甲状腺の病気と食事|配食のふれ愛 太子店 健康コラム

2つの方向がある

病気状態症状
機能低下症(橋本病など)ホルモンが足りないだるい、寒がり、むくむ、体重が増える、便秘、物忘れ
機能亢進症(バセドウ病など)ホルモンが多すぎる動悸、汗が多い、体重が減る、手の震え、暑がり、下痢

高齢者では症状が典型的でなく、低下症が「認知症」「うつ」と、亢進症が「心臓の病気」と間違われることがあります。血液検査で分かります。

ヨウ素は摂りすぎも不足も問題

甲状腺ホルモンの材料はヨウ素です。海に囲まれた日本では、不足よりも摂りすぎのほうが問題になります。

食品ヨウ素量の目安(100gあたり)
昆布(乾)約200,000μg。桁違いに多い
昆布だし使う量によるが、毎日では多くなりやすい
ひじき(乾)約45,000μg
わかめ(乾)約8,000μg
のり約2,000〜6,000μg
魚介類数十〜数百μg

成人の推奨量は1日130μg、上限は3,000μgです。昆布を日常的に多く食べると、簡単に上限を超えます。

とはいえ、海藻を一切やめる必要はありません。わかめの味噌汁やのり程度なら問題になりません。問題になるのは昆布そのものを毎日食べる、昆布茶を常用する、ヨウ素入りのサプリメントを飲むといった場合です。主治医から具体的な指示が出ていれば、それに従ってください。

検査の前は特に注意

甲状腺の検査(とくにアイソトープ検査)の前には、ヨウ素制限が指示されます。数日〜2週間、海藻類とヨウ素を含む食品を避けます。造影剤にもヨウ素が含まれます。

制限の期間と範囲は医療機関の指示に従ってください。「少しくらい」で検査結果が正確に出なくなります。

薬の飲み方

甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)は、食べ物や他の薬と一緒だと吸収が落ちます。

  • 起床時、空腹で飲む。その後30分は食事をしない、という指示が一般的です
  • カルシウム剤、鉄剤、胃薬(制酸剤)とは時間をあける(4時間程度)
  • 大豆製品を大量に摂ると吸収に影響することがある(通常の食事量なら問題になりません)
  • 飲み方の指示は必ず主治医・薬剤師に確認してください

それぞれの食事

機能低下症:代謝が落ちるため体重が増えやすく、コレステロールも上がります。ただしこれは薬で治療する部分で、極端な食事制限で解決するものではありません。便秘には食物繊維と水分を。

機能亢進症:代謝が上がるため、体重が減り、消耗します。エネルギーとたんぱく質をしっかり摂ってください。カルシウムも失われやすくなります。カフェインは動悸を強めるので控えめに。

いずれも治療の柱は薬です。食事は補助であり、自己判断で食事だけで対応しようとしないでください。定期的な血液検査を続けることが最も重要です。

ヨウ素を含む食品を日常でどう扱うか

日本の食事は、世界的に見てヨウ素の摂取量が多いという特徴があります。海藻を日常的に食べる習慣があるためです。そのため、ヨウ素が不足することは通常ありませんが、逆に取りすぎになる場面があります。

ヨウ素が特に多いのは、昆布です。昆布のだし、昆布の佃煮、とろろ昆布、昆布茶。昆布は、ほかの海藻と比べても桁違いにヨウ素が多い食品です。わかめ、ひじき、のりにも含まれますが、昆布ほどではありません。魚介類にも含まれ、うがい薬や一部のサプリメントにも入っています。

甲状腺の状態によっては、昆布を控えるよう指示されることがあります。その場合、和食のだしをどうするかが問題になります。かつおだし、いりこだし、しいたけだし、鶏がらスープ。昆布を使わないだしでも、和食の味は十分に作れます。市販のだしの素を使う場合は、原材料に昆布が入っていないかを確かめてください。

ただし、指示がないのに自分の判断で海藻をすべてやめないでください。海藻は食物繊維とミネラルの供給源でもあります。どこまで控えるべきかは、病気の種類と治療の段階によって違います。受診のときに、昆布はどうか、わかめはどうか、のりはどうかと具体的に聞いてください。「海藻を控える」という言い方では、範囲が分かりません。

検査や治療の前の食事制限

甲状腺の検査や治療の中には、事前にヨウ素を制限する必要があるものがあります。この制限を守らないと、検査の結果が正しく出なかったり、治療の効果が下がったりします。

制限の期間は、通常1〜2週間程度です。この期間は、昆布とその加工品、海藻類、そしてヨウ素を含む食品を避けます。加えて、うがい薬やヨウ素を含むサプリメント、一部の造影剤も対象になります。意外な落とし穴が、市販のだしの素、めんつゆ、練り製品、そして一部の調味料です。昆布エキスとして入っていることがあります。

この時期は、原材料を読む習慣が必要になります。だしは かつおだけのものを使い、めんつゆではなくしょうゆとみりんで味を作り、外食を控える。短い期間なので、その間だけ献立を単純にするのが確実な方法です。米、肉、卵、野菜、果物を中心にすれば、迷わずに済みます。

制限の内容は、医療機関から具体的な資料が渡されることが一般的です。渡されない場合は、こちらから求めてください。「海藻を控えてください」だけでは、何をどこまで避けるのか判断できません。避けるものの一覧と、期間と、うっかり食べてしまったときにどうすればよいかを確かめておいてください。

