赤、黄、緑、紫、黒。色を集めると、成分も集まる
呼吸で取り込んだ酸素の一部は活性酸素になります。これは細菌を殺すなど必要な働きもしますが、増えすぎると細胞やDNA、血管を傷つけます。これが老化や動脈硬化、がん、認知症に関わるとされています。
体にはもともと活性酸素を消す仕組みがありますが、加齢とともにこの力が落ちます。だから食事から抗酸化成分を補う意味が出てきます。
活性酸素を増やす要因は、紫外線、喫煙、過度の飲酒、ストレス、激しい運動、大気汚染、揚げ物の摂りすぎなどです。
| 色 | 成分 | 食品 |
|---|---|---|
| 赤 | リコピン | トマト、すいか、ピンクグレープフルーツ |
| 橙・黄 | β-カロテン、ゼアキサンチン | にんじん、かぼちゃ、みかん、とうもろこし |
| 緑 | ルテイン、クロロフィル | ほうれん草、ブロッコリー、小松菜、モロヘイヤ |
| 紫・青 | アントシアニン | なす、紫キャベツ、ブルーベリー、黒豆、赤しそ |
| 白 | 硫化アリル、イソチオシアネート | 玉ねぎ、にんにく、大根、キャベツ |
| 黒・茶 | クロロゲン酸、カテキン、タンニン | ごま、そば、緑茶、コーヒー |
| — | アスタキサンチン | 鮭、えび、かに |
1つの成分だけを大量に摂るより、いろいろな色を少しずつのほうが理にかなっています。抗酸化成分は互いに助け合って働くことが分かっているからです。
「抗酸化成分が体によい」→「サプリで大量に摂ればもっとよい」とはなりません。むしろ逆の結果が出た研究があります。
食品には、まだ特定されていない成分も含めて数百の物質が入っており、その組み合わせで働いています。抽出した1成分では再現できません。
結論は単純です。色の濃い野菜と果物を、いろいろ、毎日。これがいちばん確実で、害もありません。
1日で5色そろえば十分です。毎食すべてを揃える必要はありません。
関連して1日350gの野菜、熱が出たあとの食事、認知症予防と食事をご覧ください。
この分野は、宣伝と結びつきやすい領域です。受け取り方を先に整えておいてください。
「これを飲めば病気にならない」「若返る」という言い方が出てきたら、疑ってください。食品にそこまでの力はありません。高価な製品を勧められた場合は、その場で決めず、家族や医師に相談してください。
そして、研究で示されていることと、宣伝で言われることの間には距離があります。試験管の中で確かめられたことが、そのまま人の体で起こるとは限りません。「〜が期待される」という表現は、確かめられたという意味ではありません。
高齢の方は、こうした宣伝の対象になりやすい立場にあります。電話勧誘、訪問販売、通信販売。断りにくい形で持ちかけられることがあります。離れて暮らす家族は、届いている荷物や請求に目を向けてください。
迷ったときの相談先は、消費生活センターです。契約してしまった後でも、期間内であれば解除できる場合があります。一人で抱え込まず、早く相談してください。
細かい成分名を覚える必要はありません。色を目印にするほうが、実行しやすくなります。
赤、黄、緑、紫、黒。トマト、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、なす、黒豆、海藻。食卓に色が並んでいれば、それだけで偏りは減っています。逆に、白と茶色ばかりの食卓は、内容が偏っている合図です。
1食ごとに全部そろえる必要はありません。1週間で見て、いろいろな色が入っていれば十分です。今日は赤、明日は緑、という程度の意識で構いません。
色の濃い野菜は、加熱するとかさが減ります。生では食べきれない量も、煮たり炒めたりすれば口に入ります。噛む力が落ちている方には、加熱してやわらかくする形が向いています。
果物も同じです。みかん、いちご、ぶどう、キウイ、柿。季節ごとに違うものが手に入り、皮をむくだけで食べられます。買い物の負担が少ないという点でも、続けやすい選択肢です。
同じ食材でも、扱い方によって口に入る量は変わります。目安を挙げます。
水に溶ける性質のものは、ゆでこぼすと失われます。短時間の加熱、蒸す、電子レンジ、汁ごと食べる。この形にすれば、逃す分が減ります。味噌汁やスープは、この点で優れた料理です。
一方、油に溶ける性質のものは、油と一緒のほうが吸収されると言われています。にんじんを油で炒める、トマトをオリーブ油で調理する。加熱によってかえって取り込みやすくなるものもあります。
保存については、時間が経つほど減っていくと考えてください。切ってから長く置く、作り置きを何日も温め直す。これらは避けたほうがよいものです。ただし、作り置きの利便性のほうが優先される場面もあります。
