢になってから牛乳でお腹をこわすようになるのは珍しくありません。これはアレルギーではないので、乳製品を全部やめる必要はありません。詳しくは食物不耐症とアレルギーの違いをご覧ください。
牛乳アレルギーの場合、避けるのは牛乳そのものだけではありません。表示では次のような名前で現れます。
ただし「乳化剤」は乳とは無関係です。大豆由来のレシチンなどを指す用語で、名前が似ているだけです。同様に「乳酸カルシウム」「乳酸ナトリウム」も乳成分ではありません。ここは誤って避けられがちなので覚えておく価値があります。
牛乳コップ1杯(200ml)にはカルシウムが約220mg含まれます。高齢者の推奨量は1日650〜700mgですから、牛乳を抜くと3分の1が消える計算です。骨粗しょう症のリスクに直結します。
| 食材 | 1回量 | カルシウム |
|---|---|---|
| 木綿豆腐 | 1/2丁(150g) | 約140mg |
| 小松菜(ゆで) | 小鉢1杯(70g) | 約100mg |
| しらす干し | 大さじ2(10g) | 約28mg |
| 厚揚げ | 1/2枚(100g) | 約240mg |
| ひじき(乾・戻して煮物) | 小鉢1杯 | 約100mg |
植物性の飲料に置き換える場合は、カルシウムが添加されているかを必ず確かめてください。無調整の豆乳にはカルシウムがほとんど入っていません(100mlあたり約15mg)。またカルシウムはビタミンDがないと吸収されにくいため、鮭やきのこも一緒に摂ります。
グラタン・シチュー・クリーム煮といった洋風の一皿は、そのまま抜くと主菜が消えます。乳を含む日には和風の主菜へ差し替える形が現実的です。配食のふれ愛 太子店では、ご注文時に乳アレルギーを登録いただければ、献立表への記載と差し替えのご相談を承ります。
詳しくはよくある質問「乳アレルギーに対応できますか」をご覧ください。
乳は言い換えが多く、名前に「乳」が付かないものがたくさんあります。
| 表示に出る言葉 | 乳が入るか |
|---|---|
| カゼイン、カゼインナトリウム | 入る。乳たんぱくそのもの |
| ホエイ、乳清 | 入る |
| レンネットカゼイン、乳酸菌飲料 | 入る |
| 乳化剤 | 多くは入らない。大豆由来が一般的。名前が紛らわしいだけ |
| 乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム | 入らない。乳とは無関係の酸 |
| カカオバター | 入らない。植物性の油脂 |
「乳化剤」「乳酸」を乳だと思って避けてしまう例が多くあります。避けなくてよいものを避けると、食べられるものが不必要に減ります。迷ったらこの表に戻ってください。
洋食を避ければ済むと思われがちですが、次のようなところに乳が入ります。
ご飯を主食にする和食中心の献立に切り替えると、避けやすくなります。ただし汁物と練り製品は個別に確かめてください。
乳を除くとカルシウムが不足しがちです。高齢の方では骨の量に関わるため、意識して埋める必要があります。
| 食材 | 1回に食べる量 | カルシウムの目安 |
|---|---|---|
| 木綿豆腐 | 1/2丁(150g) | 約140mg |
| 小松菜(ゆで) | 小鉢1杯(70g) | 約100mg |
| しらす干し | 大さじ2(10g) | 約28mg |
| 厚揚げ | 1/2枚(60g) | 約144mg |
| ひじき(ゆで) | 小鉢1杯(50g) | 約48mg |
| いわし水煮缶 | 1/2缶(75g) | 約240mg |
カルシウムはビタミンDがあると吸収されやすくなります。さけ、さんま、きのこを組み合わせるか、日中に少し外へ出るだけでも違います。くわしくはカルシウムの項をご覧ください。
牛乳の代わりとしてよく挙がるものを並べます。目的によって選ぶものが変わります。
| 飲みもの | 向くところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 豆乳 | たんぱく質を取りたいとき | 大豆アレルギーの方は不可。無調整は青くささが出る |
| アーモンドミルク | 飲みやすさ | 木の実のアレルギーがある方は不可。たんぱく質は少ない |
| オーツミルク | くせが少ない | 原料に大麦や小麦を含む製品がある |
| ライスミルク | アレルゲンが少ない | ほぼ糖質。栄養は期待できない |
「牛乳の代わり」として売られていても、栄養の中身は同じではありません。カルシウムを添加した製品かどうかを表示で確かめてください。飲みものだけで埋めようとせず、食事のほうで足すのが現実的です。
ヨーグルトやチーズは発酵の過程でたんぱく質が分解されるため、牛乳そのものより症状が出にくいことがあります。ただし分解されるのは一部で、原因となるたんぱく質が消えるわけではありません。ヨーグルトなら大丈夫と自己判断で試すのは危険です。
