献立の相談を、専門職に自宅でしてもらえる制度がある
介護保険の居宅療養管理指導には、医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士のほか、管理栄養士によるものがあります。
これは、管理栄養士が自宅を訪問し、その方の食事を実際に見て、具体的な指導を行うサービスです。使われている頻度は高くありませんが、次のような状況では非常に有効です。
「家にあるもので、どうするか」を一緒に考えてもらえることが、病院の栄養指導との最大の違いです。
実施している事業所が地域に少ないのが実情です。見つからない場合は、次の代替手段があります。
介護保険の給付なので、自己負担は1〜3割です。1回あたり数百円程度(事業所の種類と回数により変動)。区分支給限度額の枠外で、他のサービスを圧迫しません。
これは重要な点です。訪問介護やデイサービスの利用量に影響を与えずに追加できます。
居宅療養管理指導には歯科衛生士によるものもあります。口腔ケアの方法を、実際の口を見ながら教えてもらえます。こちらは歯科医師の指示が必要です。
食べる力の低下は「栄養」と「口」の両輪で起きます。口腔ケアの手順、口腔ケアの手順もあわせてご覧ください。
指導を受けても、毎日その通りに作り続けるのは大変です。専門職の助言を受けたうえで、実行の手段を組み合わせてください。
配食のふれ愛 太子店は、管理栄養士が献立を組んだお弁当をお届けしています。指導で示された方針をお伝えいただければ、どのコースが合うかをご一緒に確かめます。カロリー調整食・たんぱく調整食もございます。
使える制度でありながら、案内されないまま終わることが多くあります。
まず、対応できる管理栄養士が地域に少ないことがあります。訪問できる体制を持つ医療機関や事業所が限られている地域があります。そのため、案内そのものがされないことがあります。
そして、医師の指示が必要な仕組みであることも、使われにくさにつながっています。本人や家族が直接申し込む形ではないため、こちらから言い出さないと始まりません。
さらに、食事の問題が相談の場に出にくいという事情があります。「食事のことは家庭の問題」と考えられ、医療や介護の相談として扱われないことがあります。
ですから、こちらから聞いてください。「管理栄養士に来てもらう制度があると聞いたのですが」と言えば、話が始まります。知らないまま終わるのが、最も惜しい状態です。
実際に訪問を受けると、どんなことが行われるかを整理します。
まず、いまの食事の内容を確かめます。何を、どれくらい、どんな形で食べているか。台所や冷蔵庫を見せることもあります。実際の生活を見たうえでの助言になります。
そして、その方の状態に合わせた具体的な提案が示されます。「野菜を食べましょう」といった一般論ではなく、この家の台所でできることが示されます。ここが、本や記事との違いです。
調理の実演をしてもらえることもあります。とろみのつけ方、やわらかく作る方法、市販品の使い方。見て覚えるほうが、確実に身につきます。
家族への説明も行われます。介護している家族が何をすればよいかが、はっきりします。不安が減るという効果もあります。
始めるまでの流れを、順に整理します。
まず、かかりつけ医に相談してください。この制度は、医師の指示にもとづいて行われます。「食事のことで困っているので、管理栄養士の訪問をお願いできますか」と伝えてください。
ケアマネジャーがついている場合は、そちらに相談しても構いません。医師との調整を行ってもらえます。どちらから話しても、最終的には同じ流れになります。
対応できる事業所を探す必要があります。医療機関に管理栄養士がいる場合もあれば、外部の事業所に依頼する場合もあります。地域包括支援センターが、地域の状況を把握しています。
そして、訪問の日程を調整します。回数には決まりがあり、無制限に来てもらえるわけではありません。何回来てもらえるかは、事前に確かめてください。
費用については、必ず事前に確かめてください。
介護保険、あるいは医療保険が使われる仕組みです。自己負担の割合に応じた金額がかかります。全額の自己負担ではありません。
金額は、制度の区分や、事業所の所在地によって変わります。正確な金額は、依頼する事業所に確かめてください。この記事では具体的な額は示せません。
交通費が別にかかる場合があります。訪問の範囲や、遠方の場合の扱いを確かめてください。
そして、月々の負担の上限に関わるかどうかも聞いておいてください。他のサービスと合わせて上限を超えると、戻ってくる仕組みがあります。ケアマネジャーが把握しています。
