一人で食べる日が続くと、食べる量そのものが減っていく
社会的なつながりの少なさは、高齢者の健康に測定可能な影響を与えます。国内外の研究で、孤立している高齢者は、そうでない人に比べて低栄養・うつ・認知機能低下・死亡のリスクが高いことが繰り返し報告されています。
食事の面では、経路がはっきりしています。
この循環は、どこか1か所を切れば止まります。最も入りやすいのは2番目と3番目、つまり「作る」の部分です。
誰かと一緒に食べること(共食)は、単に楽しいだけではありません。
厚生労働省の「食生活指針」でも、共食は健全な食生活の要素として挙げられています。
| 場 | 内容 | 窓口 |
|---|---|---|
| 通いの場・サロン | 体操、茶話会、会食。週1回程度 | 地域包括支援センター、社会福祉協議会 |
| 介護予防教室 | 運動・口腔・栄養の指導。総合事業 | 市区町村 |
| デイサービス | 入浴・食事・機能訓練。介護保険 | ケアマネジャー |
| 地域の会食会 | 月1〜2回の食事会 | 社会福祉協議会、老人クラブ |
| ボランティア・趣味の会 | 役割を持つこと自体に効果がある | 市民活動センター |
いきなり週何回も、と考える必要はありません。週に1回、決まった予定があるだけで生活のリズムが変わります。
外に出るのが難しい方には、来てもらう形があります。
配食の配達は数分ですが、毎日決まった時間に人と言葉を交わす機会になります。配達員との短い会話を楽しみにされている方は少なくありません。
一人暮らしの食事の組み立て方は一人暮らしの高齢者の食事問題をご覧ください。
孤立は、ある日突然起きるものではありません。必ずきっかけがあります。
配偶者を亡くしたとき。話す相手がいなくなり、生活のリズムが崩れます。食事を作る相手がいなくなることで、食生活が一変します。この時期は、周囲が意識して関わる必要があります。
退職したとき。職場という居場所がなくなり、毎日会っていた人と会わなくなります。仕事以外のつながりを持たずに来た方ほど、影響が大きく出ます。
体を悪くしたとき、車の運転をやめたとき。外に出る手段が減ることで、行動の範囲が狭くなります。買い物、通院、集まりへの参加。すべてに影響します。
そして、引っ越したときです。子の家の近くに移った場合など、それまでの人間関係がすべて途切れます。本人にとっては、大きな喪失になります。転居のあとしばらくは、意識して関わってください。
誘っても出たがらない、という状況はよくあります。
まず、理由を確かめてください。人付き合いが苦手、体力に自信がない、費用が心配、行き方が分からない。理由によって、対処が変わります。送り迎えがあれば行ける方もいます。
そして、無理に外へ出す必要はありません。家の中でつながりを保つ方法もあります。本人の性格に合った形を探してください。人と会うのが苦手な方に集まりを勧め続けても、関係が悪くなるだけです。
一度断られても、あきらめないでください。時期が変われば、気持ちも変わります。季節の変わり目や、体調が良いときに、また声をかけてみてください。
誘い方も工夫できます。「見学だけ」「一回だけ」という形なら、応じてもらえることがあります。最初から続けることを求めないでください。
出たがらない状態と、気持ちが沈んでいる状態は別です。
何もする気が起きない、眠れない、食べられない。これらが2週間以上続くなら、性格の問題ではありません。うつ状態は、高齢の方にも起こります。
高齢の方の場合、気分の落ち込みより体の不調として出ることがあります。頭が重い、だるい、食欲がない、あちこちが痛む。検査をしても異常が見つからないとき、この可能性を考えてください。
そして、物忘れのように見えることもあります。集中できず、返事が遅くなるため、認知症と間違われることがあります。見分けは専門の医師の役目です。
気になるときは、かかりつけの医師に相談してください。「元気がない」という言い方で構いません。必要なら適切な診療科につないでもらえます。
参加を続けられるかどうかは、居心地よりも役割で決まることがあります。
お茶を入れる、片づけを手伝う、名簿をつける、誰かに教える。何か担当があると「行かなければ」という気持ちが生まれます。支えられるだけの立場は、居心地が悪いものです。
これまでの経験を生かせる場があると、なお続きます。畑、大工仕事、裁縫、計算、書き物。本人が得意なことを、周囲が知っておいてください。
孫や子どもと関わる機会も、同じ働きをします。頼られる立場になることが、外に出る理由になります。地域の子どもと関わる活動がある地域もあります。