薬の飲み方で結果が変わる

甲状腺の薬には、飲むタイミングが結果を左右するものがあります。食べものや ほかの薬と一緒に飲むと、吸収が落ちることがあるためです。

一般的には、朝の起床時、食事の30分から1時間前に、水で飲むよう指示されます。食後に飲むと吸収が下がるため、指示された時間を守ることに意味があります。忘れやすい方は、枕元に置いておく、目覚まし時計と一緒に置くといった工夫が有効です。

一緒に飲まないほうがよいものがあります。カルシウムの薬やサプリメント、鉄剤、胃薬の一部、便秘薬の一部。これらは吸収を妨げます。飲む必要がある場合は、時間を数時間ずらしてください。どの薬とどれくらい離せばよいかは、薬剤師に確かめるのが確実です。

飲み忘れたときの対応も、あらかじめ聞いておいてください。気づいた時点で飲むのか、その日は飛ばすのか、2回分をまとめないのか。自己判断で2回分を飲むのは危険な場合があります。また、体調が良くなったからといって自分でやめないでください。数値は自覚症状より先に動きます。定期的な血液検査で、量が合っているかを確かめながら続けることになります。

症状が食事や体重に出る形

甲状腺の働きが変わると、食欲や体重、体温、腸の動きに影響が出ます。これらは年齢のせいだと思われがちで、見つかるのが遅れることがあります。

働きが強くなっている場合、食べているのに体重が減る、動悸がする、汗をかく、手が震える、暑がりになる、下痢をしやすいといった変化が出ます。高齢の方では、これらがはっきり出ず、食欲がない、元気がない、体重が減るという形だけで現れることがあります。この形だと、ほかの病気と間違われやすくなります。

働きが落ちている場合は、食欲がないのに体重が増える、むくむ、寒がりになる、便秘になる、だるい、動作が遅くなる、物忘れが増えるといった変化が出ます。高齢の方では、うつや認知の問題と間違われることがあります。血液検査で分かることなので、疑わしければ調べてもらってください。

いずれの場合も、食事だけで整えられるものではありません。治療が中心で、食事はそれを支える役割です。「食事で治す」という考え方で受診を先延ばしにしないでください。そのうえで、体重の変化を記録し、便通を整え、水分を取り、必要な栄養を確保することが、治療を受けながらの生活を支えます。

骨と心臓への影響も見る

甲状腺の働きが乱れた状態が長く続くと、食欲や体重だけでなく、骨と心臓にも影響が出ます。食事の話として扱われにくい部分ですが、高齢の方では重要になります。

働きが強い状態が続くと、骨からカルシウムが失われやすくなります。もともと骨がもろくなりやすい年代なので、これが重なると骨折の危険が上がります。治療を受けながら、カルシウムとビタミンD、そしてたんぱく質を確保してください。乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜、そしてさけやきのこ。骨の検査を受けておくと、いまの状態が分かります。

心臓への影響も知られています。脈が速くなる、不整脈が出る、心不全につながることがあります。動悸がする、息切れがする、足がむくむといった症状は、年齢のせいにせず医師に伝えてください。

働きが落ちている場合は、コレステロールが上がることがあります。この場合、食事だけで下げようとしても限界があり、甲状腺の治療を受けることで数値が落ち着くことがあります。脂質異常症として食事制限を厳しくする前に、甲状腺を調べてもらう価値があります。原因が別のところにあるのに食事だけを絞ると、栄養が足りなくなるだけで数値は動きません。

日々の食事で無理をしない

甲状腺の病気では、食事でできることは限られています。治療が中心で、食事はそれを妨げないようにする役割です。ここを取り違えて、食事だけで何とかしようとすると、無理が続きません。

やることは3つに絞れます。指示されたヨウ素の制限を守ること。薬の飲み方を守ること。そして、体重と栄養を保つことです。それ以外の「甲状腺によい食べもの」といった情報に振り回されないでください。特定の食品で治るということはありません。

むしろ気をつけたいのが、健康食品やサプリメントです。ヨウ素を含むもの、海藻由来のもの、代謝に働くとうたうもの。これらが治療を妨げることがあります。飲んでいるものは、すべて医師に見せて確かめてください。「食品だから大丈夫」とは限りません。

そして、体重の変化を記録してください。増えているのか減っているのかは、治療がうまくいっているかどうかの手がかりになります。食欲や体重の変化を「歳のせい」で片づけないことが、この病気では特に大事です。数値は血液検査で分かりますが、日々の変化は本人と家族しか見られません。受診のときに伝えられるよう、書き留めておいてください。

制限のある食事を、毎日ひとりで組み立てない

配食のふれ愛 太子店では、カロリー調整食・たんぱく調整食をはじめ、栄養バランスに配慮した食事を管理栄養士の献立でお届けしています。主治医から受けている指示をお伝えいただければ、どのコースが合うかを一緒に確かめます。まずは無料試食からお試しください。

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関連用語

食物繊維

消化されない植物成分。糖の吸収を緩やかにし、便通を整えます。

カルシウム

骨と歯をつくる主要ミネラル。不足が続くと骨密度が下がります。

たんぱく質

筋肉・臓器・免疫をつくる栄養素。高齢者は不足しやすくなります。

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