冷凍の野菜は、収穫後すぐに処理されるため、内容が保たれやすいとされています。買い物が負担になっている方には、現実的な選択肢です。生でなければ意味がない、という考え方をする必要はありません。
成分を取り出した製品を使えば効率が良い、と考える方がいます。しかし、そうならないことが知られています。
食品には、多くの成分が同時に含まれています。それらが互いに作用して結果が出ていると考えられており、一つだけを取り出しても同じにならないと言われています。これが、成分の抽出物が食品の代わりにならないとされる理由です。
そして、特定の成分を大量に取ることで、かえって好ましくない結果が報告された例があります。「多いほど良い」は成り立ちません。食品から取る場合、そこまでの量にはなりません。
薬との組み合わせにも注意が要ります。血液を固まりにくくする薬、抗がん剤、その他の薬に影響することがあると言われています。治療を受けている方は、必ず医師に伝えてください。
使う場合は、量を守り、複数の製品を重ねないでください。そして、受診のたびに使っているものを伝えてください。「食品だから」という理由で黙っていると、判断を誤らせます。
体の酸化という話をするとき、食事だけを見ていては足りません。
喫煙は、最も大きな要因の一つとされています。どれだけ食事を工夫しても、喫煙を続けている限り、その影響は打ち消せません。やめることを検討する価値があります。医療機関で支援を受けられる場合があります。
次に、睡眠です。眠れていない状態が続くと、体の回復が追いつきません。高齢の方では、眠りが浅くなる、夜中に何度も起きるといった変化が起こります。生活のリズムを整えることが助けになります。
そして、体を動かすことです。適度な運動が体に良いことは、多くの研究で示されています。散歩、体操、家事。特別なことをする必要はありません。
強い日差しも、皮膚への負担になります。帽子、日陰、時間帯の選択。ただし、日光を完全に避けると別の問題が出るため、短時間は当たるようにしてください。
色の濃い食品を増やそうとすると、食事の量が減る方向に働くことがあります。順番を間違えないでください。
野菜を先に食べさせようとして、主菜や主食が残る。これでは、たんぱく質もエネルギーも足りなくなります。高齢の方にとって、こちらのほうが深刻な問題です。
体重が落ちている方では、まず量を確保することが先です。好きなもの、食べやすいものを優先してください。栄養の理屈より、口に入ることのほうが重要です。
そのうえで、少量でも色の濃いものを足す形にしてください。味噌汁に緑の野菜を入れる、食後に果物を少し。これなら、量を圧迫しません。
そして、食事が楽しくなくなるような管理はしないでください。毎食「これを食べなさい」と言われる食卓は、続きません。本人の意思を尊重しながら、少しずつ整えていく形が現実的です。
自分で献立を決められない場面でも、確かめられることがあります。
献立表を見てください。色の濃い野菜がどれくらい入っているかは、材料名を見れば分かります。事業者によっては、栄養成分を出しているところもあります。
足りないと感じたら、家で少し足す形が現実的です。果物を1個、トマトを添える、味噌汁にわかめを入れる。届いた食事を作り直す必要はありません。
そして、食べ残しがないかを見てください。野菜だけを残している場合、量が多い、硬い、味が合わないといった理由があります。事業者に伝えれば、調整できることがあります。
事業者を選ぶときの見方は配食サービスの確認12項目にまとめています。栄養の内容を確かめられるかどうかも、選ぶときの判断材料になります。
最後に、実行することを絞っておきます。
覚えることは一つです。色の濃いものを、毎日どれか食べる。これだけで、この記事の内容の大部分は実行できています。
特別な食品を買う必要はありません。スーパーで手に入る野菜と果物で足ります。高価な製品を勧められたら、この点を思い出してください。
そして、続けられる形にしてください。手間のかかる方法は、必ず途中でやめることになります。作り置き、冷凍の野菜、皮をむくだけの果物。負担の少ない形を選んでください。
気になることがあれば、管理栄養士に相談してください。1週間分の食事を書き出して持っていけば、具体的な助言が得られます。相談先が分からなければ、ケアマネジャーか地域包括支援センターに聞いてください。
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