すべての方に必要な制度ではありません。使う意味が大きい場面を挙げます。
体重が落ちている方です。半年で2キロから3キロ減っているなら、専門職の目が必要な状態です。原因を探り、具体的な対策を立ててもらえます。
飲み込みに不安がある方です。むせが増えた、食事に時間がかかる、食後に痰が増える。形の調整が必要な状態であり、専門的な助言が要ります。
持病があり、食事の調整を求められている方です。数値だけを示されても、実際の献立にどう落とすかは分かりません。ここを埋めてもらえます。
そして、介護している家族が困っている場合です。何を作ればよいか分からない、市販品の選び方が分からない。家族への助言としても意味があります。
食べる力に関わる支援として、口の手入れの訪問もあります。
歯科医師の指示のもとで、歯科衛生士が自宅を訪ねます。口の中の清掃、入れ歯の手入れ、口の動きの訓練。いずれも、食べる力に直結する内容です。
口の中が汚れていると、誤嚥したときに肺炎を起こしやすくなると言われています。飲み込みに不安がある方ほど、口の手入れが重要になります。この点は見落とされがちです。
入れ歯が合っていないことも、よくあります。合わない入れ歯を我慢して使い続け、食べる量が落ちている方がいます。訪問による調整が受けられます。
栄養と口は、切り離せません。両方の訪問を組み合わせることで、効果が上がります。口の手入れの手順は口腔ケアの手順にまとめています。
訪問を受けても、その後に続かなければ意味がありません。
その場で、できることとできないことを伝えてください。「これは無理です」と言ってよいのです。実行できない提案を持ち帰っても、続きません。
そして、優先順位を聞いてください。いくつも提案されたとき、どれから始めるべきかを確かめてください。一度に全部を変えようとすると、失敗します。
記録を残してください。言われたことをメモし、冷蔵庫に貼っておく。時間が経つと忘れます。家族で共有する意味もあります。
次の訪問までに、試した結果を書き留めておいてください。うまくいったこと、続かなかったこと。これがあると、次の提案が現実的になります。
助言を受けても、作る人がいなければ実行できません。
管理栄養士に、配食を使っていることを伝えてください。届く食事の内容を見たうえで、足りないものを補う提案が受けられます。献立表を見せると、話が具体的になります。
市販品の選び方も相談できます。レトルト、冷凍食品、栄養補助食品。何を選べばよいかを、その方の状態に合わせて示してもらえます。手作りにこだわる必要はありません。
そして、事業者に伝えるべきことを整理してもらえます。形の調整、量の調整、避けるべき食材。専門職の言葉で伝えたほうが、正確に伝わります。
作ることが負担になっているなら、その事情も伝えてください。実情に合わない提案は、実行されません。できる範囲で最善を考えるのが、専門職の仕事です。
限られた時間を有効に使うために、準備しておくとよいものがあります。
1週間分の食事の記録です。何を、どれくらい食べたか。写真でも、メモでも構いません。これがあると、実態にもとづいた助言が受けられます。思い出しながら話すと、実際より良く見積もりがちです。
体重の記録も役立ちます。いつ、何キロだったか。落ちているなら、その速さが分かります。数字は、話を具体的にします。
そして、お薬手帳です。飲んでいる薬が、食欲や栄養の吸収に影響していることがあります。複数の医療機関にかかっている場合は、すべて分かるようにしてください。
困っていることを書き出しておいてください。作るのが大変、何を作ればよいか分からない、食べてくれない。質問を用意しておくと、聞き忘れが減ります。
遠慮して伝えないことが、助言の質を下げます。
経済的な事情は、伝えてよいことです。高価な食材を前提にした提案では、実行できません。予算を伝えれば、その範囲で最善の方法が示されます。
調理の技術や、体力の限界も伝えてください。手の込んだ調理ができない、長く立っていられない。実情に合わない提案は、続きません。
そして、本人が食べたがらないという問題も、伝えてください。栄養の理屈より、まず食べてもらうことが課題である場合があります。この場合、提案の方向がまったく変わります。
家族の関係が難しい場合も、話してよいことです。言うことを聞いてもらえない、口を出すと怒る。第三者から伝えてもらうことで、進むことがあります。
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