そして、家庭の中でも役割は作れます。洗濯物をたたむ、庭の水やり、新聞を取る。できることを取り上げないでください。
目標は高く設定しないでください。続く形にすることが第一です。
週に一度、誰かと話す。まずこれだけを決めてください。毎日にしようとすると、続かずに終わります。
曜日と時間を決めると、生活の中に組み込まれます。「木曜の午前」と決めておけば、本人も待つことができます。予定があること自体が、はりになります。
相手は誰でも構いません。家族、友人、通所の職員、訪問の担当者、配達員。複数あればなお安心です。
そして、記録を残してください。最後に誰かと話したのがいつか、家族が把握できる状態が望ましい形です。間が空いていることに、誰も気づかない状態を避けてください。
つながりを保つことは、いざというときに気づかれることでもあります。
集まりに通っていれば、来なくなったときに誰かが気づきます。この気づきが、命に関わる場面で働くことがあります。参加すること自体が、見守りになっています。
近所の方や民生委員と、顔を合わせておいてください。存在を知られていることが前提になります。誰も知らない住人は、異変があっても気づかれません。
家族の連絡先を、周囲に伝えておいてください。気づいた人が、どこに連絡すればよいかを知っている必要があります。本人の了解を得てからにしてください。
見守りの手段の選び方は見守りの種類と選び方にまとめています。つながりと、仕組みの両方が要ります。どちらか一方では足りません。
距離があっても、できることがあります。
電話の回数を増やしてください。長さより、回数です。3分でも構いません。用事がなくてもかけてよいのだと、伝えておいてください。
そして、地域の相談先を自分でも把握しておいてください。地域包括支援センターの場所と電話番号。何かあったときに、遠方から動ける唯一の手段になります。
帰省したときは、家の中を見てください。冷蔵庫、台所、郵便物、服装。電話では分からないことが、目で見れば分かります。
近所の方に挨拶しておくことも、効果があります。「離れて暮らしているので、何かあったら連絡してほしい」。それだけで、関係ができます。
孤立が進むほど、元に戻すのに時間がかかります。
外に出ない期間が長くなると、体力が落ち、さらに出られなくなります。この流れに入る前が、動くべき時期です。まだ歩けるうちに、行き先を作っておいてください。
人と話さない期間が長くなると、話すこと自体がおっくうになります。関係を保つほうが、作り直すより楽です。途切れる前に手を打ってください。
そして、本人が困っていると言うのを待たないでください。助けを求めない方ほど、周囲が動く必要があります。「何かあったら言って」では届きません。
相談先が分からなければ、地域包括支援センターです。介護の認定がなくても相談できます。まだ元気なうちの相談も、受け付けています。
統計や現場の実感として、以前から指摘されている傾向があります。
退職まで仕事中心の生活だった方では、地域とのつながりが薄いことがあります。近所付き合いを配偶者に任せていた場合、その配偶者を亡くすと、一気に孤立します。この時期の関わりが、その後を分けます。
そして、助けを求めることをためらう傾向も指摘されています。人に頼りたくない、弱みを見せたくない。この気持ちが、支援を遠ざけます。周囲から働きかけない限り、動きません。
この場合、役割のある関わり方が有効なことがあります。教える立場、手伝う立場、何かを担当する立場。支えられる側としてではなく、参加する形なら受け入れられることがあります。
そして、食事の準備ができない方が多いという実情もあります。配食や通所での食事が、実際的な支えになります。栄養の確保と、つながりの確保が同時にできます。
どこに住んでいるかによって、必要な手立てが変わります。
集合住宅では、隣に誰が住んでいるか分からないことがあります。顔を合わせる機会が少なく、異変が伝わりにくい構造です。管理人や大家との関係が、代わりの目になります。
戸建てで、周囲に人家が少ない場所では、そもそも気づかれる機会が限られます。この場合、決まった訪問を仕組みとして入れる必要があります。偶然に頼れません。
そして、坂道や階段の多い地域では、体力が落ちると外出が一気に減ります。本人の意欲ではなく、地形の問題です。送迎のある通所や、届けてもらう形を早めに検討してください。
買い物ができる店が近くにあるかどうかも、大きく影響します。店が閉じた地域では、外に出る用事そのものが消えます。地域の状況を踏まえて考えてください。
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