同じように、加熱したものなら食べられるという考え方も広まっていますが、乳のたんぱく質は加熱に比較的強く、卵ほど単純ではありません。グラタンやシチューを加熱したから安全ということにはなりません。どこまで食べられるかは検査と主治医の指示で決めることで、家庭で試して確かめる性質のものではありません。
一方、乳糖不耐症であれば話は別です。乳糖が分解されているヨーグルトやチーズは症状が出にくく、量を控えれば牛乳も飲めることがあります。アレルギーなのか不耐症なのかで、取れる手立てがまったく変わります。まずここを分けてから対応を考えてください。
病院や介護施設の食事は、栄養の設計上、乳製品を組み込んでいることが多くあります。朝食の牛乳、おやつのヨーグルト、シチューやグラタン。除去を申し出ると、そのぶんが単純に抜かれて、献立が薄くなることがあります。
そのため申し出るときは、「除いてください」だけでなく「代わりに何を足せますか」まで一緒に相談してください。豆乳に替える、豆腐の小鉢を足す、魚を一品増やす。栄養士がいる施設であれば、代替の提案はできるはずです。何も言わずに抜かれた状態が続くと、数か月で体重に出ます。
入院や短期の入所では、看護師や介護職員が交代で対応します。申し送りが1回でも抜けると、そのまま乳製品が出ます。入所のたびに紙を出し直すのが確実で、前回の記録が残っているだろうという前提を置かないでください。ケアマネジャーを通して情報を共有しておくと、抜けが減ります。
乳を除くことで最も気になるのがカルシウムです。高齢の方、とくに女性は骨の量が減りやすく、転倒したときに折れるかどうかに関わります。骨粗しょう症の予防という観点からも、除去を始めた時点で埋め方を決めておくのが安全です。
埋め方は3つあります。ひとつは大豆製品を毎食に入れること。豆腐、厚揚げ、納豆、高野豆腐を回していくと、それだけで1日の必要量のかなりの部分をまかなえます。ふたつめは小魚と青菜。しらす、ししゃも、小松菜、水菜を副菜に組み込みます。みっつめはビタミンDで、さけ、さんま、干ししいたけと、日中に少し外へ出ることです。
サプリメントで一気に埋めようとするのは勧めません。カルシウムは一度にたくさん取っても吸収されず、腎臓に負担がかかることがあります。食事から少しずつ、毎食に分けて取るほうが確実です。すでに骨の治療を受けている方は、必ず主治医に相談してから始めてください。
乳製品を抜いたときに最も響くのがカルシウムです。牛乳コップ1杯で約220mg取れるため、これが消えると1日の必要量に届かなくなります。高齢の方にとって、カルシウム不足は骨がもろくなることに直結し、転んだときの骨折につながります。
埋め方を具体的に挙げます。小松菜1束を煮びたしにすると約200mg、木綿豆腐半丁で約120mg、しらす大さじ2杯で約50mg、ひじきの煮つけ小鉢1杯で約100mg、切り干し大根の煮物で約80mg。これらを組み合わせれば、乳製品なしでも足ります。1品で埋めようとせず、複数の食材から少しずつ取る組み立てにしてください。
カルシウムは、ビタミンDがないと体に取り込まれません。さけ、さんま、いわし、干ししいたけ、きくらげがビタミンDを含みます。日光に当たることでも作られるため、天気のよい日に15分ほど外に出るだけでも違います。カルシウムだけを増やしても、ビタミンDがなければ効きません。この2つは組みで考えてください。
豆乳を代わりに使う場合は、カルシウムが強化された製品を選ぶと効率がよくなります。ただし、豆乳そのもののカルシウムは牛乳より少ないため、無調整のものだけでは埋まりません。表示のカルシウム量を確かめてから選んでください。また、しらかんばの花粉症がある方は、豆乳で口の中に症状が出ることがあります。その場合は口腔アレルギー症候群を参照してください。
乳を除く生活で最も手間がかかるのが、買い物です。毎回すべての表示を読むのは現実的ではありません。仕組みで手間を減らしてください。
まず、確認済みの商品を一覧にしておくことです。使えると分かったパン、菓子、レトルト、調味料の名前を、写真つきで記録しておいてください。次からはその一覧を見て買えばよく、表示を読む回数が大幅に減ります。家族の誰が買い物に行っても同じものが買えます。
ただし、商品の中身は変わります。同じ名前の商品でも、原材料が変更されることがあります。一覧に載せていても、パッケージの見た目が変わったときは読み直してください。「リニューアル」と書かれているときは要注意です。
そして、インターネットで買える専用の商品があります。乳を使わないパン、菓子、ホワイトソース、チーズに似せた製品などが売られています。近所で買えないものは、まとめて取り寄せて冷凍しておくと、日々の負担が下がります。
迷ったときは、製造元に問い合わせるのが確実です。多くの食品会社が、問い合わせの窓口を用意しています。表示だけでは分からない製造の工程についても答えてもらえることがあります。
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